らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

ヒガンバナが彼岸に咲く理由

2022-09-21 | 季節

当地(大阪府熊取町)では、一昨日から昨日未明にかけて台風14号の暴風圏がかすめたことから突風や大雨に見舞われましたが、大きな被害もなく、ほっとしているところです。
台風の通過後は北西の風が吹いて涼しくなり、昨日は最高気温が24.8度と、この秋になって初めての涼しい一日となりました。



「彼岸の入り」
昨日は秋の彼岸の入りです。
昔から「暑さ寒さも彼岸まで」といいますが、正に諺通りに涼しくなりました。
しかし、台風が近づく前日までは32度~35度と厳しい残暑が続き、とても秋の気配を感じる状態ではありませんでした。
それでも、僅かに秋を感じる出来事は、アキアカネが飛んでいることや萩が咲き始めたこと、更にフジバカマの出蕾や彼岸花の茎が伸びてきたことです。

この彼岸花ですが、不思議なことに、いくら残暑が厳しくても、毎年彼岸が近付くと必ず咲くのです。
何故なのでしょうか?
調べてみました。

9月18日に撮影した彼岸花です。


「森 源治郎先生の研究(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)」
彼岸花が季節を感じる要素として、森先生の次のような研究がネット上に載っていました。
1.ヒガンバナの成長サイクル
ヒガンバナは普通9月中・下旬に開花し、開花後に葉を地上に展開させ、翌年の5月中・下旬に葉が枯死し、夏を越します。
一方、球根内での花芽の分化・発達についてみますと、花芽分化は葉が生育中の4月下旬に始まります。
葉が枯れた後の6月中旬に雌ずい形成期、8月下旬に花粉形成期と発達して、9月の中旬・下旬開花します。

2.花芽分化
冬期、最低20℃程度の加温室で栽培すると夏にも葉を展開させて常緑性になります。
しかし、このような条件下では、花芽は分化しません。
このことから、ヒガンバナの花芽分化には低温遭遇を必要とし、低温はバーナリゼーション(発育初期の低温処理で開花・結実を早めること)として作用しているようです。

3.発育適温
花芽分化および雌ずい形成までの発育適温は25〜30℃付近にありますが、分化・発育の可能な温度範囲は10〜30℃で広いことから、自然条件下では温度が上昇に向かう4月下旬から花芽分化が始まるようです。
雌ずい形成期に達すると、それまでの発育を促した高温(25〜30℃)ではかかえって発育が抑制され、適温は20℃付近に低下します。
自然環境下での開花が9月の中旬・下旬になることや関東での開花が関西より10日ほど早くなるのは、この発育適温の低下によるものといえます。

以上のように、先生はヒガンバナは温度(特に地温)を感じて花芽の分化および発達が進行しているようだ結論しています。



「結論」
彼岸花が彼岸に咲くのは、低温遭遇の後、最低気温(地温)が20度前後にまで下がってくる頃であり、関西では、それが秋の彼岸の頃なので、この頃に彼岸花が咲くという事です。
従って、年によって9月上旬に急に涼しくなれば早く咲いたり、反対に彼岸を過ぎても暑い日が続くと、10月になってから咲くこともあるということです。