Σταφυλι(スタフィーリ)
オリーブの木と同様、乾燥したギリシャの大地で太陽を浴び、ブドウもよく育つ。思い出すのは、本土の各地やエーゲ海の島々に延々と広がる低木栽培のブドウ畑。
秋の市場では、屋台の屋根から幾つものブドウの房をぶら下げる店に出会う。淡い緑は種なし、薄い皮ごと食べられて人気のある品種だ。山と積まれて売っている。甘すぎず、爽やかな味。種と皮の面倒もなく手軽、更に値段の心配もなく、片手にのらないような大きな房を一度に食べてしまうことも度々だった。薄紫の方は種があって、独特の香りがある。自家製の美味しい干しぶどうを置いている店もあって、少量を袋に詰めてもらい、買い物をしながらつまんだものである。
ブドウといえばワイン。いよいよボジョレーヌーボー解禁(11月16日)という時期なので、こんな話を最後に。
9月半ばの日曜日。アテネに住む友人は家族で小さなブドウ畑を持つ知人の家を訪ねた。名付けて「収穫とワインの仕込みをする休日」である。たわわに実ったブドウを摘んで洗い、圧搾機にかけて絞り、樽に保存するまでを、皆でワイワイと行う。しゃべりながら、休みながら、のんびりとギリシャペースで。ワインの樽や家庭用の小さな圧搾機は街の道具屋などで手軽に手に入る。それだけ手作りする人や、ワイナリーに樽を持ち込んでワインを買い、家(庭など)で保存する人がいるということだろう。収穫と仕込みが終わった後は、戸外のテーブルでの賑やかな宴となったそうだ。
何とも贅沢な彼らの新酒も、間もなく開封されるだろう。外での食事を好むギリシャとはいえ、手作りヌーボーを愛でる冬の食卓は勿論、部屋の中。そこには太陽の代わりに暖炉にくべられた薪の燃える香りやあたたかい炎の色がある。(さ)
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