橡の木の下で

俳句と共に

「黄金週間」令和元年『橡』6月号より

2019-05-28 11:38:12 | 俳句とエッセイ

 黄金週間  亜紀子

 

風湧くや喜び走る花の塵

花圃あれば虻蜂のごと花圃に寄る

初蝶や合はぬ門扉の右ひだり

ラジオから昭和歌謡や花ぐもり

花御堂解きて二日の雪降れり

尻ちよいと上げて行きしは春の鵙

雪柳ほろほろこぼる水車小屋

楠落葉彫漆の色重ねをり

白熱のシニアサッカー花は葉に

鳩の来て藤の花芽をしきり食ふ

菜の花もたけて気長に鷺の漁

聞き得たり椋鳥が真似をる杜鵑

いつも来るいつもの時刻揚羽蝶

橡の芽も朝の雨に傘ひらく

しこ草も我も春日を浴びてをり

立浪草日ごとに高き波しぶき

たまゆらを蝶のとどまる幼の手

黄金週間こぼるるやうに過ぎてゆき