9月に読んだ本

9月の読書メーター
読んだ本の数:20
読んだページ数:4777

辺境の館辺境の館
読了日:09月30日 著者:パスカル キニャール
S倉迷妄通信S倉迷妄通信の感想
再々読。いよいよ「プチ信仰」が入ってくる。個人が純粋にただ祈る。つまりそれは… “要するに単なる思い込みの神だ。全てのマイナスを「文学」故に起きる不幸として甘受するだけ。この神は頼れない。何か判断する時は神の名を呼んで自分で決めるだけ。” “一番大事な事は、結局そこにあるのがただ文学の神という言葉だけだという事を理解して覚めている事。” 自己救済のための妄想を現実に結びつけてくれる、完全な発狂を免れるための場所。その程度の生活必要グッズ、それが「プチ信仰」と。(めも 神の担当交替。化け猫ルル。
読了日:09月29日 著者:笙野 頼子
幽界森娘異聞幽界森娘異聞の感想
偏愛本。「森茉莉が好き」と言ったとして、でも私の好きな森茉莉と他の人たち(例えば所謂ファン、とか)の好きな森茉莉は同じではないかも知れない。…という感覚はわかる。で、笙野さんにとっての “好きすぎる程だった純文学境界例異色作家”の森茉莉は、ここでは“森娘”として語られる。無批判な心酔からは程遠い直ぐな眼差しが、森娘に注がれている。終盤の、森娘の好きだったハンバーグを食べようと出かけたのにその店(スコット)にはたどり着けず、疲労困憊してどしゃ降りの中、偶然にこれまた縁の蕎麦屋に行きつく件も何だかぐっとくる。
読了日:09月25日 著者:笙野 頼子
とつくにの少女 8 (BLADEコミックス)とつくにの少女 8 (BLADEコミックス)
読了日:09月24日 著者:ながべ
愛別外猫雑記 (河出文庫)愛別外猫雑記 (河出文庫)の感想
再読。外猫問題との格闘記。時系列を意識してこの作品を読み返してみると、笙野さんの怒りの射程が外側へと向かってぐっと伸びていく、その端緒ともなった経緯がこの一冊のなかに詰まっている…という印象が強い。そも猫好きではない、特に子猫が苦手で触ることも出来ない主人公が、外猫たちそれぞれの個性を知り、友として彼らを守り抜こうとする姿にただ打たれる。“その後の私には人間の多くが、ブリューゲルやボッシュを連想させる、地獄絵の化け物に見えるようになった。野良猫を見ていると都市の土地と人の暗黒面が実は見えてくる。”
読了日:09月22日 著者:笙野 頼子
幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法 (朝日選書)幼さという戦略 「かわいい」と成熟の物語作法 (朝日選書)
読了日:09月20日 著者:阿部公彦
渋谷色浅川渋谷色浅川
読了日:09月19日 著者:笙野 頼子
てんたまおや知らズどっぺるげんげるてんたまおや知らズどっぺるげんげるの感想
超前衛純文学作家「笙野頼子」が、純文学論争小説を書く為に急遽復活させた沢野千本。(めも 沢野千本: 二百回忌(この時は沢野センボン)、渋谷色浅川(表題作だけ1996年で登場2度目)、タイムスリップコンビナート、てんたまおや知らズどっぺるげんげる
読了日:09月17日 著者:笙野 頼子
時ノアゲアシ取リ―笙野頼子窯変小説集時ノアゲアシ取リ―笙野頼子窯変小説集
読了日:09月15日 著者:笙野 頼子
彼方 (創元推理文庫)彼方 (創元推理文庫)の感想
“この男は、さっきもいったとおり、ほんとうの神秘主義者なんだ。しかも、歴史上に類例のない異常な出来事を目撃したのだ。それで、ジャンヌ・ダルクとの頻繁な交渉が、神への情熱を尖鋭化したにちがいない。ところが、熱狂的な神秘思想と過激な悪魔礼讃とのへだたりは、わずかに紙ひとえだ。(略)彼は熱狂的な祈禱の態度をその逆の領土に移したまでだ。” “ともかく、研究する興味のあるのは、聖者と極悪人と狂人だけだ。”
読了日:09月13日 著者:ジョリ=カルル・ユイスマンス
抽斗のなかの海 (単行本)抽斗のなかの海 (単行本)の感想
朝吹さんの清透な佇まいの文章が好きで、エッセイを読むのは多分初めてだがとてもよかった。勿体ないと思いつつぐびぐび読み耽った。文学のこと、小説を読むよろこびを語る箇所には身を乗りだすほど惹かれたし、それ以外の思い出や日常を綴るエッセイも堪能した。とりわけ印象深いのは、古井由吉の小説をとり上げて、時制や“無事”という時間の流れについて思惟を巡らせる「背表紙が卒塔婆にみえていた頃」や、ああここにもガール・ミーツ・シブサワ…と嬉しくなった「昼休みのドラコニア」、金井美恵子に触れている「ともぶれするよろこび」とか
読了日:09月10日 著者:朝吹 真理子
視線は人を殺すか―小説論11講 (MINERVA歴史・文化ライブラリー)視線は人を殺すか―小説論11講 (MINERVA歴史・文化ライブラリー)の感想
まずは“視線”という切り口自体が私には盲点で、ぐっと掴まれた。それは目に見えない出来事でありつつ、投げかける側にも投げかけられる側にも心理的作用を及ぼし、相互関係の変化のきっかけともなり得る。では小説において人間が描かれるとき、視線はいかなる戦略として用いられるか…という考察が、馴染み深い作品を中心に繰り広げられる。恋を見破る視線、覗き見、錯覚、誘発、脅かし…。最近読んだ『ヴィレット』の章や、『ヴェニスに死す』『高慢と偏見』『緋文字』『レベッカ』『グレート・ギャツビー』『春琴抄』などなど、頗る面白かった。
読了日:09月09日 著者:廣野 由美子
地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 3巻地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 3巻
読了日:09月08日 著者:竹宮 惠子
地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 2巻地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 2巻
読了日:09月08日 著者:竹宮 惠子
地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 1巻地球へ…[カラーイラスト完全版デジタルエディション] 1巻
読了日:09月07日 著者:竹宮 惠子
説教師カニバットと百人の危ない美女説教師カニバットと百人の危ない美女の感想
再読。うーむ、面白かった。作者からはかなりデフォルメされたところの主人公、異色カルト作家の八百木千本がいよいよ出てきた。この人、「笙野頼子」と幾つかの共通点はありつつも全くの別人であり、八百木千本は「笙野頼子」嫌いだし、「笙野頼子」は八百木千本の語りに結構つっこみを入れてくる。笙野さん自身から突き離された感のある八百木千本が語り手になることによって、作品内の声がより重層的になり面白くなっていく…そんな作品。
読了日:09月06日 著者:笙野 頼子
東京妖怪浮遊東京妖怪浮遊の感想
こちらは初読。単身妖怪ヨソメと、字が読めて人の心も読めてワープロも打つ触感妖怪スリコ(不思議猫ドラ)。“ドラの体調が悪い時はなぜかヨソメの方も具合が悪くなっている”とか、今読むと「ああそうだったのねー」とじんわりくる。守り猫。
読了日:09月05日 著者:笙野 頼子
音楽の憎しみ (パスカル・キニャール・コレクション)音楽の憎しみ (パスカル・キニャール・コレクション)の感想
再読。
読了日:09月04日 著者:パスカル キニャール
太陽の巫女太陽の巫女の感想
再読。この作品から日本神話が題材として前面に出てきたのか‥と。竜神系一族巽家と蛇神系一族滝波家における、神話という解けない呪い。一代に一組ずつの婚姻、続いてきた混血、血族の容貌、各家の盛衰、「竜と蛇の差別」「貴種の物語」…。そんな中、「一代混血の竜女(選ばれた女)」を母に持つ滝波八雲は、「夢に嫁す」という単身婚を選ぶ。その夫は滝波の神(=被征服神)であり、「今まさに死のうとする冬至の太陽」だという。冒頭から、婚姻儀式中の会食場面が延々と続き、そのみっちりとした重い流れに引きこまれる。
読了日:09月03日 著者:笙野 頼子
方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)
読了日:09月02日 著者:ギョルゲ・ササルマン

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