
日盛りに 夏と秋とがせめぎ合い 畑中の道を駈けてゆく。
蝉は絶唱し 暑いひかりを援護した。
凌霄の朱 百日紅の紅 モミジアオイのあか・あか・ …
ひとすじの風が 初めの秋を 運んできた
陽は 鱗粉を混ぜたような 白い耀きで
芋茎のかげの蟋蟀
本箱の後ろでカネタタキが チン チン チン チン カンタンがル ル ル ル
目を閉じてきく虫のこえ 秋はしずかにやってくる
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爽やかな 秋の空 秋の雲
葉擦れの音に そよぎにも なんとなく 秋の声して
げに 男心と 秋の空…
はて 女心と ……
