本が好き!な、りなっこのダイアリーです。週末は旦那と食べ歩き。そちらの報告も。
本読みの日々つらつら
4月18日(水)のつぶやき(読んだ本『アラブ、祈りとしての文学』)
(@rinakko) 2018年4月18日 - 10:40
【アラブ、祈りとしての文学 【新装版】/岡 真理】
素晴らしい本に出会えたことの嬉しさと、知らされたことの重みで胸がつぶれそうな苦しさと、上手く交じり合わせられない2つの気持ち。揺さぶられる度にそこでしばし立ち尽くし、自分の中に受け止めようとした。知るのに遅すぎることはない…と静かに言い聞かせる。そんなことが幾度も。ナクバという言葉とともに、忘れがたい一冊となった。
ずっと「アンネの日記」が好きなので、アンネが彼女自身の言葉で綴った理想や願い、その祈りとなんてかけ離れてしまった未来だろう…と、遣り切れない哀しみも押さえられなかった。
祈りは無力であり、小説もまた無力である。今日を耐え忍ぶ人々を支えるような、魂の救いになることもほとんどない。では、祈ることは無意味なのか。その問いの先に、“人が死んでなお、その死者のために祈ることに「救い」があるのだとしたら、小説もそのようなものではないか”という文があり、私はこの言葉に確かに救われたけれど、その灯はどれほどの闇を照らすことが出来るだろう…と考えて、また気が遠くなってしまう。でも、祈るしかない。
理想を謳えば嘲笑されかねないこの国に生きていて、あらためて本当に祖国って何…とも思ったり(非国民の共同体、か…)。紹介されるアラブ文学、以前カズオ・イシグロが「素晴らしい小説なら短い文章に纏めるだけでも心打つものがある(あらすじ以上のものになる)」というようなことを言っていたのを思い出した。『アーミナの縁結び』とか、まさにそんな作品なのでは…と。
“『千夜一夜物語』を踏襲している”という言葉があるのを見てますます『アラベスク』読んでみたくなったし、なぜヘブライ語で書かれたのかという観点にも感じ入った。
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