皆さんは健康診断でコレステロールが高いといわれ病院に行き、そのまま薬を飲むことになったことはありませんか?でもここに1つ盲点があります。
通常、コレステロールと言っているのは総コレステロールの事です。この値が220mg/dlを超えると高脂血症と診断されます。ただし、総コレステロールにはHDLコレステロールと呼ばれる善玉コレステロールとLDLコレステロールと呼ばれる悪玉コレステロールが両方含まれています。総コレステロールが高いだけでは善玉コレステロールが高いのか悪玉コレステロールが高いのかわかりません。それなのにこの値が220mg/dlを超えると高脂血症と診断され、250mg/dlもあれば投薬が開始されてしまう事があるとすれば、それは理論的におかしな話です。最近では健康診断でも悪玉コレステロールを測定することが多くなり、悪玉コレステロールが高いという理由で投薬が開始されるのであればまだ納得がいきます。
善玉コレステロールは余分なコレステロールを血管壁から肝臓に戻す働きをしており正常値は40mg/dl以上ですが、高い方がよく60mg/dl以上あれば理想的といえます。一方、悪玉コレステロールは140mg/dl以上で高脂血症と診断されます。
そこで、悪玉コレステロールも善玉コレステロールも両方高い場合はどうなのかという疑問がうまれます。それを評価するにはどうしたらいいのか。そうです、その比率を計算すればいいのです。
Plasma lipiproteins and apolipoprotein as predictors of cardiovascular risk and treatment benefit in the PROspective study of Pravastatin in the elderly at risk (PROSPER).
Circulation 2005;112:3058.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
70歳から82歳までの高齢者5,804人をメバロチンと言うスタチンを1日40mg内服した群2,891人と内服していない群2,913人に分け3.2年間比較して、心筋梗塞と脳梗塞の発症率を調査したPROSPER(プロスパー)という研究のサブ解析です。
上の図で実線は非内服群、点線は内服群です。縦軸は3.2年間での心筋梗塞と脳梗塞の発症率です。左の図をみると、悪玉コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が3.32まではスタチンを内服していてもしていなくても発症率は同じです。つまりその割合が3.32まではスタチンを内服する必要はないといえます。
同様に右の図では総コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が4.88まではスタチンを内服していてもしていなくても発症率は同じです。
これだけデータが揃ってくると、総コレステロールだけで善し悪しを判断するのは時代遅れです。そこで結論です。悪玉コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が3.3(覚えやすいように)まではスタチンを内服しても効果なく、3.3を超えたらスタチンを内服する。明日さっそく主治医に聞いてみて下さい。「先生、私の悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比は3.3以下ですか?」と
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通常、コレステロールと言っているのは総コレステロールの事です。この値が220mg/dlを超えると高脂血症と診断されます。ただし、総コレステロールにはHDLコレステロールと呼ばれる善玉コレステロールとLDLコレステロールと呼ばれる悪玉コレステロールが両方含まれています。総コレステロールが高いだけでは善玉コレステロールが高いのか悪玉コレステロールが高いのかわかりません。それなのにこの値が220mg/dlを超えると高脂血症と診断され、250mg/dlもあれば投薬が開始されてしまう事があるとすれば、それは理論的におかしな話です。最近では健康診断でも悪玉コレステロールを測定することが多くなり、悪玉コレステロールが高いという理由で投薬が開始されるのであればまだ納得がいきます。
善玉コレステロールは余分なコレステロールを血管壁から肝臓に戻す働きをしており正常値は40mg/dl以上ですが、高い方がよく60mg/dl以上あれば理想的といえます。一方、悪玉コレステロールは140mg/dl以上で高脂血症と診断されます。
そこで、悪玉コレステロールも善玉コレステロールも両方高い場合はどうなのかという疑問がうまれます。それを評価するにはどうしたらいいのか。そうです、その比率を計算すればいいのです。
Plasma lipiproteins and apolipoprotein as predictors of cardiovascular risk and treatment benefit in the PROspective study of Pravastatin in the elderly at risk (PROSPER).
Circulation 2005;112:3058.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
70歳から82歳までの高齢者5,804人をメバロチンと言うスタチンを1日40mg内服した群2,891人と内服していない群2,913人に分け3.2年間比較して、心筋梗塞と脳梗塞の発症率を調査したPROSPER(プロスパー)という研究のサブ解析です。
上の図で実線は非内服群、点線は内服群です。縦軸は3.2年間での心筋梗塞と脳梗塞の発症率です。左の図をみると、悪玉コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が3.32まではスタチンを内服していてもしていなくても発症率は同じです。つまりその割合が3.32まではスタチンを内服する必要はないといえます。
同様に右の図では総コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が4.88まではスタチンを内服していてもしていなくても発症率は同じです。
これだけデータが揃ってくると、総コレステロールだけで善し悪しを判断するのは時代遅れです。そこで結論です。悪玉コレステロールを善玉コレステロールで割った割合が3.3(覚えやすいように)まではスタチンを内服しても効果なく、3.3を超えたらスタチンを内服する。明日さっそく主治医に聞いてみて下さい。「先生、私の悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比は3.3以下ですか?」と
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