Carnes(カルネシュ)
街にはその国の歴史を感じる場所がある。ポルトガル史で最も華やかであった大航海時代を象徴するのは、リスボンにある「発見のモニュメント」だろう。造船や航海術の発展など航海事業に大きく貢献したエンリケ航海王子の没後500年を記念して建てられた記念碑は大きな帆船の形をしている。彩色の全くない船は空と水の色だけを背景に白く輝いていた。
テージョ川に向かうように位置するこの船には航海に深く関わった人々の姿が刻まれている。この川がいずれ大西洋へとひらけ、新しい世界が待っていることを知っていた人たち。先端に立ち、手に船を持っているのがエンリケ航海王。その後ろにはインド航路を発見したバスコ・ダ・ガマ、世界一周を果たしたマゼラン、学者や宣教師など27人の像が並ぶ。
彼らが大航海へと繰り出した大きな理由の一つが今日のテーマの肉である。14世紀頃からヨーロッパでは食肉の習慣が広がったものの、肉の保存が大きな問題となった。そこに防腐剤として用いられたのが胡椒や丁字(クローブ)などの香辛料。香りや風味以上に重要な役割となっていたのである。しかし、ヨーロッパでは採取されないもので、専ら東南アジアからの輸入に依存していた。香辛料の貿易は「香料貿易」という歴史用語にもなっているのだ。
それを一手に掌握していたのは当時世界商業を制覇していたイスラム商人。買い付けた香辛料はインド洋から紅海を経てアレキサンドリアに運ばれ、後はイタリア商人(ベネチア人)が買い取ってヨーロッパ各地で販売するというルート。とにかく高価な物で、当初は同量の金と交換していたそうである。
ポルトガルは独占されていた香料貿易を独自の直接貿易によって打破し、大きな利益を得ることを国家を揚げて行った。香料主産地は胡椒がインドやスマトラ島など、クローブ、ナツメグはフィリピン南方のモルッカ諸島である。独自の航路発見により、一時はモルッカ諸島を占領、香料貿易を独占し15-16世紀の全盛時代が訪れた。(中央公論社『世界の歴史』7 参照)
肉の保存の為に始まった大航海。巨万の富は、危険を承知で大海原へと旅立った多くの挑戦者達のパワーによって築かれた。(さ)
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街にはその国の歴史を感じる場所がある。ポルトガル史で最も華やかであった大航海時代を象徴するのは、リスボンにある「発見のモニュメント」だろう。造船や航海術の発展など航海事業に大きく貢献したエンリケ航海王子の没後500年を記念して建てられた記念碑は大きな帆船の形をしている。彩色の全くない船は空と水の色だけを背景に白く輝いていた。
テージョ川に向かうように位置するこの船には航海に深く関わった人々の姿が刻まれている。この川がいずれ大西洋へとひらけ、新しい世界が待っていることを知っていた人たち。先端に立ち、手に船を持っているのがエンリケ航海王。その後ろにはインド航路を発見したバスコ・ダ・ガマ、世界一周を果たしたマゼラン、学者や宣教師など27人の像が並ぶ。
彼らが大航海へと繰り出した大きな理由の一つが今日のテーマの肉である。14世紀頃からヨーロッパでは食肉の習慣が広がったものの、肉の保存が大きな問題となった。そこに防腐剤として用いられたのが胡椒や丁字(クローブ)などの香辛料。香りや風味以上に重要な役割となっていたのである。しかし、ヨーロッパでは採取されないもので、専ら東南アジアからの輸入に依存していた。香辛料の貿易は「香料貿易」という歴史用語にもなっているのだ。
それを一手に掌握していたのは当時世界商業を制覇していたイスラム商人。買い付けた香辛料はインド洋から紅海を経てアレキサンドリアに運ばれ、後はイタリア商人(ベネチア人)が買い取ってヨーロッパ各地で販売するというルート。とにかく高価な物で、当初は同量の金と交換していたそうである。
ポルトガルは独占されていた香料貿易を独自の直接貿易によって打破し、大きな利益を得ることを国家を揚げて行った。香料主産地は胡椒がインドやスマトラ島など、クローブ、ナツメグはフィリピン南方のモルッカ諸島である。独自の航路発見により、一時はモルッカ諸島を占領、香料貿易を独占し15-16世紀の全盛時代が訪れた。(中央公論社『世界の歴史』7 参照)
肉の保存の為に始まった大航海。巨万の富は、危険を承知で大海原へと旅立った多くの挑戦者達のパワーによって築かれた。(さ)
いつもありがとう!Obrigado(オブリガード)!
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こってりした味付けも美味しいけれど、塩と胡椒だけのシンプルな食べ方も好きです。素材の良さが勝負になりますね。塩も私はギリシャ産の塩を沢山買ってきたし、胡椒もギリシャから赤、緑、黒の三色がミルに入ったものを挽いて・・。こだわってます(笑)
そうそう、北京のモスク、東京のモスクと記事、面白かったですよ。いつかアテネのモスクも訪ねてくださいね~。
お肉の保存のために始めた香料貿易からイスラムの航海術まで見れちゃうなんて面白いですね~。
ほんと、家にある塩や胡椒も以前は金銀の価値があって今でも塩・胡椒がなかったらおいしくない!という料理はたくさんあり必要不可欠ですね。
北京のモスクを見てからはイスラムのこともずいぶん興味を持つようになりました♪塩・胡椒だけのステーキ食べたくなりました(笑)
私もあります。飛行機が揺れた時、隣に座っていた外人のおばさん達が一斉に十字を切ってお祈りを始めたので、「飛行機落ちないでしょうね・・・」と妙にドキドキしてしまったことが・・(笑)。
関係ないですが、以前飛行機で隣に座ったインドネシア人が離陸する時、ずっと聖書を手にもってブツブツ唱えていて(たぶんお祈り?)ちょっとドキドキしました^^;
こんなつながりからイスラムの歴史や文化についても
詳しく知りたくなったりします。
塩の貿易も金と同等価だったんですね。台所にある見慣れたスパイスも「香料貿易」での価値や伝播を思うとちょっとワクワクします。
いろいろな背景を知ると旅の世界が広がりますよね。この「発見のモニュメント」の前に立つと本当に冒険者のような高揚した気持ちになりました。
ポルトガル、食べ物も美味しいしオススメですよ!
明日、またそちらへ遊びに伺います。
スパイスの伝播!エスニック料理好きの私にはとても関心がある話題です。もともと肉の保存のためだったとはいえ、彼らがスパイスを伝えてくれなければ、今私はこうやっておいしくスパイシーなお料理の数々を堪能できなかった!
海を背景としていた「香料貿易」と共に気になるのが、サハラ砂漠を渡った塩の貿易。こちらはアフリカの黄金とサハラの岩塩を交換するもの。こういった背景を感じながら旅をすると、自分も歴史の一幕に身を置いたような気分、あるいは冒険者の気分になれますね!
ポルトガルは未踏の地なのですが、冒険者の勇気とポルトガルの栄光に思いを馳せに、いつか「発見のモニュメント」のある場所を訪れてみたいです。