橡三十五周年の春 亜紀子
昨年秋、原田幹事長が馬酔木会報第一号(昭和五十二年六月)をメールで送ってくださった。安中の黛同人が保存されていたのを、句会の折に持参されたとのこと。その会報巻頭言の中で、父星眠が相馬遷子先生のご家族から譲り受けた古い馬酔木誌(昭和十年代〜)について触れていた。黛さんの古い会報の中に、古い馬酔木の話、何となく歴史の入籠のようで面白かった。
『ここに創刊される馬酔木会報が、自由に談笑したり、教え合ったりする場となり、埋め草のような断片を、誰彼から提供して貰うことによって、本当の友情を培うよすがになることを期待している。—中略—同人も一般会員も、馬酔木会員であることに於ては全く等しいばかりでなく、俳句の技法や境地を別にすれば、生き方という点において私たちは、馬酔木集一句の先輩たちから、多くの教示を得なければならない。げに縁(えにし)ほど大切なものはない。』
巻頭言の骨子を父はこう記している。父はじめ、多くの先輩諸氏の精神を引き継いだ橡会報にもこのまま当てはまる。今年は橡三十五周年。来し方に深く思いを到し、手に手を取って新しい年へと進みたい。