地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

ブドウ

2006-11-16 15:19:15 | ギリシャ語

Σταφυλι(スタフィーリ)

  オリーブの木と同様、乾燥したギリシャの大地で太陽を浴び、ブドウもよく育つ。思い出すのは、本土の各地やエーゲ海の島々に延々と広がる低木栽培のブドウ畑。

 秋の市場では、屋台の屋根から幾つものブドウの房をぶら下げる店に出会う。淡い緑は種なし、薄い皮ごと食べられて人気のある品種だ。山と積まれて売っている。甘すぎず、爽やかな味。種と皮の面倒もなく手軽、更に値段の心配もなく、片手にのらないような大きな房を一度に食べてしまうことも度々だった。薄紫の方は種があって、独特の香りがある。自家製の美味しい干しぶどうを置いている店もあって、少量を袋に詰めてもらい、買い物をしながらつまんだものである。

 ブドウといえばワイン。いよいよボジョレーヌーボー解禁(11月16日)という時期なので、こんな話を最後に。

 9月半ばの日曜日。アテネに住む友人は家族で小さなブドウ畑を持つ知人の家を訪ねた。名付けて「収穫とワインの仕込みをする休日」である。たわわに実ったブドウを摘んで洗い、圧搾機にかけて絞り、樽に保存するまでを、皆でワイワイと行う。しゃべりながら、休みながら、のんびりとギリシャペースで。ワインの樽や家庭用の小さな圧搾機は街の道具屋などで手軽に手に入る。それだけ手作りする人や、ワイナリーに樽を持ち込んでワインを買い、家(庭など)で保存する人がいるということだろう。収穫と仕込みが終わった後は、戸外のテーブルでの賑やかな宴となったそうだ。

 何とも贅沢な彼らの新酒も、間もなく開封されるだろう。外での食事を好むギリシャとはいえ、手作りヌーボーを愛でる冬の食卓は勿論、部屋の中。そこには太陽の代わりに暖炉にくべられた薪の燃える香りやあたたかい炎の色がある。(さ)

いつもありがとう!Ευχαρισοω ! ギリシャワインの記事が続く予定。クリックと、またのお越しをお忘れなくお願いしますね。

人気blogランキングへ


コーヒー

2006-11-07 22:27:39 | 日本語

珈琲

 板張りの床、薄暗い店内にともるランプのやわらかい灯。
 葉巻の薄紫にけぶった空気。
 紺のワンピースに真っ白いエンプロンの女給さんがもってくるのは、コオヒイに他ならない。(メイドカフェの話ではありませんよ!)

 大正ロマンあふれる、文学小説に出てくる飲み物はコオヒイが似合う。
 おしゃれな西洋料理と文化を、鮮やかに想像させてくれるのは森茉莉。彼女は夢の中の人。どんなに貧しい、ひなびたアパートで暮らしていても、彼女の世界は薔薇色である。
 森茉莉は、文豪森鴎外の娘である。彼女の作品は鴎外とはまったく違ったものであるが、鴎外の好んだ物や世界観を知る上で彼女の作品は非常に興味深い。
 銀座のカフェ・プランタンで初めて出会うコオヒイ。
 鴎外の妻は珈琲の淹れ方を、上野の精養軒へ聞きに行ったそうだ。精養軒のアドバイスは「挽き立ての豆を買って、土瓶にいれ、熱い湯を注しひと煮立ちさせなさい」

 こんなおしゃれな飲み物になるとは珈琲が上陸した当時、誰も想像できなかった。          
 江戸時代、出島にオランダ人が持ち込んだ珈琲を口にした文人、太田蜀山人曰く、 「焦げ臭くて味わうに堪えない」 。真っ黒なのも、いただけない理由であったろう。
 シーボルトはそんな日本人を見て、「日本人は熱い茶を飲み、交際好きな人種なのに、200年もオランダとの交易をしながら、さっぱりコーヒーを受けつけないのは
まったく不思議だ」と言っている。(シーボルト著『江戸参府紀行』)そして、「小不徳」と言う名で珈琲を不老長寿の薬として広めようとしたがうまくいかなかった。
 市民権を得たのは、明治維新後、西洋文化がもて流行らされる様になってから。
明治21年、
東京下谷の西黒門町に日本初の珈琲専門店「可否茶館」が開店。もっともこの店は4年しか続かなかった。専門店が定着するようになるのは明治も終わりのころ、大正になってからである。
 「骨非」、「古闘比伊」、「煎豆湯」…と江戸時代から明治にかけて、珈琲の当て字は数え切れないほどある。「珈琲」がなぜ定着し、誰の考えた字かは判っていない。[a]

芸術の秋、一杯の珈琲と一冊の本、と、1クリック…人気blogランキングへ


かぼちゃ

2006-11-01 21:54:05 | アラビア語(エジプト)

قرعة (カルウ)

 エジプトから留学してきたマハムード君に、かぼちゃの煮付けを出したら、じっと見ている。
「これは何?」と言う。
「かぼちゃ」
「エー!?知らない!」としげしげと見ている。
「そんなことはないね。種を食べているじゃない。でも実を食べているのは見たことないわ」と言うと、やっとわかったようだ。
「これを食べると風邪をひかないからね」と言ったら「ヤッサラーム!(本当?)」と聞く。
「疑うならおばあちゃんに聞いてごらん」と言うと、本当かどうか確かめている。
「冬至かぼちゃと言ってね、冬にかぼちゃを食べると病気にならないんだよ」というおばあちゃんの言葉を信じて甘いかぼちゃを飲み込んでいた。
 そんなマハムード君も、1年たつと「焼いただけのかぼちゃもおいしいね」と言うようになった。
 アラブで瓜科の植物は、種を食べるのが主である。スイカもかぼちゃも種は良く食べる。かぼちゃの実はお菓子にするが、おかずでは食べない。
 マハムード君はカイロッ子だ。アレキサンドリアに続く砂漠ロード沿いで売っていることが多く、カイロの市場やスーパーではほとんど見ないそうだ。家族の誰かが車でアレキサンドリアに行くと、買ってくるぐらいだから、かぼちゃのケーキを食べるのは3,4年に1回だという。[a]

 健康と美容のためにかぼちゃを食べよう!

 人気blogランキングへ