別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

侘びの中に宇宙

2007-08-25 | アートな時間

  長いプロローグ   風炉のUP、 炭火が赤々と熾っている。 盛んに爆ぜる  炭の風情。
  暁。 軽やかな切り妻屋根、  天井の雰囲気  窓のようす。 つくばい、 生い茂る羊歯がそよぐ。 青々とした苔。。 何もかも新しい朝…  霧が流れ けむる外庭。  朝顔の花が浮かぶように、 いくつも白く灯っている。 

  茶席の準備。 利休は 垣のたくさんの花の中から 吟味して たった一輪を剪り取る。
  弟子に  「あとは全部つみ取っておけ!」
  
  お点前の準備も整った。 打水に 緑も敷石も すがすがしく待っている。

  やっとタイトルが出た。

  心逸らせ待庵タイアンにやって来る秀吉…  いつも小走りだ。 つくばいで手を洗い口をすすぐ。 開花した花のすべては摘みとられ 露地の緑だけが 静かに迎えた。 あっけにとられ、 いらいらしながら向かう茶室。  にじりあがる秀吉、
 その眼が釘付けになった。  一本の茶花となった、 清廉な純白の朝顔。  瑞々しい葉と 蔓の鬚がたおやかだ。
  ほの暗い茶室の花、 美しさに息を呑む。  目が覚める。 花は野にあるように

  客人をもてなす花、凛と 気品に充ちている姿。 利休の心。  秀吉は感銘を受け、 落ち着いて  閑寂なせかいへと誘われる、 茶の湯。 しみじみと 深まっていく。 

  水を運び、薪をとり、湯を沸かし、茶をたてゝ、 仏に供へ、人にも施し、吾も飲み、 
  花を立て、 香をたく
  利休が説いた精神は   いまこそ心に問いかける。 無駄のない所作、 美しい。。
  ものの美しさも、 こころの美しさも必要である。 

  (秀吉と利休の関係、 その変化。 赤楽  黒楽茶碗。 朝鮮出兵に口を出したために、ますます秀吉を怒らせてしまった。  堺に閉居。 妻りき。  曲がった障子 叶うはよし、叶いたがるは悪しし )

 エピローグ  竹のインスタレーション   利休は自刃する。 天正十九年二月二十八日

  一枚の絵のような場面。 色、 空気、 音、 活け花はすべて監督の作品。 

               -☆-

  8月24日(金)   夜の美術館にはじめて入った。  17:30~  
 映画 「利休」     監督 勅使河原宏  音楽 武満徹
 絢爛豪華な衣裳    高台寺の傘亭や 時雨亭らしき風情、 城のセットに多分、 彦根城など映った。 
 映画を見ながら、 茶室に 必要以上の飾りがない。  座ったひとがつくる(醸し出す)せかいなど考えた。 

  目の前の席に むかし習った草月のS先生がいらした。 家元の展示をとても喜んでおられ、 会場入り口のインスタレーションに、 ボランティアで、完成まで10日かかった由。 いままで、 お願いしても美術館で活け花を取り上げることは全くなかった と感慨深く仰った。。   
 「絵画、 書、 文学、 彫刻、 活け花も、 表現に変わりはないです。 残念ですね」 と申しあげた。 花につく虫や 水を扱うことなど 問題もわかった。 

  絵をはじめ、 2年くらいでやめたお花。 これほど時間が経っても忘れず、 何処でお会いしても、 いつも先生のほうからお声を掛けてくださる。 ぼんやり歩いている証拠で、 申し訳なく ありがたく 小さくなっていた。

  花道、茶道とも  様式の美。 若い頃はその良さも分からずにいた。 おなじことのくり返しを疎んで。  今こそ しみじみわかる。 簡素なこと。 しかし、 心静かな侘びのせかいに、宇宙がある…  と。

  (映像の記憶  もし間違いがありましたら ごめんなさい。 お道具の正しい名前など分からぬままに) 

コメント (2)
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