تابستان(ターベスターン)
国土の大半を沙漠が占めるイランの夏は厳しい。7,8月の真夏にイランの沙漠地帯を訪れた経験はまだないが、6月初頭の時点でさえ日中に出かけたところ、軽い日射病を患ってしまった。緑豊かなオアシスの中に聳える街や庭園の様子から沙漠の中にいることを実感するのは難しいが、市街地を離れるや否や、沙漠はすぐそこまで迫り、辺りを峻厳な土色の山に囲まれる。
一方、北部にカスピ海を有し、街のすぐ北側に5000メートル級の高い山脈を臨む首都のテヘランでは、緑豊かで水源にも恵まれ、夏の気候も耐えられる範囲である。夏の平均気温も日本より少し高いくらい。湿気が少ない分、日本より過ごしやすいのも事実だ。但し、真夏であろうと外出時にコートとへジャーブの着用義務がある女性にとっては、やはり夏の日中は辛い。知らず知らずのうちにコートの下からうっすらと汗が滲み出てくる。日中の外出はやはり避けたいという気分になってくる。
国土の広いイラン。同じ季節であっても場所によって気候がいくらか違うが、ヨーロッパ諸国同様、夏休みの期間が6月半ば~9月半ばの当地において、テヘランのような大都市に住む人々は、休みに入るとカスピ海沿岸のリゾート地へと出掛けていく。お世辞にもあまり綺麗とは言えないカスピ海だが、海水浴場が家族連れで賑わう姿はイランでも何ら変わりはない。カスピ海の有名なリゾート地のひとつを挙げるとすれば、「ラムサール条約」でも有名なラームサルを挙げることができようか。
さて、イランでは夏の風物詩として、例えばイラン名産の薔薇水を使った冷たくて美味しい飲料類がいくつもあるが、やはり冷たいものばかりを摂っていると夏バテが進むし、お腹を壊すこともある。以前、お腹の不調に砂糖たっぷりの紅茶が効果的ということを書いたが、今回もまた薔薇水入りの紅茶をご紹介しよう。薔薇水を通常の紅茶に一滴、二滴垂らし、「砂糖」の記事でご紹介したサフラン入りの氷砂糖を加えて頂く。薔薇とサフランの優雅な香りが辺りに漂う。実際この組み合わせは身体にとても良い。水分の取りすぎで弱った胃腸を元気にしてくれるばかりでなく、薔薇の香りには人の心を元気にさせる力があるようだ。
暑さでバテがちな真夏の日々、薔薇水入りの紅茶を飲んで、元気で優雅なイラン時間を過ごしたいものだ。(m)
*写真はペルシャ湾沿岸のブーシェフル旧市街。イランのオアシスでナツメヤシの光景が見られる地域は実は稀です。
各地の夏の風物詩。
ギリシャ イタリア スペイン エジプト 日本
暑くてダルダルですが、応援クリックはどうぞお忘れなく!