らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

熊野古道を歩く(その5)南部梅林

2012-02-11 | 趣味

“熊野古道を歩く”シリーズは今日が最終回となります。

熊野古道から東に3~4㎞離れたところに日本一とも言われている「南部(みなべ)梅林」があります。
私たちの一行は「三鍋(みなべ)王子」に参詣の後、地元に住んでいるOBに案内してもらい、その梅林に立ち寄ることにしました。

・南部梅林の入口です。


「みかへり坂」
みかへり坂は昔から「鼻崎の道」と呼ばれてきた大変狭い道でした。そこで地元の有力者や住民たちが拡張工事をすることにしました。
拡張工事が完成して、それを祝う記念の観梅の式典に、紀州徳川15代当主で貴族院議員の徳川頼倫公が招かれました。
徳川頼倫公はここからの眺めがいたく気に入られ、馥郁(ふくいく:良い香りが漂う様)と香る梅花を時の経つのも忘れて愛でられたそうです。
この時に、徳川頼倫公が「みかへり坂」と揮毫されたことから、この坂を「みかへり坂」と呼ぶようになり、坂の上り口に石碑を建てたそうです。

・南部梅林の入り口の坂が「みかへり坂」です。


みかえり坂から梅林の入り口までは、梅に関する歌が20首程紹介されていました。
その内の2種についてご紹介します。
   
   「春されば まづ咲く宿の 梅の花 独り見つつや 春日(はるひ)暮(くら)さむ」 山上憶良(万葉集 巻5-818)
   
(意訳):春になれば一番先に咲く 我が家の梅の花を 私ひとりが眺めて 長い春の日を 暮らすのか



   「雪の色を 奪いて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも」 大伴旅人(万葉集 巻5-850)

(意訳):雪の色を 奪って咲いている 梅の花は 今満開だ 見る人もあればよいのに



梅の花は漸く咲きかけたところでした。
売店の人に尋ねたところ、今年は開花が1週間から10日ほど遅れているとのことでした。



「南部梅林」
南部梅林」は南部川に沿って広がるなだらかな山の斜面に見渡す限りの梅林が続いており、『一目百万、香り十里』と称されるように、名実ともに日本一を誇る梅林です。
2007年現在、約7万本から8万本の梅が栽培されており、期間中の入場者数は、年平均5万人と言われています。
この南部梅林を始め、みなべ町一帯の梅林は全て果実採取のための産業用であり、本来は観光目的ではないそうです。

この地区の梅栽培は、江戸時代に田辺城主(後の紀伊田辺藩)として入封してきた紀州藩附家老安藤家が梅の栽培を奨励したことからのようであり、その後、日本有数の梅林へと拡大していき、現在に至っているそうです。

・手前の家屋の向こう側に見える丘一帯が南部梅林です。咲いていれば『一目百万、香り十里』が実感できたと思います。 残念!