8月に読んだ本

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5588ページ
ナイス数:195ナイス

ヘリオガバルス: あるいは戴冠せるアナーキスト (河出文庫)ヘリオガバルス: あるいは戴冠せるアナーキスト (河出文庫)
読了日:8月31日 著者:アントナンアルトー
スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)
読了日:8月30日 著者:フィリップ・K.ディック
絞首人絞首人の感想
いつか自分は何者かになれるだろうか。誰かに見出されるだろうか。不安と背中合わせな17歳の少女の矜持、拙い自意識と周囲との不協和音に、懐かしさだけでは片付けられない痛みを覚えつつ読む。内向的な少女の心理を描く硬質な世界は大好きだけれど、その寮生活の暗鬱さには気が滅入った。家にしても大学にしても、主人公ナタリーを取り巻くのはごく普通な人たちのはずなのに、ジャクスン様の手にかかると何故こうも鼻持ちならなさが押し出されるのだろう流石だ…と。そしてナタリーは孤立していく。謎めき少女の正体をぼんやり考えて幻惑の読後感
読了日:8月27日 著者:シャーリイ・ジャクスン
vanityvanityの感想
再読。うむ面白い。東京の外資系OL画子は、隣室に小火をだされ、恋人の母である六甲マダムの住む山ン中邸宅へ身を寄せることに。曰く、行儀みならい(居候、いやさ女中)。2人の同居はシビアだが、優雅といえば優雅な生活であった…。初読時にはぴんと来ないところのあった阪急沿線が概ねわかるので、マダムの邸宅から下りてくると甲東園…とかイメージしやすく、神戸三宮へ買い物に行きたくなる(美味しそうなものしこたま買うのよ)。意外とマダムは憎めない人になっていくものの、“可怕(こわ)そうな早稲田のお嬢さん”との熾烈な闘いは続く
読了日:8月25日 著者:清水博子
ぐずべりぐずべりの感想
再読。素晴らしい。清水さんの少女文学。懐かしい痛みが途切れることなく襲ってくる。「亜寒帯」では13歳の藍田の一日が描かれ、表題作では中学生の理子(従姪)とAA(藍田)の交流やAAと従姉菜子の過去、彼女らの係累にまで話が及ぶ。体温計を渡されて親殺しの妄想に見舞われる中学生の藍田に、きゅっと胸がつまった。極寒の街の冬、教室での決まり事(日直は一日に何度も教室と石炭庫を往復する)も、元学校嫌いにはきつい話だ。でも「ぐずべり」でのAAは、風変わりではあるけれど面白い従叔母さんになっている。彼女に流れた時間を思う。
読了日:8月25日 著者:清水博子
カギカギの感想
再読。これもかなり堪らない。有り体にいえば、姉妹の日記を交互に連ねただけの小説。唐突に日記をWEBで公開し始めた妹、それを知った姉は混乱しつつ徹夜で読む。そして…。この姉妹、妹は相当頓珍漢な人で、姉はなかなかの曲者だ。妹は姉の境遇(未亡人、不動産を相続し広いメゾネットに一人暮らし)を妬んでいるし、姉は姉でそれを冷やかに見透かしている。でもそれがちょっとは張り合いである…ようにも見える。日記を読み合っていることを承知の上で、そっぽを向いたままいけずの応酬をする姉妹。高じて荒っぽくなる妹…相克から目を離せない
読了日:8月23日 著者:清水博子
ドゥードゥルドゥードゥルの感想
再読。
読了日:8月22日 著者:清水博子
第三帝国 (ボラーニョ・コレクション)第三帝国 (ボラーニョ・コレクション)
読了日:8月19日 著者:ロベルト・ボラーニョ
処方箋 (集英社文庫)処方箋 (集英社文庫)の感想
再読。やはり面白い。やはり気持ち悪い。幾度も神経を逆撫でられつつ、その作風が好きなのだから世話がない。ぐねぐねと絡みつくようで隙のない文体といい、下品を描く際の憎いほどの巧みさといい、すこぶるにツボだ。そして、徹底した潤いのなさと言ったら‥‥。病院事務員である主人公は、請われて友人の姉の通院に付き添うことになった。が、それに気付いた“彼女”の介入から、事態は異様に歪んでいく‥。という、謂わば木乃伊採り譚。初っ端、“おねえさん”の風貌の描写から度肝を抜かれる。
読了日:8月17日 著者:清水博子
ダマセーノ・モンテイロの失われた首ダマセーノ・モンテイロの失われた首の感想
再読。“それは自分でも理解することのできなかった人生の一定の期間について、その意味を説明してくれる手紙。たいした説明が書いてあるわけではないが、過ぎ去った多くの歳月の意味、そのときには理解できなかった意味を理解させてくれる手紙。” “私は過去からの手紙を待っている人間の一人なのです。”
読了日:8月16日 著者:アントニオタブッキ
供述によるとペレイラは…供述によるとペレイラは…の感想
再読。素晴らしい。妻を喪い、自身の死をも近く意識するペレイラは、いつも死やたましいについて考えるようになる。ある若者と知り合い、悔恨についての短篇を訳し始める。そして‥‥。真摯な思惟は静かに続けられつつも、信条を頑なに守るモンテイロ・ロッシとの関わりによって少しずつ変化していく。不意の勇気も、その先の尊い決断も、それまでの繋がりに背を押され導かれていったのだ。(即オムレツを思い出す作品なのじゃが、殊に美味しそうに描かれているわけでないのね‥‥と再確認。ただ、“香草入りのオムレツ”は語感だけで充分に美味)
読了日:8月15日 著者:アントニオタブッキ
蛇の書 (ハヤカワ文庫NV)蛇の書 (ハヤカワ文庫NV)
読了日:8月14日 著者:ジェシカ・コーンウェル
虫めづる姫君~堤中納言物語~ (光文社古典新訳文庫)虫めづる姫君~堤中納言物語~ (光文社古典新訳文庫)
読了日:8月12日 著者:作者不詳
街の座標 (集英社文庫)街の座標 (集英社文庫)の感想
再読。
読了日:8月10日 著者:清水博子
文士厨房に入る文士厨房に入る
読了日:8月9日 著者:ジュリアン・バーンズ
ペルーの異端審問ペルーの異端審問
読了日:8月8日 著者:フェルナンドイワサキ
23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)
読了日:8月7日 著者:ウラジーミルソローキン
海底二万里〈下〉 (新潮文庫)海底二万里〈下〉 (新潮文庫)
読了日:8月5日 著者:ジュールヴェルヌ
コンビニ人間コンビニ人間の感想
主人公ののっぴきならなさが兎に角突き刺さる。しかも、これ程までの経験はなくても「ある‥あるわ‥‥これはある‥‥」と頷けてしまう箇所が存外あって辛い。人となりを見る目は一応的確なのにその場の空気は読めないところ(今私違ったの?と、遅れてひやっとする感じ痛いしわかるし)とか、相手の言葉の矛盾に冷静に気付きつつ淡々と聞き流してるところ。“普通”に擬態する為だけに磨かれた恵子の観察眼、その感覚はやはりどこか歪で痛々しい。何て言うか、ありそうな話だ。
読了日:8月4日 著者:村田沙耶香
フェルナンド・ペソア最後の三日間フェルナンド・ペソア最後の三日間
再読。
読了日:8月4日 著者:アントニオタブッキ
チェンジ・ザ・ネームチェンジ・ザ・ネームの感想
人を寄せ付けない、交わらない。その術も持たない。アンナ・カヴァンのヒロインたちの、そこに魅かれる。凍てつく白の純度、ひりり。硬く閉ざした心の拙く特異な強張りに、蒼褪めた容姿にも、傾倒してしまう自分がいる‥。とは言え、そもそも愛のなかった繋がりには憎しみすら生まれることはない‥と、母娘の虚ろな連鎖を見せられ突きつけられ、射竦められた。そして、己の淋しさを抱きしめて蹲るような感受性からは断絶した、孤独もあるのだと。そこに絶望の叫びはなく温度もなく、その冴えた白さは完結する。彼女の空っぽの強さに誰も救われない。
読了日:8月2日 著者:アンナ・カヴァン
古森の秘密 (はじめて出逢う世界のおはなし)古森の秘密 (はじめて出逢う世界のおはなし)
読了日:8月1日 著者:ディーノ・ブッツァーティ

読書メーター

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )