日本にレモンが入ってきたのは明治になってからと言うので、それほど歴史は古くない。
高村光太郎や梶井基次郎の檸檬(レモン)作品が輝いて見えるのは、当時とてもお洒落な果物だったからに違いないと想像する。
昭和っ子の私の懐かしいレモンといえば、迷わずレモンケーキである。
多少なりと違うのだが、包み紙は黄色くて、緑の文字でレモンケーキと書いてあるのが、いろんな洋菓子屋さんやパン屋さんあるのが不思議だった。
レモンケーキ組合でもあるのだろうか?どこかでまとめて作っているのか?
とにかく遠目にもすぐわかるレモンケーキは郷愁で、お店の窓越しに積んであるレモンケーキが目に入ると、お店に飛び込んでしまう。
どうやらそういうやからは私だけでなく、日本全国に沢山いるようで、レモンケーキで検索をかけたら、通販でも沢山売っていた。
いつでも食べたい時に食べられるのは、天邪鬼な私には面白くない。
レモンを探して、通りがかった知らない町の洋菓子店で、二つばかり買う。
次はいつ食べられるかな?と、そっとかじる。そう、これはレモン。フォークでお上品に食べたりしない。
高村智恵子ががりりと噛んだレモン…懐かしさに浸りながら、甘いレモンを、まるですっぱいかのように少しづつ食べる楽しみ。
次ぎ出逢うのはいつだろう。[a]