らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

鶏鳴狗盗

2017-04-16 | 雑学

昔、鳥や動物の鳴き真似をさせたら右に出るものはいないと言われた声帯模写芸人に江戸屋猫八さんがいました。
テレビで物まね番組が持て囃されていた頃、3代目の猫八さんの声帯模写をよく聴きました。
確かに動物の鳴き真似が上手で、鶏やウグイス、犬などの鳴き声を見事に演じていました。
その猫八さんの右に出るような人物が2300年ほど前の中国にいたようです。

「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」という熟語がありますが、この言葉の由来となった中国故事には、江戸屋猫八も尻尾を巻くくらい物まねの上手い人物が登場します。
この言葉の由来となった故事は次の通りです。

中国、戦国時代の斉(せい)の公族で賢人として知られた孟嘗君(もうしょうくん)が、秦(しん)の昭襄(しょうじょう)王に捕らえられ、身の危険を感じた時、王の寵姫(ちょうき)にとりなしを頼みました。
寵姫は謝礼として狐白裘(こはっきゅう)という白狐の皮衣を要求しましたが、狐白裘は先に王に献上していたことから代わりがありませんでした。
この難題を救ったのが豪傑連に混じって最下の席にいた食客(しょっかく:居候)で、彼は狗(いぬ)の真似をして、先に献上していた狐白裘を盗み出してきたのです。
寵姫は大いに喜び、王を口説いて孟嘗君の帰国の許可を取りつけ、釈放されました。

ぐずぐずしていては一大事とばかり、すぐさま馬をとばし、国境の函谷関(かんこくかん)まで逃げてきたのですが、まだ夜明け前でした。
関所の門は一番鶏が鳴くまであけないのが掟だったので通ることができません。
そうしている内に追手が迫ってきたのです。
その時、食客が暗闇に消え、一番鶏の鳴き声をすると、関所の鶏も一斉に鳴きだし、関所が開いて無事に脱出できたと伝えられています。
出展:『史記』「孟嘗君伝」

この故事が「鶏鳴狗盗」の由来になったもので、その意味は、とりえがなさそうに見える人物でも、何か1つぐらいは秀でた特技を持っているものだ。つまらない能力しかない取るに足らない人物という意味から転じて、とるにたらない小人物でも使い方によっては役だつという意に用いられます。