「あなたは奇特な人ですね」と言われたら、どのように感じますか?
イラッとするでしょうか、それとも恐縮するでしょうか。
今日は意味を誤解しやす言葉、「奇特」について調べました。
「誤解されやすい奇特」
「彼は天気が良くても傘を持って出掛ける奇特な人だ」というような表現をする人がいます。
この場合は、奇特と言う言葉を「変わった人(変な人)」という間違った意味で用いています。
「奇特」を広辞苑で調べると、特に優れて珍しい事。また、心がけや行いが優れてほめるべきものであること。
と説明しています。
辞書が示すように。『奇特』 とは、本来 『優れて 、ほか と違って感心 なこと 』という意味なのです。
少し古い資料ですが、平成 14 年度と平成27年度に行った文化庁の『国語に関する 世論調査 』 のデータがあります。
それによると、約半数の人が本来の意味である「優れて他と違って感心な事」と答えている一方で、本来の意味ではない 『奇妙で珍しいこと 』と回答した 人の割合は 平成14年度が約 25%、平成27年度が約30%でした。
調査結果は次の通りです。
調査結果 平成27年度 平成14年度
(ア)優れて他と違って感心なこと 49.9 % 49.9%(本来の意味)
(イ)奇妙で珍しいこと。 29.7% 25.2%
(ウ)(ア)と(イ)の両方 5.0 % 4.1%
(エ)(ア)や(イ)とは全く別の意味 4.8% 4.1%
分からない 10.6% 16.7%
更に、平成27年度の結果を年齢別に見ると,本来の意味とされる「優れて他と違って感心なこと」と回答した人は、40 代以上で「奇妙で珍しいこと」と答えた人を上回り、特に 50 代で最も高く62.5%となっています。
しかし、平成 14 年度調査では、本来の意味である「優れて他と違って感心なこと」と回答した人は、30 代以上で「奇妙で珍しいこと」と回答した人を上回っていましたが、平成27年度調査では、本来の意味を回答した人の割合は、40 代以上で上回っていました。
「誤用の原因」
『奇特』という言葉が『奇妙で珍しいこと』として使われている理由としては、『奇』という字が『奇妙』のほかに、『奇抜』『奇怪』という言葉や『奇をてらう:(一風変わった事をして見せる)』といった言い方でもよく使われることから、これらの言葉の意味が影響していることなどが考えられるということです。
『奇特』の本来の意味は、『優れて 他 と違って 感心なこと 』です。
「奇妙で珍しいこと」と言う意味ではありません。
間違って使用しないように気をつけたいものですね。