8月3日

 @rinakko
 【沈黙博物館/小川 洋子】を再読した本に追加
 
 再読。幾度目かの。この作品における『アンネの日記』の役割が印象深くて、そのことはずっと覚えていた。
 冒頭で、語り手の数少ない持ち物の中に『アンネの日記』の本そのものが出てくる。思えば『アンネの日記』とは、まず他の誰でもないアンネ・フランク自身の形見であり、だから二重の意味での“形見”を大事にし続けてきた彼は、老婆に(そして博物館に)選ばれるべくして選ばれた人物だった。
 “博物館は増殖し続ける。拡大することはあっても、縮小することはありえない。まあ、永遠を義務づけられた、気の毒な存在とも言えよう。ひたひたと増え続ける収蔵品に恐れおののいて逃げ出したら、哀れ収蔵品は二度死ぬことになる。”


 @rinakko
 小川洋子の初期作品を刊行順に読み返してきて、『アンネの日記』に触れているのはどの作品だったかな…と思っていたら、まず三作目の「ダイヴィング・プール」(『冷めない紅茶』所収)に出てきて、その次が『シュガータイム』。
 『密やかな結晶』は、作品そのものがオマージュとして読めることにあらためてしみじみ。
 そして、小説ではないけれど大切な『アンネ・フランクの記憶』があって、この度読み返した『沈黙博物館』にたどり着いた。
 『沈黙博物館』まで読み返すのは当初から決めていたので、これで一区切り

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