橡の木の下で

俳句と共に

「橡三十五周年の春」平成31年会報1月号より

2019-01-01 18:34:23 | 俳句とエッセイ

 橡三十五周年の春    亜紀子

 

 昨年秋、原田幹事長が馬酔木会報第一号(昭和五十二年六月)をメールで送ってくださった。安中の黛同人が保存されていたのを、句会の折に持参されたとのこと。その会報巻頭言の中で、父星眠が相馬遷子先生のご家族から譲り受けた古い馬酔木誌(昭和十年代〜)について触れていた。黛さんの古い会報の中に、古い馬酔木の話、何となく歴史の入籠のようで面白かった。

 『ここに創刊される馬酔木会報が、自由に談笑したり、教え合ったりする場となり、埋め草のような断片を、誰彼から提供して貰うことによって、本当の友情を培うよすがになることを期待している。—中略—同人も一般会員も、馬酔木会員であることに於ては全く等しいばかりでなく、俳句の技法や境地を別にすれば、生き方という点において私たちは、馬酔木集一句の先輩たちから、多くの教示を得なければならない。げに縁(えにし)ほど大切なものはない。』

 巻頭言の骨子を父はこう記している。父はじめ、多くの先輩諸氏の精神を引き継いだ橡会報にもこのまま当てはまる。今年は橡三十五周年。来し方に深く思いを到し、手に手を取って新しい年へと進みたい。


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草稿01/01

2019-01-01 16:49:20 | 一日一句

大泣きに泣かせる映画年の果て

日陰家も玉の日和の初旦

亜紀子


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平成30年度 橡の芽賞発表

2019-01-01 16:37:29 | 小・中学生の俳句募集

平成30年度 橡の芽賞

岐阜 中一 豊田椎乃

真っ黒な波が崩れて夜光虫

 

 この句を文章にしてみました。

「灯りのとぼしい夜の海。岸辺を歩くとき、波音だけがよく聞える。昼間の波うちぎわは白く泡立って寄せていたけれど、ああ、あの光は夜光虫!崩れた波がしらに沿うように、きらきらと光る不思議。」

豊田さんの俳句はこの三行を五七五に簡潔にまとめて印象深いです。夜光虫の正体はプランクトン。揺らしたり、ぶつかったりすると体の中に持っている成分が反応してよく発光するそうです。この性質が俳句の中でも上手く表されています。実はこの秋、家の者が夜光虫ごと海水を取ってきました。透明なプラスチック容器に入れ、夜ともなると灯りを消して、真っ暗な部屋の中で揺すってみました。きらきらと光が走りました。一週間くらいは楽しんだものです。そのたびに豊田さんの俳句を思い出しました。夜光虫を見たこともない方もあるかと思います。いつかどこかで見る機会があれば、きっとこの句が浮んでくることでしょう。    亜紀子

 


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第13回「橡の芽投句欄」選後鑑賞

2019-01-01 16:33:26 | 小・中学生の俳句募集

選後鑑賞  亜紀子

 

一席  岐阜 中二  豊田椎乃

流れ星キャンプ最後の露天風呂

 

 楽しかったかキャンプ最後の夜。

星降る露天風呂も思い出になりますね。

 

二席  吉岡 中二  杉木萌々菜

眠る木々優しい風と星月夜

 

秋の夜空の美しさと、そよ風。

木立の影も気持ち良く並んでいるようです。

 

三席  吉岡 中二  高野真羽

森の中耳をすませば秋の声

 

森の小道を行くとき、木々の間から季節のうつりゆくかすかな気配を感じます。

風の音でしょうか。繊細な感覚ですね。

 

秀逸

 

岐阜 中二  豊田椎乃

学ランがずらり窓辺に日向ぼこ

 

福岡  小四  松本馨子

水面にうつる花火もうつくしき

 

久留米 中一  大野慈峰

宝石が空に広がる星月夜

 

佳作

 

吉岡 中二  大塚紗世

朝一番聞えてくるは秋の声

 

吉岡 中二  近江寿帆

クッションのかわりになるのは紅葉だね

 

吉岡 中2 佐藤 優妃 

赤々とえの具のように紅葉舞う

 

吉岡 中2 梅田 苺香 

天然のプラネタリウム星月夜

 

吉岡 中2 石澤 佑希 

ふと見上げ紅葉舞い散る帰り道

 

吉岡 中2 小林 梓  

暗い夜ゆく先照らす星月夜

 

吉岡 中1 飯塚 健太 

どての下映る紅葉は川の中

 

吉岡 中1 大野 美音 

小さな子赤色紅葉自慢する

 

吉岡 中1 柴﨑 あかり 

朝日さす窓を開ければ秋の声

 

吉岡 中1 島田 帆菜 

手をつけて窓を眺める星月夜

 

吉岡 中1 須田 萌花 

紅葉山夕焼け色の服まとう

 

吉岡 中1 橋本 樺蓮 

歩いてると木の実をリスがくわえてる

 

東京 小二 吉藤心菜

スズムシやいろんな虫が歌ってる

 

東京 年長 吉藤蒼一郎

きものきてぼくとすみれの七五三

 

 

 


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