文章を書くとき、例えば、「異常」と「異状」について、どちらの漢字を使用したらよいのか迷うことがありませんか?
この「いじょう」という熟語については、私がよく迷うので、調べてみました。
先ず、広辞苑で調べると、
異常・・・通常とは違っていること。並外れたところのあるさま。好ましくない意を込めて使うことが多い。
異状・・・普通とは違った状態。別状。
と説明しています。
皆さまは広辞苑の説明でご理解できましたか?
も少し詳しく説明します。
この2つの熟語の違いは、「常」と「状」にあります。
・「常」は訓読みでは「つね」、つまり「いつも」「ふだん」という意味を持つ漢字です。
そこで、一般に「異常」ということばは、「ふだんと異なっている」という意味だとわかります。
・一方、「状」の方は、この漢字を含む熟語として「状態」「現状」などを思い浮かべると分かるように、「状」には「ようす」という意味があります。
従って、「異状」とは、「異なったようす」という意味と解釈できます。
つまり、この2つの熟語は似たような意味を持ちながらも、「ようす」に焦点を合わせている分だけ、「異状」の方がより限定された意味を持っていることになります。
「異常」は一般的に使えますが、「ようす」にこだわって表現したい場合には「異状」を使用するということです。
更に、異常は形容詞(形容動詞)としても使いますが、異状は名詞のみに使うので、「異常な暑さ」「異常に増える」など、名詞でなければすべて「異常」と表記します。
常が異なるのか、状態が異なるのかの区別が難しいことも多いと思いますが、正常でないことが明らかな場合には「異常あり」を使い、なんとなく普段と様子が違うと感じられたり、普通とは違うのが目に見えるなど、感覚的に違う場合には「異状あり」を使うようです。
例えば、喉に違和感・異物感があるのは、普段とは異なる状態なので「異状あり」ですが、医師に診察してもらった結果、喉に腫瘍ができていたというのは、正常ではないため「異常あり」となります。
ややこしいですね。
御理解いただけましたか。