私は、畑ではいつもラジオを聴きながら作業をしています。
先日、ラジオを聴いていた時、NHKの「気になる言葉」の放送で「下さい」と「ください」の使い分けについて解説していました。
日常的によく使う「~クダサイ」を文字で表現するときは、漢字だったり平仮名だったり、その表記の仕方がまちまちだと思います。
そこで今日はこの使い分けについて、NHKの放送内容をそのままご紹介します。
この「ください」は、尊敬語の「くださる」が変化した丁寧・尊敬表現で、意味は大きく分けて2つあります。
1.例えば「りんごをクダサイ」「返事は私にクダサイ」。これは相手に何かしらの事物を願い求める時の“ちょうだい”といった使い方ですね。
英語でいえば〔give〕。つまり動詞ですよね。
2.一方「資料を配ってクダサイ」「どうぞご自愛クダサイ」などは、相手にこうして欲しいと動作を依頼したり命令する場合に用いる表現です。
英語でいえば〔please〕。“どうぞお願いします”といった意味ですね。
この場合は、「~てクダサイ」の形で動詞の後に付いたり、「ご○○クダサイ」「お○○クダサイ」の形で動作を表す名詞に付いて、敬意を添える補助動詞です。
実は、「クダサイ」の使い分けには、この品詞の違いが大きく関係しているそうです。
戦前は、品詞に関係なく全て「下さい」と漢字で書くのが一般的でした。
しかし、昭和28年に示された「文部省用字用語例」では、「“下さい”はやむを得ない場合以外は使わない」とし、公用文では専ら「ください」と平仮名書きになったそうです。
その後、昭和48年に新たに示された「文部省用字用語例」では、
・動詞の使い方としての「クダサイ」は『下さい』と漢字で書き、
・補助動詞の使い方としての「~(て)クダサイ」は『ください』と平仮名とする、漢字と平仮名の使い分けの基準が定められたそうです。
先程の例に当てはめると(1)の「りんごを私に下さい」は漢字で書き、(2)の「資料を配ってください」は平仮名書きに書き分ける事になります。
ただし、これは絶対的なものではなく公用文における申し合わせであって、普段はどちらで書いても間違いではないということです。
(以上、NHKラジオ”気になる言葉”より)