本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
津原康水さん、『バレエ・メカニック』
眼を瞠るように身を乗り出すように、どきどきと読んで堪能した作品。
ありえない景色が突如あらわれ、こちらの心構えもあらばこそ、見る見るうちに溢れ流れ出したのだった。 そしてそれが、不可解な力の影響下におかれ、じわじわと破壊されていく東京の姿だったのだ。
“サイバーパンク”っていったい何のこと?と言うくらい、その手の用語に疎い私ではあるけれど、物語の方は存分に楽しんだ。
『バレエ・メカニック』、津原康水を読みました。
押し寄せる幻・幻…の氾濫に、その目まぐるしさに、振り落とされまいと必死でしがみつく瞬間の快感と言ったらなかった。 どんな高さにも眸を閉じるまいとして、まるで駆けるようにして物語を追いかけていく。 …それもまた快感であり。
大脳皮質の大半が壊死しているにも関わらず、脳幹ばかりが異常に活動し続けている少女・理沙。 都心を中心として起こる異常現象から奇跡的なネットワークが形成され、それらはかつての理沙を取り巻いていた事柄と奇妙に符合が一致するのであったが――。 果たして本当に、“都市は人間の脳を代替しうるのか?”。
物語は大きく、三つの章に分かれている。 そして章が変わればその中心人物たちも時制も、少しずつずれていくことになる。
まず第一章での主人公・木根原は、“きみ”という二人称で突然物語の中心に現れる(正直なところ私は、“きみ”にはいささか面食らった…)。 深い昏睡に沈み込んだままの少女の、その父親である。 娘の主治医である脳外科医・龍神と木根原は、木根原自身が造形した巨大蜘蛛に差し招かれるまま、どこまでも異様に変容していく東京へと足を踏み入れていく。
第二章へと話が進むと、理沙の主治医であった龍神が、〈彼女〉という呼び名で物語の中心となる。 造形作家である木根原と〈彼女〉の理沙探しに、〈彼女〉自身の個人的な過去が絡み合いもつれ、そこからまた意外な展開を見せつつ第三章「午前の幽霊」へと雪崩れ込んでいくのであったが…。
で、その第三章。 たったの1ページめくっただけでいきなりの展開!一体全体どんな高みにまで跳び上がらせられたものかと、しばし茫然としてしまった次第である。 …いやはや、面白かった。
設定のあれやこれやにはとことん目を眩まされたけれど、読み終えてしばらく物語を反芻していると、作品の底流をなす喪失感が後をひいていることに気が付くので、あった(興奮気味にざわざわしていた読後感が、静かなそれへと静まっていくように)。
ありえない景色が突如あらわれ、こちらの心構えもあらばこそ、見る見るうちに溢れ流れ出したのだった。 そしてそれが、不可解な力の影響下におかれ、じわじわと破壊されていく東京の姿だったのだ。
“サイバーパンク”っていったい何のこと?と言うくらい、その手の用語に疎い私ではあるけれど、物語の方は存分に楽しんだ。
『バレエ・メカニック』、津原康水を読みました。
押し寄せる幻・幻…の氾濫に、その目まぐるしさに、振り落とされまいと必死でしがみつく瞬間の快感と言ったらなかった。 どんな高さにも眸を閉じるまいとして、まるで駆けるようにして物語を追いかけていく。 …それもまた快感であり。
大脳皮質の大半が壊死しているにも関わらず、脳幹ばかりが異常に活動し続けている少女・理沙。 都心を中心として起こる異常現象から奇跡的なネットワークが形成され、それらはかつての理沙を取り巻いていた事柄と奇妙に符合が一致するのであったが――。 果たして本当に、“都市は人間の脳を代替しうるのか?”。
物語は大きく、三つの章に分かれている。 そして章が変わればその中心人物たちも時制も、少しずつずれていくことになる。
まず第一章での主人公・木根原は、“きみ”という二人称で突然物語の中心に現れる(正直なところ私は、“きみ”にはいささか面食らった…)。 深い昏睡に沈み込んだままの少女の、その父親である。 娘の主治医である脳外科医・龍神と木根原は、木根原自身が造形した巨大蜘蛛に差し招かれるまま、どこまでも異様に変容していく東京へと足を踏み入れていく。
第二章へと話が進むと、理沙の主治医であった龍神が、〈彼女〉という呼び名で物語の中心となる。 造形作家である木根原と〈彼女〉の理沙探しに、〈彼女〉自身の個人的な過去が絡み合いもつれ、そこからまた意外な展開を見せつつ第三章「午前の幽霊」へと雪崩れ込んでいくのであったが…。
で、その第三章。 たったの1ページめくっただけでいきなりの展開!一体全体どんな高みにまで跳び上がらせられたものかと、しばし茫然としてしまった次第である。 …いやはや、面白かった。
設定のあれやこれやにはとことん目を眩まされたけれど、読み終えてしばらく物語を反芻していると、作品の底流をなす喪失感が後をひいていることに気が付くので、あった(興奮気味にざわざわしていた読後感が、静かなそれへと静まっていくように)。
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