上砂理佳のうぐいす日記

「夏への扉」展では暑い中、たくさんの方にお越しいただき誠にありがとうございました!★

エクス・マキナ★

2016-07-15 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


アカデミー視覚効果賞受賞、そして脚本賞もノミネート!
↑の宣伝写真で妙に気になり、楽しみでしたがこれが大当たり★★★★
監督・脚本が、アレックス・ガーランドということですが、あのディカプリオの「ザ・ビーチ」の原作者です。オドロキでした。
この痛烈な社会風刺はそういえば…私、ガーランドが脚本を書いた「28日後…」も、知らず知らず見てました。やっぱり好みなのね。

世界一の検索エンジン企業社長=ネイサンが、極秘で創造したAI(ロボット)の美女=エヴァと、彼女に魅かれていく、ネイサンの会社のプログラマー=ケイレブ。社長の別荘の日本人型(?)メイド=ロボットのキョウコ。
主な登場人物はこの4人だけしかいないのですが、SFであり、サスペンスであり、心理劇で密室ホラー…静謐な世界の中に、恐ろしいどんでん返しが待っています。

ロボットのCG描写が素晴らしく、もう、唸りました~!さすがオスカー受賞。
どうやって作ってるんでしょうね。CG技術だけ浮いてるんじゃなく、作品に美しく溶け込んでいるので、「アートそのもの」です。
成功した若きIT社長の豪勢な別荘も素晴らしい。ノルウェーに本当にある、個人の邸宅とホテルだとか。浮世離れしてます。
緑の渓谷が見渡せる総ガラス張りのフロアと、巨大な岩がそのまま室内の壁になっている…そして社長は箸を使って、ロボットメイドに握らせた「鮨」をつまんでる。
この「欧米人のセレブ表現」が相変わらずで、ちょっと笑けます(笑)。だってどんなに気取ったって、鮨ネタ冷凍やん、とか(笑)。

山奥の豪邸は実は「実験室」にもなっていて、毎日、カメラで美女ロボットのエヴァを監視しています。
エヴァは若く美しく、身体の線がくっきりわかるボディスーツ仕様の外見で、優しい少女の声をしています。
この身体の一部分がスケルトンで、ほ~んとに良く出来た映像つうか機能美すら感じます。
プログラマー男のケイレブは、いわば社長が選んだ実験台で、エヴァとケイレブが出会うことにより、そこに恋愛は生まれるのか、エヴァの行動はどうなるのか?
でも、1日に一度ぐらい、この邸宅全体の停電が起こるのです。パソコンがダウンするみたいに。
停電が起きている数分間だけ、監視カメラは起動しないので、エヴァはケイレブに「あの社長を信用しないで。私をここから出して」と、そそのかすのです。美しい肢体と瞳で。。。
再起動すると、またカメラが動き出すので、何食わぬ顔のエヴァ。
ケイレブの心がザワザワと波立ち…ちょっとケイレブさん、単純過ぎないか。いい歳をした男なのに、一目惚れ早すぎやろ(笑)。

エヴァを演じているアリシア・ヴィキャンデルはスウェーデン出身で、まだ少し少女のような、華奢で可愛らしい透明感のある女優さん。本当に美しいですねえ。耽溺しました。
「ロボットなのか?人間なのか?」ボーダーラインにいるようなあやうい魅力で、彼女の美貌と演技の上手さのお蔭で画面が持ちました(笑)。
正直、ネイサンとケイレブが地味めなので、二人だけのシーンの所は眠りかけた(笑)。
途中まではそんなに大きな事件も起こらずテンポもゆるいので、映像の美しさとひたすらエヴァの美しさ頼りかな…設定自体はそんなに画期的ではないものね。

メイドの「キョウコ」の描写ですが、映画試写を見た日本男性記者がチラッと「アジア人差別を感じなくもない」と述べていて、そういう目で見てしまうからか、やや嫌悪感は感じました。
英語を理解出来ず、話せず、ハイヒールに濃い口紅、相変わらずの目尻吊り上げアイメイク、結った黒髪にかんざし、そして性の奴隷でもある。
欧米人から見たアジア人って…やっぱり潜在意識はこうなんだな~と、意地悪く思ってしまいます。
もしこれが、逆ならどうなるんでしょうね。ヒロインがアジア人で、メイド役が欧米人だったら?そんな映画も、見てみたい気はします。だってそういう作品って…無いでしょ?

さて予想通り、ロボットのエヴァは反乱を起こしますが…これが意外な展開でした。ハラハラドキドキ、ついエヴァを応援してしまいます。だって可憐なんだもの。
まだ公開中なのでネタバレは避けますが、私は女なので、結末はけっこう心で拍手してました(^^;)。男って一体。。。。
人間の存在ってなんなんでしょう。ロボットの方が幸せなんだろかー。
あのあと世界はどうなるのか、続編まで期待してしまいます(作れないことはない)。
細かいところで矛盾はあるのですが、魔法にかかったようなシュールな、美しい、けど怖い映画でした。

ジャクソン・ポロックの抽象絵画が出てきましたが、あれまさか本物じゃないよね(笑)。でも、センスいいな~って、ため息出ます。この映画にピッタリです。
ロボットのデザインを創るにあたり、ブランクーシやバウハウスの名前が出てくるあたり、やはりやはり並大抵の研究力じゃないですよね。奥が深い。
とにかく室内の小物に至るまで、デザインセンスが優れてて、安っぽくないところがいいです。
細かいところだけど、エヴァが選ぶお洋服とか、北欧ナチュラルテイストで素敵ざんす。
最後に選ぶ服も、新しい旅立ちにふさわしいような…。

日本でもこんな映画作れないのかな~~~~。って思ってしまいました。
日本映画も好きですよ!いいものいっぱいありますよ!
でも、何かこう、根本的に「世界の造り方」が、違うような気がするんですよねー★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする