別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

海へ

2007-04-15 | こころ模様


 『 海は微笑んだ。 明るい海があった。 やわらかい海があった。 すこし黄ばみを帯びてしかも底青く透きとおるような 泳いで見たい海があった。 一切を忘れさせる海…
   躍れ。  躍れ。  海よ、  躍れ  …… 』
                        
 藤村の「海へ」は 波の描写がじつに魅力的だ。 
  『巻きつつある。 開きつゝある。湧きつゝある…』 波の情景を、 言葉を尽くして書き分ける。
  『條理もなく筋道もない… 先蹤センショウもなく、標柱もない海。 豊富で、しかも捉へることのできないやうな海… 何処を出発点とも、何処を結末とも言い難い…』 
 神戸、 南シナ海、 インド洋 イオニエンヌの海、 マルセイユ、イギリス海峡、大西洋、 ケープタウン、 またインド洋、上海経由 帰国まで。 

 彼が賛辞する海を堪能したい、鑑賞したいと思っていた。 思いがけず、 セーリングの一部を見ることができた。 
    La Mer …   微笑むだろうか   総勢9名である。
                    
  時化れば船酔いの憂き目にあう。  しかし、 晴れ、 風速5~6m/秒、 波の高さ 0.5m、 気温18℃。 相模湾は終始穏やかであった。 暑からず寒からず、 絶好の日和で逗子より葉山に出た。  

                -☆-

   マストに絡みつかぬよう帆をあげること、 綱を引いたり、ゆるめたり。 追い風や向かい風の対応。     何事もバランス、絶妙のチームワークで万全に整えられた。

  ロープワークは結びやすく解きやすいことが肝心。 身の回りに活かされることがいっぱいあった。固定のコツなど。

  セイルが遮ってコックピットからは見えない箇所、 死角ができる。 他の船に接触しないよう 前方や両側に注意、 気づいた者が声をあげ補う。                

               -☆-

 水平線にいくつもの帆が、 切り紙を散らすようだ。
 レースがあるらしく、 カラフルな三角が競い合っている。

  エンジンを止めると 帆は風をはらみ、 流され、佇み揺れながら、波と戯れるように進んだ。 
  振り返ると 左手に江ノ島、 斜めうしろに箱根山、 奥にはだかる富士山が 白い頂だけを見せ霞んでいる。 パノラマをたどれば見えないけれど伊東はあの辺りか。  

  右回りに目をこらすと 七里ヶ浜、 由比ヶ浜、材木座海岸。 赤い尖塔は葉山港のしるし、 あれが裕次郎灯台、 御用邸の緑。 長者が崎など海水浴場、 さらに遙か、 ズームすれば三浦の先がぼんやり望めた。

  係留し、潮風に吹かれながら船上でランチをいただいた。 ワイン、 サンドイッチ、 カナッペ、チーズ、サラダ、 船長はシェフも兼ねている。ステーキを焼いてサービスした。   BGMの 3大テノールやカンツォーネも心を充たした。 ルノワールの「船遊びの昼食」が浮かんでくる。

北フランスで購入した船は、 現地からの回航を計画し実行したという。ベッドが3つ、 もちろん シャワー室、 トイレ、キッチンも完備。  

 貴重な体験にお礼を!    人生も航海に似ている。 慎重に怠りなく、 しかしそれ以上に楽しんで。
潮の香りとともに いつまでも覚えていよう。  
 大海の蛙。  なんと 小さい!  携帯電話のカメラ写真で 色が気に入らない。

   乗せていただいたヨットJovial Five こちら   
 Jovial Five HPはここ   

 


 

コメント (2)
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2007-04-15 | 別所沼だより
 日比野克彦氏  日々の新聞に 風信子荘を見つけました。 

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