わたぬき
昔から、1月は「往(い)ぬ、又はいぬる(行ってしまう)」、2月は「逃げる」、3月は「去る」と言って、この三ケ月はあっと言う間に月日が経ってしまうことをこのように表現しています。
これは、1月は正月があり、2月は元々28日で普通の月より短く、3月は年度末で忙しく、やることが多いことからですが、この慣用句の通り、今年もこの3ケ月が瞬く間に過ぎ去り、今日は早くも4月3日となりました。
万民に平等に与えられている時間は有効に活用しなければいけませんね。
時間を有効に活用と言えば、
少年老い易く、学成り難し、
一寸の光陰軽んずべからず、
未だ覚めず地塘春草(ちとうしゅんそう)の夢、
階前の梧葉(ごよう)、己(すで)に秋声
という漢詩がありました。
これは中国の儒者であった朱熹(しゅき:朱子)が詠んだものです。
現代語訳
少年が年老いていくのはあっという間だが、 学問がモノになるのは大変難しい。
だから、わずかな時間も惜しんで一生懸命に勉強すべきなのだ。
春に池のほとりに草がゆらぐのを見ながらうつらうつらと夢を見ていたかと思うと、
庭先のアオギリはもう秋の気配を帯びている
歳をとると一日、一週間、一か月、一年が過ぎるのがとても早く感じます。
朱子のように勉強はできませんが、悔いのない毎日を過ごしたいものです。
正に、「一寸の光陰軽んずべからず」です。
ところで、4月1日と書いて「わたぬき」と読むそうですが、ご存じでしょうか?
その謂れは、4月1日になると綿の入っている着物を脱いであわせの着物に着替えるからだそうです。
江戸時代までは、衣替えの季節は旧暦4月1日だったようで、この日に冬用の綿入れから綿を抜いた衣に替えることから「わたぬき」と言う言葉が生れたと言うことです。
現在は6月1日が衣替えですが、これは、明治になって日本人が近代化の中で、にわかに洋服を着るようになると、その着方が判らない人が続出したことから、役所が洋服の着方についてのマニュアルを作りました。
その中に、「衣替えは、6月1日とする。」といった内容のことが記されていたようであり、そこから現在の「6月1日は衣替え」という常識が生まれのだそうです。
昔、綿貫さんという代議士の先生がおられましたが、元祖の方は4月1日生まれだったのかもしれませんね。