充実アマジーグ(その2)


このエントリーから続きます)

 先に宣言しておきますが、今年のわたしのベスト・アルバムはアマジーグのこのアルバム、Marchez noir『マルシェ・ノワール』に変更します!
 これ、現時点で(もちろんグナワ=ディフュージョンの作品を含めて)アマジーグの最高傑作です。

さてジャケットでは曲順が次のようになってますが:

1. Bonjour
2. Chante avec moi
3. Sans histoire
4. Mociba
5. Dima ntou
6. Ma tribu
7. Africain
8. Amral 'guerba
9. Michel Choukrane
10.I wanna tcheefly
11.Dounia
12.Koma

実際の曲順はこんなのです:

1. Bonjour
2. Koma
3. Dima ntou
4. Africain
5. Chante avec moi
6. Amral 'guerba
7. Mociba
8. Michel Choukrane
9. Sans histoire
10.I wanna tcheefly
11.Dounia
12.Ma tribu

 こういうめちゃくちゃはアルジェリア人向けのライではよくあるんですが、世界のマーケットで売り出すアルバムとしては珍しいです。
 いずれにせよ、ジャケットの印刷発注しちゃったあとで曲順が変えたくなった、ということなんでしょうけど。

 最後をこれでしめるつもりだったKomaを結局二曲目に持ってきたというのは、この曲でリスナーの心を早くつかんでしまいたかったということなのかな。それで本来最初の方に並んでいたフランス語曲が後ろの方に回ったんですかね。
 とにかくKomaは、ラガとライのミクスチャーが大成功した曲です。

 三曲目でグンブリとカルカブの音が聞こえてきますね。グナワと縁が切れてはいないです。これもいい。

 最後の十二曲目Ma tribuは、グナワ=ディフュージョン二枚目のアルバムの最後のAu fond de la nuitと曲想がそっくりです。これどういうんだろう? 例によって著作権関係でもめててAu fond de la nuitが自由に歌えないので、その代替としてこういう曲を作ったとか?
 この曲を最後の曲にしたくはなかったんでしょうけど、やっぱり最後に置くしかなかったんでしょうね。
 でも、いい歌です。

 アマジーグもタハ同様、アルバムの最初でBonjour言っているのが面白いですね。でもアマジーグのは"Bonjour ma vie, et vous mes desespoirs"「わが人生よ、そしてわが絶望たち、こんにちは」と歌う、内省的ないい歌です(この歌詞は、父ヤシーヌによるものです)。

 これらだけでなくて、全部がいい歌です。

 アマジーグは余計な音を入れず、のびのびやっています。

このエントリーに続きます)
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砂漠の狐


このエントリーをご参照ください)

ワールドカップを目指すアルジェリア対エジプト宿命の対決の一部始終が、スポーツ雑誌Number12月10日号(↑)に載りました。

 なるほど、エジプト人側はこんなこと言ってるんですか。これじゃ喧嘩が果てしなく続くはずですね。
 アルジェリア人側もけっして聖人君子たちではないのが分かります。でも、普段は人懐っこくて愛すべき人たちなんですよ。

 熊崎敬さんの記事はなかなか正確で面白くて、これまでのアルジェリア報道とは一線を画してます。
 ワールドカップ本選に出る国になるということは、こんなぐあいに世界に少しまともに扱ってもらえるようになることを意味するわけですね。
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充実アマジーグ(その1)


 アマジーグ・カテブの初のソロアルバムMarchez noir。ラシード・タハより先に出てたんですが、聞くのは後になっちゃいました。アマジーグごめん!(このアルバムの表にはKatebという名字は書いてないですから、これからのステージネームはAmazighだけでいくんでしょうね)

 今思えばグナワ=ディフュージョンのアルバムはみな、最初聞くとなんだか全体が「アマジーグ色」に染まっててどの曲もみんな同じに聞こえたりしていたものです。
 アマジーグ・カテブはラシード・タハみたいにスティーヴ・ヒレッジ等の有能なアーチストのサポートを受けるなんて発想はもっていないこともあって、どうしてもそうなるんだと思います。
 でも何回か聞いているうちに、あ、ああ、そういうことがやりたいわけ、とだんだんわかってくるのです。

 今回もそうでした。
 でも二回、三回と聞くうちの分かり方、そして良くなり方が急激です。
 これは相当充実してますよ!

 なによりも、それぞれの曲自体が魅力的です。
 やっぱりグナワ=ディフュージョンのメンバーに気を使わずに好き勝手やっているのがよいのでしょうか(モハメド・アブデヌールとアマール・シャウイ以外のグナワ=ディフュージョンの元メンバーたちはあまり重要な役割は演じていないようで、たとえばギター担当だったグループのかなめピエール・フージエはゲスト扱いでカルカブ担当しかクレジットがありません。彼はいまなにやって生活してるんだろう?)。

 なんと、2009年はハレド、タハに続いてアマジーグ・カテブも充実しました。アルジェリア音楽にとって多産な年になりましたね。

 アルバムの内容については、エントリーを改めて書きます(ひとつだけ申し上げておきます。アマジーグが意外にも「ライ」を感じさせてくれてます。ジャケット裏に書いてある曲順とCDの曲順がバラバラに違っているところも、なんだかライっぽいです)。

 (またアマジーグは参加アーチストたちへの謝辞の最後を「わが敵たちに、あらゆる妨害をしてくれて、わたしに闘争を強いたわが敵たちに感謝します」と締めくくってます。いろいろあったんですかね)

 だけどねーこのジャケットの写真のアマジーグの髪、どうみてもシェブ=マミそっくりよ。どうにかして!

このエントリーに続きます)
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神楽


 今日もまた面白い記事が日経最終面にのってました。やっぱり紙媒体の新聞というのはやめられないですね。

 三上敏視氏による「神楽」の紹介です。

 お神楽さんというのは、わたしは全然聞いたことありません。
 これが案外面白くて、三上氏はこれのポップス化、つまりワールドミュージック化を試みておられるそうです。
 
 この記事に書いてあることからすると、日本音楽の伝統的リズムというのもバラエティに富んでいて、よその文化のリズムと合わせられないかもというものばかりではないことになります。
 これはつい、期待してしまいますね。

 三上氏は本を出しておられるので(『神楽と出会う本』。アルテスパブリッシングの出版ですから、わたくしの知人の鈴木さんのところです。さすがだ)、さっそく注文しました。
 
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静かな湖畔/Itsy-Bitsy Spider/Dans la foret lointaine


 札幌行っている間に来ていた新聞(日経)をみていると、22日のに面白い記事を見つけました。

 アーサー・ビナードという詩人の人の書いた「歌の内蔵型自動PR装置」というエッセーです。
 話の最後はパティ・ペイジ歌う『テネシー・ワルツ』が自己言及型構造になっているというものでこれが内蔵型自動PR装置だというわけですが(これ、「文学概論」で自己言及型とはどういうことかと説明したいときに使えそうだな、と思いつきました)その前に、われわれが『静かな湖畔』として知っているあの歌、よく輪唱で歌うあの歌のメロディーが、アメリカではItsy-Bitsy Spider(『小さな蜘蛛』と訳してあります)なる歌だという話が書いてあったのです。

 わたしは、ビナード氏が掲載している歌詞がどうもあの『静かな湖畔』のメロディにのらない気がするんですがそれはともかく、筆者によるとItsy-Bitsy Spiderは輪唱にはなってないし、輪唱には向かない歌なんだそうですね。で、日本で同じメロディーが輪唱になっているのを知ってびっくりしたんですね。
 それでこんなことを書いてます。

「しかし、慣れてくると『静かな湖畔』も実に愉快な歌だ。また、輪唱すると、郭公の鳴き声が森と湖にこだまする感じが出て、『小さな蜘蛛』のパクリではなく、立派な別天地であると、ぼくは認めるに至った。」

 ここで今度はわたしがびっくりしました。わたしは前から『静かな湖畔』は、フランス語民謡の Dans la foret lointaine と関係があるだろうな、とおもっていたからです。メロディはかなり違うけど、まさしく輪唱で歌われるものだし、歌詞はこんなのですから。

 Dans la foret lointaine on entend le coucou
Du haut de son grand chene il repond au hibou
Coucou, coucou, on entend le coucou.

 遠くの森にカッコーの声が聞こえる
 大きな樫の木の上からフクロウにこたえている
 カコ―、カコ―、カッコーの声が聞こえる

 (念のため申し上げておきますが、これ、フランス語民謡を知らなかったビナード氏を非難しようという気で書いているわけでは全然ないです。このように思わぬ類縁関係が思わぬ方向につながっているというのは民謡がらみでは非常によくあることです。わたしも英語の方でそんな歌になっているとは全然知りませんでした)

 Dans la foret lointaineのメロディーはここにあります。
 みなさんもこの曲でなにかご存じのことがありましたらお教えください。
このサイトでは『静かな湖畔』は「スイス民謡」となってますね。わたしは二番の歌詞は知りませんでしたけど、フクロウが出てくるんですね。それならますますDans la foret lointaineとの関連が深まりますね。

 上の写真の左側が、わたしがフランス語初級授業でときどき使っている歌詞の紙ですが(これ、hautとhibouと、アッシュ・アスピレの単語が二つ出てくるのでついでに教えられます)、解説には歴史的研究とかは全く書いてないです。フランス人の悪い癖でこういうフォークロアなものは、昔の歌だ、子供の歌だ、という以上に調べる価値がある、ということになかなか思い至らないんですね。まあ書いた人の手元に資料がまったくなかったんでしょうけど。






 


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フランス語圏大使館合同シンポジウム:「フランコフォニーを発見しよう」


 このエントリーで予告しておりました12月13日のイベントですが、TV5 Monde Japonのこのサイトで申し込み受付を開始しました。

 この催しは、アフリカ、北米・カリブ地域、ヨーロッパのフランス語圏の大使館の大使や広報担当者が、それぞれの国や地域の文 化や歴史などを紹介するものです。各セッションごとに質疑応答の時間をもうけ、各国の外交官が皆様の質問に直接お答えします。

 ごらんの通り、わたくしがアフリカ・セッションの司会と通訳をつとめます。よろしく。

 さて無料はいいのですが、定員が100名で、早稲田の学生さんたちも来ますから、すぐ満杯になるのではと心配です。

 来聴ご希望の方はお早めにお申し込みください。
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プロレタリア独裁万歳


 新千歳空港では、蟹工船弁当が売られてました。

 蟹たっぷりでまあおいしかったですけど、万国の労働者の団結のためには弁当1890円はちょっと高いかも(もっと安いのもありましたが売り切れでした。この値段のはわたしが買ったのが最後でした。これより高いのはまだ残ってました)。

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ダルビッシュです!


 札幌駅でファイターズ・グッズを買っちゃいました。

 プレーヤーズ・パペットというものです。

 彼はどうやら、ダルビッシュ選手のようです。


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札幌行ってきました


 東海大学国際文化部というところで会合がありまして、この連休は札幌行ってました。
 話し合いの内容はここでお話しすることは適当でないと思いますが、「日本は文化コーディネータ的役割を目指すべき」というお話が出たときには、全くその通りだと思いました。中韓に伍して世界で存在感を保つにはそれが一番得策だと思います。
 そしてそれは世界全体のためにもなることだと考えます。

 さて札幌、わたしかなり好きです。寒いですけど、乾燥しているところなどが。

 昨日はちょうど日本ハムファイターズ優勝パレードがありました。パレード自体は見てる時間もありませんでしたが、パレードが通過する道は横切りました(↑)。
 まあここを梨田監督とか稲葉とかダルヴィッシュとかが手を振って通るんだな、と想像してみてました。
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いしいひさいち氏


 いしいひさいち『ののちゃん』が、作者病気療養のためしばらく休載となってますね。心配です。
 一日も早いご回復をお祈りします。

 ちなみに漫画界の天才いしいひさいち氏もおとめ座ですね。
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