黄金週間 亜紀子
風湧くや喜び走る花の塵
花圃あれば虻蜂のごと花圃に寄る
初蝶や合はぬ門扉の右ひだり
ラジオから昭和歌謡や花ぐもり
花御堂解きて二日の雪降れり
尻ちよいと上げて行きしは春の鵙
雪柳ほろほろこぼる水車小屋
楠落葉彫漆の色重ねをり
白熱のシニアサッカー花は葉に
鳩の来て藤の花芽をしきり食ふ
菜の花もたけて気長に鷺の漁
聞き得たり椋鳥が真似をる杜鵑
いつも来るいつもの時刻揚羽蝶
橡の芽も朝の雨に傘ひらく
しこ草も我も春日を浴びてをり
立浪草日ごとに高き波しぶき
たまゆらを蝶のとどまる幼の手
黄金週間こぼるるやうに過ぎてゆき