カタール


 (このエントリーから続きます)

 帝国主義時代と全く同じかというと、そうでもないかもしれません。
 カタールの野望を警戒、サルコジ大統領がリビア新政権の人たちに向かって「カタール人のいいなりになるな」と言い放ったそうです。Le Nouvel Observateur が伝えています。
 さすが――いい意味でも悪い意味でも――フランスですな。
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梟雄の最後


 さんざん蛮行を重ねた一代の梟雄でしたが、逃げることなく自国に踏みとどまり、最後まで闘って死に、文字通り屍を曝しました。
 もっとも逃げて受け入れてくれるところもなかったのでしょうが。

 悪行は全て非難したうえで、この人物もかつては第三世界の輝けるリーダーのひとりと目されていたことも記憶しておきたく思います。

 ムアンマール・カダフィ、亨年69才。
 
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リビア国内のトゥアレグの危機


 首都トリポリを制圧した反カダフィ勢力は、リビアのトゥアレグたちをカダフィ派として迫害しはじめたようです。またカダフィ派の方も、トゥアレグが寝返ったとみなして攻撃をかけていて、トゥアレグは両勢力から攻められています。9月9日付El Watan のこの記事をご覧ください。フランス語ですが・・・

 両勢力とも、リビア国籍のトゥアレグとその他の国のトゥアレグの区別なく迫害しているようで、トゥアレグたちはアルジェリア領内に逃げ込んでいます。

 迫害exactionsといってもどの程度のものか、まだよく分かりません(たいていの仏和辞典だとexactionという言葉には「権力の濫用」とか漠然とした解説しかないのですが、新聞などでは軍とか警察とかの合法的勢力が無法な暴力を行使するときによく使われる言葉です)。
 
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メデーとカダフィ


 この期に及んでもカダフィ大佐、意気軒高ですね。
 シリアの放送局(元イラクのスンニ派の議員Michane Al-Joubouriが運営するもの)から声のメッセージを流し続けています。 Jeune Afriqueのこの記事によれば彼はこんなことを言ってます:

 NATOとリビア移行政権がカダフィはニジェールに逃げたというのはデタラメである。
 毎日どれだけの車が砂漠に入っていくというのか。
 ニジェールに向かう車列はこれが初めてだとでもいうのか。
 彼らにはもう心理戦とウソしか手段が残っていない。
 わたしがリビア国外に逃げたなどというのは、諸君の士気を低めようとする陰謀にすぎない。
 NATOは戦いに勝つことはできない。彼らのもつ物資では戦いの継続は不可能である。
 われわれはトリポリでも他のところでも、ネズミや、傭兵の犬どもへの攻撃を激化する準備がある。
 
 さすがカダフィ。

 コルネイユの『メデー』、先日引き合いにだしましたが、また思いだしました。
 たいして面白くない戯曲なんですが、一か所非常に有名なところがあります。拙訳で試訳するとこんな感じです。四面楚歌に追い詰められた女王メデーが凄まじい気力を見せるところ。

          *********

 -- Votre pays vous hait, votre époux est sans foi: - Dans un si grand revers que vous reste-t-il?   -- Moi,
 - Moi, dis-je, et c'est assez.

 「国民は全て奥方様の敵。夫君の国王陛下ももはや奥方様を愛しておられません。御運も尽き果てた今となっては、何が奥方様に残っておりますでしょう?」

 「わたし。わたしが残っています。それで十分です」

          *********

 ここ、スタンダールも好きな箇所で、こういうインパクトのあるフレーズが書きたい、って言ってました。
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リビア侵略


 てなこと言ってるうちに、どうやらカダフィも年貢の納め時なようで。
 逃げ切れますかね?
 それから、まだ挽回の余地はあるんでしょうか?(リビアにはまだカダフィ派が押さえている地域もあります)

 それにしても露骨な西洋の軍事攻撃でした。

 ところで周辺国が続々と反カダフィ政権への支持を表明する中、アルジェリアは何をしているんでしょうね? ブーテフリカ大統領の沈黙がなにやら不気味ですが、政治判断の誤りを指摘する声も上がっています。
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リビアの戦争

 日本が地震と、津波と、牙を剥いた原発と必死で格闘している間にリビアではまぎれもない戦争をやってます。

 米英にフランスが加わって(加えてもらって、かなあ)イタリアの旧植民地に攻撃をかけているわけですね。
 世界の基本線は、ちっとも変っていない。

 このくらい巨視的に見ると、リビアと日本もそんなに立場が遠くはないように、わたしには思えます・・・

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リビアの主要部族

 チュニジア人に「あそこには『音楽』自体がない」と笑われてしまっているリビア。たしかにリビア発のワールドミュージックって聞いたことがないですね・・・

 それはとにかく、Jeune Afrique2月27日-3月5日号(↑ インパクトある表紙ですね。Kaddafouと書いてありますがfouってフランス語で「狂人」の意味です)にリビアの主要3部族のことが書いてあって、ちょっとおもしろかったです。簡単ながら油田地帯と主要部族(部族数は細かく数えると140にもなるそうですが)を重ねた地図も載ってます。
 National Oil Corporationというところの資料が情報ソースと明記してあります。こういうのが載ってて楽しく読めるのがJeune Afriqueのいいところかなと思います。

○Gueddafa部族。13万人しかいないが、カダフィ大佐の出身部族なので最大の権力を握っている。治安部隊appreil securitaireの要職は大半この部族の人である。
○Warfala部族。問題の東部主要都市ベンガジだけでなく、西部にある首都トリポリもゲッダファとワルファラの勢力範囲の境界にあるんですね。100万人を擁するリビア最大の部族で、昔の王政の基盤。リビア空軍から反体制側への爆撃を拒否した最初の戦闘機パイロットはMeftah Warfaliというんだそうです。名前からしてこの部族出身は一目瞭然ですね。
○Meghara部族。人口は多くないが治安部隊と行政組織の骨格を形成する。最も有名なのはカダフィ政権の元ナンバーツー、Abdessalam Jalloud。

 よく見てみたら、石油の出る地帯は東部のワルファラと西部のメガラの勢力範囲で、中央部にいたゲッダファはちょっと外れている感じですね。このあたりが政治的動きのポイントかもしれません。
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リビアでMoustapha Abdeljalilの言ってること


 ここのところEl WatanとかJeune Afriqueとかの受け売りばっかりでごめんなさい。
 でもわたしの常日頃の興味の対象である地域が世界史の前線になってがががががっと動いているところなので、とりあえずこれはフォローしておかないといけないと思いまして。

 例によってわたしはもっぱら上の2つにLe Mondeの仏語メディアに、日本語メディアは日経に北國くらいにしてます。一日中新聞ばかり読んでいるわけにもいきませんし。

 El Watan2月28日付によるとリビア反体制諸勢力は前日Le Conseil national independant de transitionをたちあげたとのことです。日本語ニュースでは「国民評議会」となってますが、このフランス語だと「臨時独立国民評議会」くらいですか。
 それで、先週月曜に辞任したばかりのムスタファ・アブデルジャリル元法相が「革命」側につきましたが、彼のスポークスマンの伝えるところでは:

「アブデルジャリル元法相はBaidaの町の評議会を主宰している。われわれは臨時独立国民評議会を組織するために全ての解放された都市とコンタクトを取っている。[...] リビアを北部、南部、西部、東部、あるいは部族の地盤によって分割するなど問題外である。評議会はベンガジにあるが、それはこの町が解放された町だからである。リビアの他の地域はリビア人民によって解放されるだろう。外国の軍事的干渉は断固拒否する。トリポリ解放は軍に期待する」

ということです(もっとも他の報道でお分かりの通りアブデルジャリルの暫定政権構想は必ずしも反体制派全体の賛同を得ているというわけではなさそうです)。
 同じ記事で、チュニジア国境から60キロのNaloutという町は2月19日に親カダフィの警察官や軍人によって放棄され、町の諸コミュニティーによって指名された革命委員会が治めている、委員会はベンガジ臨時政府の傘下に入る、と報じられています。

 さて、国民評議会とか臨時政府とかはどういう性格のものになるでしょうね。
 チュニジア、エジプト、リビアそしてアルジェリア、みんな動きの性格が違うのが、不謹慎な言い方かもしれませんが、興味深いです。

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