鳥だ! 飛行機だ! いや・・・ (^_^;)


 正義の味方、ならぬフランスの味方、フランスを守るために悪い外国勢力と戦うヒーロー(?)がこのSUPERDUPONT。Dupontデュポンというのはフランスに大変多い姓ですから、日本なら「スーパー山田」とか「スーパー鈴木」とかにあたるところです。

 シュぺールデュポンは、ワインの飲みすぎか赤鼻になった中年のおっさんでありそのいでたちは、はげた頭にベレー帽をかぶり、「ぱっち」みたいなズボンにランニングシャツ、でっぷり肥ったお腹には三色旗のハラマキときたもんだ。(^_^;) もっともフランスでハラマキと言ったって、日本でバカボンのパパがはめているやつのような文化的意味は持ってないはずですが。
 彼はいちおう空も飛ぶんですが、なんせカッコ悪い。 (X_X;)
 フランスの伝統的価値にこちんこちんに固まっちゃってる。

 このシリーズも、ジスカールデスタン大統領がでてきてシュぺールデュポンにお礼をしているくらいですから、ずいぶん昔のものです。さすがにこれはもう新作は出てないかな・・・ と思ったらFluide Glacial 2007年5月号に載ってますね。しぶとい。作はSole/Gotlib/Lefred-Thouronとなってます。

 このマンガの意義というのは、フランスの敵、「外国の悪いもの」から護らねばならない

「フランス的価値」

とはどういうものなのか、ということを意識させられるところですね。
 エッフェル塔とかならまあ別になんということもないですが、

「メートル原器」

が出てきたのには驚きましたね(Maitre supremeというのとひっかけてもあるわけですが)。今はもっと科学的な方法になってますが、まだこの時代には世界の物差しをこれに合わせて作る建前になってたその大本の物差しです。メートル法って、大革命のころフランスでできたものでした。
 このへんがフランスの右翼が他の「普通の国」の右翼と決定的に違うところじゃないかと思います・・・

 それでそのフランスの大切なメートル原器が、Anti-Franceっていう仮面ライダーに出てくる「ショッカー」みたいなのに盗まれちゃうわけですが、それでどうなったかというと・・・
 そおっ! 新築の建物が珍妙な格好になり、たてつけがむちゃくちゃになっちゃうんです。ひゃははは。 (^o^;)

 シュぺールデュポン・シリーズは、「こういうのがフランス的価値である」とフランスの保守派が思っている、とフランス社会全体が思っているようなものを、保守派ならこんな風にいやらしーく守ろうとするであろうという、その姿をパロディ化して笑いのめす、というかなり複雑なことをやってるわけですね。

 このシリーズは白黒です。これも描き手が途中で変わってますがGotlibは一貫して関わってます。最初登場した時のシュぺールデュポンは『ルパン三世』の銭形みたいな顔で、なんだかへたくそな描き方でした。
 その後も、見た目が美しいようには全然なってません。これはFluide Glacial系全般に言えることかなと思います。それにそもそもが、これも「外国の悪いもの」である(?)アメリカのコミックのタッチをパロディ的に踏襲して描かれているわけですから・・・ ややこしいですね。 (^_^;)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )