地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2008-03-30 15:39:23 | 日本語

 春

 関東地方の桜は今が盛りと咲き誇り、まさに春爛漫。花見、花曇り、花冷え、花吹雪など桜にまつわる繊細な季節の言葉を見聞きするたびに、桜が日本の春や花を象徴していることを実感する。万葉集の時代は花と言えば「梅」だった。中国から渡来した梅が人々に珍重されていたためと聞く。桜が花の代名詞になったのは平安時代からで、古今和歌集にも桜を詠んだ歌がぐっと増えるそうだ。

 春=桜といえばお花見。その歴史を辿ってみよう。桜を自邸の庭に植え、満開の花の下で歌会や舞いの宴を催すことが天皇や貴族の間で始まったのが、やはり平安時代。その後、貴族から武士の世の中になると花見は権力者の間で好まれた。最も有名なのが豊臣秀吉の豪勢な「醍醐の花見」だろう。

 お花見が庶民の間に広がったのは江戸時代中期くらい、徳川吉宗の都市緑化政策で植えられた上野や隅田川などの桜にに多くの人が集り、広重や北斎の浮世絵にも登場。それらの場所は現在もにぎわう東京のお花見スポットとなっている。

 花見の宴は昼もあり、夜もある。現在、国立近代美術館で展覧会が開催されている東山魁夷の代表作の一枚は、季語「花明り」をタイトルに用い、夜の闇に灯りをともすような朧月夜の桜を描いている。そして夜桜といえば思い出すのが与謝野晶子の歌。

 清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふひと みなうつくしき

 お花見を楽しむ人達の表情は美しい(飲み過ぎていなければ・・・)。桜に日本の歴史と文化を感じて、どうぞ素敵なお花見を!(さ)

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春の風景も国によって様々。「地球散歩」と旅するギリシャの春はこちらへ。(以前の記事を読んでいない方は是非、いらしてくださいね)

 

 


2008-03-25 14:32:08 | ギリシャ語

  Αυτοκινητο (アフトキニト)

 ギリシャで車というと思い出すのが、びっしりの路上駐車。住宅街は勿論、教会、遺跡の周囲にまで、お構いなしに停める。皆さん、縦列駐車の達人!というほど適当な間隔できれいに(?)並んでいて雰囲気はエジプトに近い走りも同じような感じ、日頃シガシガ(ゆっくり、ゆっくり)と言っている人達が何故、こんなに先を急ぐのか・・というスピードと荒い運転。マナーの方は決して良いとはいえない。

 走っている車は、どれも古びて埃だらけ。それが普通になっていたので、帰国して見た成田空港の駐車場に整然と並ぶ車の全てがピカピカ光って傷の一つもないことに仰天した。まるで新車の展示場・・逆カルチャーショックである。

 彼らの愛車はフランス車、イタリア車、日本車などが多いが、中でもMade in Japanの人気と信頼度はすごかった。遺跡でチケット販売のおじさんに「アポ・プー?(どこ出身)」と聞かれて「アポ・ティン・ヤポニア(日本だよ)」と答えるやいなや、彼の乗っている日本車自慢に。中古で買ったホンダ、何年も乗っているが一度も故障したことがないし、燃費もいいし・・とニコニコ顔。車に案内してくれ、車検証まで出してきて見せてくれた。やはり日本製の車や電機製品の評価が高いことを実感。

 最後に思い出すのはアテネ中心部の車窓。シンタグマ広場と衛兵のいる無名戦士の墓を通り、ハドリアヌスの門、その左側にゼウス神殿、右に高くパルテノン神殿、更に大通りへ出ると第一回近代オリンピックの競技場・・・と歴史と文化が次々と目に飛び込んでくる。アテネセンターに用事があって車で行く度に通ったお決まりの道・・・日常に見られる風景としては何とも贅沢でギリシャに住む幸せをいつもかみしめていた。(さ)

 いつもありがとう!Ευχαριστω ! 青葉台にて「All My Greece」展、好評開催中。現在Part2で写真です。31日までなので是非、お越しくださいね。桜が一輪、一輪と開花中、クリックもポチッ、ポチッとよろしくね。

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新年

2008-03-20 07:34:01 | ペルシャ語

نوروز (ノウルーズ)

イランの新年は、春分の日にあたる。「ノウルーズ」とは「新しい日」の意。厳しい冬を越し、若葉が芽吹き、野山に可憐な花が咲き始める時、また太陽がその均衡を取り戻す時、つまり昼と夜の長さがちょうど同じ長さになるまさにその瞬間に、イランの新年は始まる。ちなみに今年の新年の始まりは20日の午前9時17分だそう。

我が国の仏教・農耕儀礼の名残と思われる行事には、ノウルーズ前後の儀礼に相似したものが見られるが、おそらく古代ペルシャから日本へと伝わって来たものであろう。しかし、今回の記事ではそういったことには触れず、ただ、イランの神話の中に現れるノウルーズの起源についてのみ言及したい。実際の起源は、アケメネス朝の時代に置かれるが、神話の中では、「」の記事でご紹介したイマ王に、その起源が帰せられている。

イスラーム化以降に成立したにも関わらず、ゾロアスター教や古代ペルシャの伝統を色濃く受け継ぐイランの国民的英雄叙事詩『王書』(11世紀成立)の中に、ノウルーズとイマ王との関連性が描かれている。イマ王は『王書』の中では、「イマ」の現代ペルシャ語形であるジャムシードとして登場する。

力と栄光に満ち溢れたジャムシードは、先代王の善き訓えを受け、玉座に上った。世は全て王に帰依し、悪魔でさえも王の命に従い、争いもなく平安であった。王は、病や虚位など全ての悪しき事柄を世から失くし、全ての善を成し遂げた。その後、自らの地位をさらにたかめようとする。自分にふさわしい玉座をつくり、悪魔に命じてそれを宙に掲げさせた。それはまるで蒼穹に輝く太陽のようだった。人々はこのめでたき日をノウルーズと名づけ、その日身体を休め、あらゆる憎しみから心を解き放ち、祝宴を開く。この時から、この日(イラン暦1月1日)は、ジャムシード王の想い出として今日まで残っている。

以上が、『王書』に出てくる新年に関する記述の要約である。
また、シーラーズ近郊に位置する有名なペルセポリスの遺跡は、アケメネス朝時代の王が、各国の使節団を迎えノウルーズを祝うための離宮だったと考えられている。ペルセポリスは、ペルシャ語では「takht-e jamshid」、つまり「ジャムシードの玉座」と呼ばれている。

雪解け水のせせらぎの音。周りを囲む峻厳な山々。近郊を移動する遊牧民の緩やかに翻るスカートの小花模様。牧歌的で美しい光景の数々が、新年を迎える今頃、「ジャムシードの玉座」を彩っていることだろう。

新年の開始は、いつも昂揚感と期待感に満ち溢れている。増してや、それが最も美しく、
生命に満ち溢れた季節に重なるとあっては、人々の喜びも如何程であろうか。(m)

参考文献:『王書 古代ペルシャの神話・伝説』 フェルドゥスィー作 岡田恵美子訳 (岩波文庫)

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2008-03-16 22:30:56 | アラビア語(エジプト)

سيارة (サイヤーラ)

 エジプトへ行くというと「危ないところへ行って大丈夫なの?」「怖いところでしょうに」と、言われる。

 暗闇は誰でも怖い。
 知らないことは恐ろしい。

 エジプトは怖くて恐ろしいと、誰が言ったのでしょう?
 
 日本が今世界で、恐ろしい国だと恐れられていることを、信じますか?
 「何言っているの!怖いことなんかないわ」って、笑ったあなた。エジプトも同じなのです。
 特定のターゲットもなく、無差別テロが起こり、親子間で殺し合いがある日本を、「恐ろしい国」と思っている人たちが世界にはいるのです。
  日常的な大事件がめったに起こらないからこそ、ひとたび事件が起きると、世界をニュースが駆け巡るのは、日本もエジプトも同じ。
 どちらの国も大好きな私。どちらが安全かといえば、私はエジプトのほうが安全だと思うようになってきた。
  写真は、深夜のカイロ。東京だと六本木あたりのところである。
 無人のATM車。これは車道側から撮っているが、歩道側では、お金をおろす人がポツポツとやってきている。車の近くに警備の人も銀行員もいない。
 遠くから見ているのかもしれないが、近くに気配はない。
 無人のATMにショベルカーで乗り込んで、機械ごと強奪されてしまう日本。
 エジプトでは、車でも盗難の心配がないようだ。
 銀行員の友人がこれを見て、呆然と立ちすくんだ。

 「エジプトがここまで安全だとは思わなかった…」

 いくら日本が安全とはいえ、移動ATMは絶対に考えられないとのこと。
 子どもが夜中に買い物に出かけても、誰もなんとも思わない。出かけるときに「車には気をつけなさい」と言うのは日本と同じ。
 エジプトではサイヤーラよりもعربية (アラベーヤ)を良く使う。調べていたらأوتوموبيل (オートモビール)というのもあった。
 車線は関係ない。走れるところを、走れる速度で、クラクションを鳴らしながら走るのがエジプト流。
 シートベルト規制が出来、シートベルトがついていなかった車は、廃車から取ってきたベルトをボルトで無理やりつけている。のびきったベルトに意味はあるのか?
 太った人が多い。つわものに、おなかの肉に挟んで「デコレーション!」と一見締めているように見せている人も。
 チャイルドシートも見かけるようになった。しかし良く見ると固定されていないものが多い。
 乗っているうちにバラバラになってしまうのでは?という、4、50年乗っているという車は姿を消しつつある。メーターで交渉なしの、きれいなタクシーも増えつつある。
 車は生活不必要品で、外車を買えば税金は100%。ちょっと無理して買えるなら、外車を買うと言う友達。「駐車にお金がかからないから」と言っていた。駐車場はあるけれど、路上駐車が当たり前。止める時はギアをパーキングにはしない。動かないと、車が袋小路では、奥の車が出せないから。奥の車を出したい時、通りすがりの人が手伝って、車をちょっとづつ動かしている姿もほほえましい。[a]

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2008-03-10 12:34:37 | ギリシャ語

 Ανοιζη(アニクスィ)

 夏のイメージで語られることが多いギリシャにも勿論、冬があり、皆が光溢れる季節を待っている。

 春は復活祭とともにやってくる。キリストの復活を祝う最も大切な日は、春分後に来る最初の満月の次の日曜日となっているので、毎年日が異なる(今年は4月27日)。今は復活祭を迎えるための準備期間である。

 断食の前にごってりと肉を食べる日チクノ・ペンプティ(肉の焼ける匂いがする木曜日、今年は2月28日)、その後がアポクリエス(カーニバル)週間。街に仮装専門店が登場し、カラフルなドレスやコスチュームでドレスアップした子供達に出会うことができる。写真のようにベビーカーの赤ちゃんまでが特別な洋服を着ているので、思わず足を止めて「オレア・オーモルフォ(かわいい、きれい)」を連発。あちらこちらで可愛い子供達にみとれていると目的地になかなか辿り着けない。私も電飾ついた帽子をかぶったり、面白い眼鏡をかけたりして一緒に楽しんだ。

 キリストの復活からさかのぼって7週間目の月曜日から断食が始まる。この月曜日(3 月10日)がカサリデフテーラ(清月曜祭)で祭日。天気がよい時は多くの人が凧あげをし、家族揃って肉や油を避けた食事をいただく。友人に誘われて過ごした清月曜祭は、この日に食べるという発酵させていないパンにタラモサラダ、オリーブなどを持って郊外の森まで繰り出した。朝から抜けるような青空が広がって、野には早春の息吹が一杯、アネモネや野草(ホルタ)を摘み、凧を揚げ、持参した軽食で休憩。

 凧は風にのって空へ高く上がってその位置を保つ。人間の心・精神も高きをめざし、安定するように・・という願いが背景にあるのではないか、という友人の話だった。肉類を避けることは体を清めるという意味があり、節制を継続する努力という面もキリストの復活を迎える準備期間ならではのものだろう。ギリシャには神話、宗教それぞれに春の深い意味がある。(さ)

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エジプト散歩はいかが?

2008-03-07 00:03:23 | インフォメーション

 エジプト散歩をはじめて、気がつけば10余年…
 何を聞かれても、へらへら笑っているだけ。
 「何がいいの?」と聞かれても、隣の人と同じもの「Me too」しか言えなかった私。
 その私に英語もアラビア語も教えてくれたのは、エジプト航空の大勢のスタッフ。
 本社旅行部門では、私が行くと「今日はうちの部署へおいで!」「いいや、今日はこっちへおいで!」と、いろんな部屋から声がかかる。
 そこで、私は行きたい部署へ行き、そこにちょこんと座って、まるで3歳児のように「これはなんていうの?」「あれは何?」と、英語とアラビア語を覚えていった。
 就業時間になると、「さあ帰るわよ。ついていらっしゃい」と、言われた人について、その人の家へ行く。そこで私は、言葉だけでなくエジプトの生活や文化を教えてもらった。
 ある日のこと、「あなたの好きなエジプトを、あなたの友達にも見て欲しい。さあ、あなたのお友達のための旅を考えてごらんなさい」と、彼らは言いました。
 基本のツアーに、お友達が行きたいところを、一緒に考えてあげなさいというのです。今年のゴールデンウィークに、エジプトへ行って見ませんか?
 

    3泊4日 ゴールデンウィーク カイロ・アレキサンドリア周遊

 4月26日もしくは28日カイロ発のツアーです。
成田発のエジプト航空便に合わせて予定を組んでいます。他の便、スケジュールの場合はご相談ください。
Day1: カイロ空港にお迎えにまいります。ホテルまでお送りします。
Day2: 朝食後ギザ観光→昼食付き/夜はディナークルーズへ。
Day3:朝食後アレキサンドリアへ→カタコンベ、ポンペイの柱、新しいナショナルミュージアムへ→ランチはシーフードをお楽しみください。→カイロへ
Day4:朝食後、イスラミックカイロのシタデル、ムハンマド・アリモスクへ→オールドカイロ→ランチの後、カイロ博物館へ→ハーン・アル・ハリーリ市場でお買い物を楽しんだ後、エジプト航空成田便のお客様は、空港までお送りします。

3泊4日($300)、4★ホテル(ピラミッドエリア。朝食付き)、送迎、全ての観光入場料、ランチ、日本語ガイドが含まれます。


エジプト航空旅行代理店カルナックへメールでのお問い合わせは下記です。
お問い合わせの際は、「Hekmat web site」で知ったとお書き下さい。
カイロ本店 担当者 日本担当部長 Madam Nadia Aziz
boulosnadia3@yahoo.com

日本語でのお問い合わせは、碧宛、
mubaraklx@mail.goo.ne.jpへどうぞ。
※①本店には、英語でお問い合わせください。
 ②日本からエジプトへの、エジプト航空のチケットについてもご相談に乗ります。
 ③この企画の前後のオプショナル・ツアー、もしくはプライベート・ツアーのご相談もお気軽にどうぞ。
 ④30名に満たない場合は中止されることがあります。

 私の大好きなエジプトの地を、散歩してみませんか?
 そのお手伝いが出来たら、私は嬉しいです。

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散歩

2008-03-01 21:07:35 | インフォメーション

 Βολτα (ボルタ)

 エジプトにしばらく滞在してきた碧、現在イランからトルコ方面に旅をしているmitraに続いて私も出発。といっても写真を通してのギリシャ散歩である。シエスタの後や長い夏の夜の夕涼みに連れだって出かけるのが大好きなギリシャ人から「παμε  μια  βολτα」(パメ・ミア・ボルタ=ちょっと散歩行こう!)と誘われたことを思い出す。今回の連れはギリシャに関わる表現活動をしている仲間たちである。

 画家かわまささんはじめ、山火事被害を支援するプロジェクト「百年の木の下で」を通して出会ったギリシャを愛する7人が「クレフティコ」というグループを結成、今月「Art  Of  My  Greece」という展覧会を行うことになった。(山火事や「百年の木プロジェクト」の詳細は「山」の記事)絵画やイラスト、写真、それぞれに表現した作品はブックストアの明るく光が差し込むカフェに展示される。

 私は写真で参加。ギリシャが大好きな人には懐かしい空気を感じてもらえるよう、よく知らない人には「行ってみたい!」、「これは何だろう」と興味を持ってもらえるような風景を選んだ。タイトルは「ギリシャ散歩・γυρογυρο στην  Ελλαδα(ギロギロ スティン エラーダ)」。ギロギロは「ぐるぐる回る」という意味があり、βολταよりも広い範囲をイメージしている。

 そう、クレフティコ達の様々な「ギリシャ」を通して、更に散歩のエリアも広がるはずだから。(さ)

 第1回 グループ・クレフティコ 「All My Greece」展

Part1 絵画・イラスト 3月1日~ 15日

       かわまさしょうこ   森川未知留  ニキタス・ビニアリ

Part2  写真   3月16 日~ 31日

       植田ゆかり  守屋康広  小原有加里  大倉さらさ

場所 ブックファースト青葉台店(田園都市線 青葉台駅直結)

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