橡の木の下で

俳句と共に

「あぶらちゃん」令和3年『橡』5月号より

2021-04-29 15:14:57 | 俳句とエッセイ
 あぶらちやん   亜紀子

山茱萸の道へ回れば咲いてをり
また増ゆるコロナ予想も木の芽時
真白なる大樹何ぞや豊後梅
一心に日ざし集むるあぶらちやん
立ち話またひとり寄る日永かな
すれ違ふ誰もどこかに春愁ひ
草を引く我が密かなる楽しみの
寺庭が子らの園庭花一樹
ぼけあけびあせび万朶のお中日
つくねんとコロナ渦中の春彼岸
春風に木々もスウィング軽音部
花の春コロナ前線進むやも
駆け込める信号花の繽紛と
碇草咲いてこの地を去りがたく
雪柳香るこの家を去る日かな