なかなか釣りに行けない

なかなか実釣出来ず、稀の釣行を夢見て、机上の空論を重ねる備忘録です。

「鬼滅の刃」考2(20201029)

2020年10月29日 20時05分17秒 | 日記

「鬼滅の刃」考2(20201029)

横川良明氏の少年ジャンプ編集部(片山達彦氏・浅井友輔氏)インタビュー記事を読んだ。
これは5月頃に一度読んでいるが、今日また読み返してみた。

1)横川良明氏取材、「鬼滅の刃」初代担当編集・片山達彦氏、現担当編集・浅井友輔氏(20200307)
『鬼滅の刃』大ブレイクの陰にあった、絶え間ない努力――初代担当編集が明かす誕生秘話 - ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/17760339/?utm_source=headtopics&utm_medium=news&utm_campaign=2020-03-07

つまり、作品を通して感じた何かが、自分にとっての「鬼滅の刃」なのだ。
そう言ってしまえば身もフタもないが、芸術作品とは本来そのようなもの。
他人の評ではなく、自分がどう感じたかだ。
珠玉の作品と感じれば、他人がどう批評しようと、もうそれが一番の宝物。

清少納言「枕草子」を思い出す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/枕草子
成立は西暦1001年、なのに今だ読み継がれ愛される。
1000年以上も前の、女子の他愛ない散文なのに、だ。
でも私はこの清少納言の散文「枕草子」を心から愛する。
この1000年に及ぶ感動が私の中で今でも続いているからだ。
だからこそ1000年前の清少納言に今でも有難うと伝えたい。

その同じ感覚を吾峠呼世晴女史に感じる。
"この素晴らしい作品を、本当に有難う"

清少納言にこの言葉はもう届かない。
でも吾峠女史には、作品を購入することで私の想いは届けることが出来る。
なんという幸運だろう。
吾峠女史と時を同じく作品に触れる、もう感謝しかない。

1)横川良明氏取材、「鬼滅の刃」初代担当編集・片山達彦氏、現担当編集・浅井友輔氏(20200307)
『鬼滅の刃』大ブレイクの陰にあった、絶え間ない努力――初代担当編集が明かす誕生秘話 - ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/17760339/?utm_source=headtopics&utm_medium=news&utm_campaign=2020-03-07

初代編集者:片山逹彦氏のお写真
http://animesoku.com/archives/13826439.html

曰く(中略)、
「吾峠先生も同じで、中心に普通の人を置いて、周りに異常性のあるキャラクターを配置するとちょうどいいのではないかと。そこで生まれたのが炭治郎でした。ぜひその話、もっとくわしく聞かせてください。じつは炭治郎というキャラクター自体は、もともと先生の頭の中にはあったそうなんです。ただ、先生の中でサブキャラだったんですよ。え、そうなんですか。連載ネームが落ちた後に、主人公を別の人物に変えようという話になり、「この作品の中に、もうちょっと普通の子いないですかね」と聞いてみたんです。すると、「炭を売っている男の子がいて、その子は家族全員殺されたうえに妹が鬼になっちゃって。男の子は妹を人間に戻すために鬼殺隊に入るんです」と話し始めたんです。それ、めちゃくちゃ主人公じゃないですかと。」

「宿命を背負ったキャラクターは、物語を動かす推進力になる。その子を主人公にしてもう一度書きましょうと先生に提案しました。そうして生まれたのが、『鬼滅の刃』でした。▲コミックス第1巻より、連載会議用に描き下ろされた炭治郎と妹の禰豆子。ふたりのデザインは、この時点でもう完成している。©吾峠呼世晴/集英社『鬼滅の刃』ネームを初めて読んだ際の衝撃初めて『鬼滅の刃』のネームを受け取ったときのことは覚えていますか?覚えています。たしか他作品の原稿を受け取りに行ったタクシーの中だったと思うんですが、第1話の義勇の「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」というセリフにしびれましたね。なんだこれ、こんなセリフ見たことないぞと。」

「©吾峠呼世晴/集英社▲コミックス第1巻より、『鬼滅の刃』連載開始の予告カット。「炭治郎が禰豆子の口を手で隠しているのがカッコいいですよね。第1話を読んでから見ると、禰豆子が鬼になっているからだとわかる。スゴい発想だと思います」。©吾峠呼世晴/集英社その他のキャラクターデザインに関しては何かアドバイスをされたりしましたか?目に留まるデザインは読者に受けるので、何かしらチャームポイントがあるといいですよねという話はしました。逆に言うとそれぐらいで、それ以外のことは何も言ってないです。禰豆子が竹筒をくわえているのとか、普通出てこない発想ですよね。あれはヤバいですよね。あの竹筒だけでもう完全にオリジナリティのあるチャームポイントができている。我妻善逸や嘴平伊之助といったキャラクターに関しても、最初からすでに先生の頭の中にはあったんですか?▲第49話(コミックス第6巻収録)より。炭治郎の同期である善逸や伊之助の登場により、ギャグパートが強化。炭治郎の表情にもバリエーションが増えた。」

「唯一心配だったのは、連載が決まってから上京されているので、アシスタント経験がないことです。スタッフにどう指示出しをすればいいのかわからなかった。そこで、僕が担当していた『ブラッククローバー』の田畠(裕基)先生の仕事場に一緒に見学に行きました。田畠先生がアシスタントの方たちとどんなふうに仕事をしているのかを見せてもらったんです。たまに目次コメントで交流があるのは、そこからです。なるほど! 『鬼滅の刃』でいうと、それまでの読み切り作品と比べても笑いの要素がグッと増えている気がするんですね。読みやすさを意識して、編集サイドからアドバイスしたことなんですか?いえ、もともとご本人の素養としてギャグが好きというのが大きいです。先生は『銀魂』が大好きなんですよね。だからギャグを入れるのもお好きで。▲『鬼滅の刃』コミックスに収録されているおまけ漫画(画像は6巻収録のもの)。キャラクターたちを学生や教師に置き換えた学園もので、吾峠先生のギャグセンスが炸裂している。©吾峠呼世晴/集英社序盤はたしかにシビアな展開が続きますけど、じつは第1話に雪で滑って崖から落ちた炭治郎が「助かった…雪で…滑ったのも…雪だけど……」と言うシーンがあります。そのときから、笑いの要素はしっかり入っているんです。」

「それが善逸や伊之助といったキャラクターが出そろい、ボケとツッコミの役割が明確になってからはさらにわかりやすくなったと思います。自分のために描かない。読者が楽しんでくれるかどうか『銀魂』の空知英秋先生が昨年末のニコニコ生放送の手紙でネタにした「俺は長男だから我慢できた。次男だったら我慢できなかった」など、『鬼滅の刃』には面白いセリフが多いですよね。きっとキャラクターのいる世界に入り込んで、見てきているから、そういうセリフが出てくるんでしょうね。けっこうロジカルなんですよ、先生のセリフは。これは僕の予想ですが、大正時代は生活が大変なうえに兄弟姉妹も多かったので、今の時代よりも「長男」という意識が強い。きっと炭治郎もことあるごとに「長男なんだから」と言われていたはずです。そういった時代背景を考慮して、ああいったセリフになったのではないかなと。そんな考察が…。ちなみに『鬼滅の刃』がグッとくるところのひとつが、敵である鬼側にもドラマがあることだと感じているんですが、こういった鬼の描き方もすべて先生のアイデアですか?僕からは何も言っていないです。きっと先生の中で「鬼ももともと人間なんだから、人間としての生があるべき」という考えがあるんだと思います。」

「編集者にとってはあきらめずにやり続けるぞという気持ちにさせてくれる、夢と希望のつまった作品だと思います。改めて『鬼滅の刃』がここまで人気を獲得できた理由は何だと思いますか?小中学生でも理解できるわかりやすさと、作家性の両方を兼ね備えた作品であること。吾峠先生が連載を獲得するまでに何度も葛藤しながら培ったものと、もともと先生が備えていた才覚が重なり合った結果が、『鬼滅の刃』の魅力だと思います。そういう意味でも、「先生の力」という一言に尽きますね。この熱狂を、吾峠先生自身はどう受け止めていらっしゃるのでしょう?もちろんうれしいとおっしゃっていますが、先生自身は何も変わらずに、粛々と漫画を描き続けています。職人なんですよね、先生は。いつも物語のことをいちばんに考えている。それは出会った頃から変わりません。▲第24話(コミックス第3巻収録)の名シーン。「勝てないのでは…」と絶望に飲まれかけた炭治郎が、必死に自らを鼓舞する姿が共感を誘った。「本当に努力家」と片山氏が評する、吾峠先生の気概が象徴された場面ともいえる。ちなみに、前述の「俺は長男だから~」も第24話のセリフだ。」


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