地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2008-12-30 00:00:00 | トルコ語

 Ay(アイ)

  トルコで月といえば、まず国旗を思い浮かべる人も多いだろう。
 国旗の由来については、方々で書かれているので、興味のある方は調べてみると面白いだろう。
 革命の父、ケマル・アタチュルクが、トルコ革命勝利の時、血溜まりに浮かんだ月と星を見たからと言うのが、もっとも信じられている説である。このドラマチックな説を私も信じている口である。
 イスラーム世界のシンボルは月と星であり、もっとも美しいものの象徴として、人々に人気のあるものでもある。
 気候の厳しい土地である。夜の帳がおり、こうこうと照らす月の下での生活は、日本人には想像しにくいかもしれないが、快適である。逆に太陽の下では、照り返しで、視界は真っ白になり、まぶしくて見えないのである。
 とはいえ、夕日が美しい世界でもある。砂漠に沈む、海に沈む太陽は、イスラーム世界で、みんなが、ゆっくりと見つめることが出来る大きな太陽である。とても印象深く、私のアラブ世界では、月よりも太陽が記憶に残る。
 カッパドキアで、私は夕日を見ていた。ふと振り返ると、そこにまだうっすらとしている月が見えた。夕日が巨岩を薄いばら色に染める中、月は上へと昇って行く。
 カッパドキアの絶景ポイントは、その名もローズバレー。薔薇の谷…
 この景色に合うのは、夕日よりも月。
 思えば、トルコは月の似合うところである。
 ブルーモスクと月、金角湾と月…月と何かを組み合わせて写真に撮りたくなる、そんなところである。[a] 
 

  ギリシャの月の女神ペルシャの満月の輝きもご覧ください。
そして、ランキングの星も瞬きますように…
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                   今年もお立ち寄りありがとうございました。
                 来年も、散歩がてらお越しくださるのを心待ちにしております。
                 月を眺めてしみじみと、行く年に感謝をこめてありがとう。
                 昇る日のきらめきの数だけ、来る年に希望がありますように…


クリスマス

2008-12-26 16:20:50 | ペルシャ語

كريسمس (クリースマス)

昨年のクリスマス、古代ペルシャの宗教的習慣がクリスマスの起源となっているという話を書いた(ペルシャ語「クリスマス」)。この記事を読まれた方々から、大変驚いた、という感想を少なからず頂いた。

今年のクリスマスは(日本ではもう過ぎてしまったけれど)、過去に遡るのではなく、現代の「物語」を語ろうと思う。

さて、ペルシャがクリスマス生誕の地(と言うと、誤解を生みかねないが)とは聞いても、やはり急進的イスラームのイメージが強い現在のイランとクリスマスを結びつけて考えることには、いくらか抵抗を伴うかと思う。しかし、現代のイランには、キリスト教徒が一定数存在する。
但し、イランで「キリスト教徒」というと、それはカトリックやプロテスタントではなく、国内に多数存在するアルメニア人のことを指す。アルメニア人がアルメニア正教を奉じることは、以前トルコ語の「」の記事で述べた。

街中に多数見られるモスクに比べれば、その数は圧倒的に少ないし存在感も薄いが、イランにもアルメニア教会が存在する。そして、その周囲には、アルメニア人が経営するカフェやカード・ショップが軒を並べ、クリスマスの時季ともなると、店内ディスプレイはクリスマスモードに変わり、クリスマス・カードが出回るようになる。

ユリウス暦を採用するアルメニア正教のクリスマスは、グレゴリオ暦の1月9日(ユリウス暦で12月25日)を降誕祭として祝っている。但し、「祝う」とは言ってもそれは決して派手なものではない。通常、煌びやかなツリーなどの華やかなオーナメントは、正教では邪道のようである。尤も昨今、クリスマスはすっかりビジネスと結びつき、世界中がまるでカトリック・プロテスタント世界のような有様ではあるが。

去年の記事でも書いたように、イスラームの国イランとて、クリスマス商戦と無縁ではない。上記のアルメニア人の店にとどまらず、ムスリムが経営する絨緞屋のショーウィンドウでは、クリスマス・セールを謳うポスターが踊り、ホテルのロビーにも大きなクリスマス・ツリーが掲げられたりする。真面目なクリスチャンであるアルメニア人よりも、ムスリムの方が部外者としてかえって華やかなクリスマスを享受できるのだろうか。
昨今は一般家庭でもクリスマスの飾りつけをしたり、パーティーをしたりと、イランも「世界標準化」しつつある。それにイエス・キリスト自体は、イスラームにおいても「イーサー」という名で登場し、歴代預言者の一人である。聖者信仰が盛んなイランでは、イーサーの生誕の日とて、祝いの日として例外にはならない。とは言っても、やはり「キリスト教」というよりは、「西洋」の象徴でもあるクリスマスを、堂々とこの国で祝うことは今でも憚られるようだ。

クリスマスを受け入れることによる文化の開放とか、そんな大袈裟な視点に立つ必要は全く無い。しかし、ツリーの飾りつけをしたり思いがけないプレゼントをもらったり・・・そういった子供時代の良き想い出を、イランの子供たちにも味わわせてあげたい、そう思うのは、私が「異教徒」だからというだけでは決してないはず・・・?(m)

ペルシャ語のクリスマス、正しくは「キリースマス」。Kの音を、イラン人は単語の冒頭で単独では発音できないことが理由とか。
でも・・・なんか違う言葉に聞こえてしまうなあ。。。

地中海各地のクリスマスはこちらから・・・
ギリシャ(1) ポルトガル(1) イタリア(1)
  
スペイン ギリシャ (2) エジプト 

イタリア(2)ポルトガル(2) ギリシャ(3)
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クリスマス

2008-12-22 22:43:08 | 英語

 Christmas(クリスマス)

 クリスマスと言えば、24日のイヴと25日。すでにご紹介の記事からもお判りのように、ヨーロッパでは新年までクリスマス期間が続く。
 イギリスのクリスマスは日本と似ている。クリスマスカードを友人に送り、25日にエリザベス女王のスピーチがある。プレゼントは家族そろって開け、みんなで協会へ行く…と、日本のお正月のようである。
 クリスマスの翌日、26日はボクシング・デイ。この日も祝日である。クリスマス、みんなを喜ばせるために働いた、使用人やお店の人、郵便やさんを休ませるための休日である。教会がクリスマスに募った募金やプレゼントを、貧しい人に配った事が起源とされている。それがだんだんと、25日にもらったプレゼントで、自分に用のないもを詰め直して、使用人などにあげたりするようにもなったという。
 どんな方法でも、全ての人がクリスマスボックスを手にできるのは、大変良い事だと思う。

 クリスマスになると思い出す、ひやっとする話がある。
 それはヨーロッパに多い、「悪い子だと、プレゼントじゃなくて桃の枝がくるよ」と親に言われる子どもの話。たいていの場合、親の単なる脅しに過ぎない。子どもも、そうは言っても、ちゃんとプレゼントはもらえると思い込んでいる。
 ところが、本当に「桃の枝」しかクリマスプレゼントにもらえない子がいる。やんちゃの限りを尽くし、我が物顔の怪獣に、これ以上のお仕置きはない。しかし、この怪獣が受ける打撃は、普段大人がこうむって受ける迷惑や怒りをはるかに超えた大きなものである。天下無敵の怪獣でも、所詮は子ども。というか、クリスマスのプレゼントを空ける瞬間は、子どもらしい、子どもなのだ。「桃の枝」をもらってしまった子どもは、生涯その事を忘れないという。
 世界中の人が、有形無形にかかわらず、プレゼントを手にすることが出来ますように。[a]


クリスマスのXの秘密ギリシャ、起源に迫るペルシャ、キリストの誕生ポルトガル、毎年生まれ変わる?イタリア、ハロウィンか!?スペインギリシャその2、中国ですか?イタリアその2、日本人的クリスマス、エジプトタイムスリップポルトガル雪のお菓子ギリシャその3

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スウィーツ

2008-12-18 17:59:09 | ペルシャ語

شیرینی (シーリーニー)

イランのスウィーツは、とにかく甘い。そして、色使いが奇抜なものが多い。
イランの街角にある菓子屋のショーウィンドーでは、実に派手な色合いと装飾のデコレーションケーキに遭遇する。週末の木曜日の午後ともなると、写真のように様々な動物の形を真似たケーキや人気キャラクター(解りにくいが写真上部には少し前にイランで流行ったスパイダーマンの絵を描いたケーキがある)を象ったケーキがずらりと並び、道行く人々の目を楽しませる。食品添加物に敏感な日本人から見たら、食べてみたいという気が起こらない程に派手な色付けのケーキだが、イランの子供たちは誕生日ともなるとそんなことはお構いなし、嬉々としてケーキにかじりついている。
ところでイランでは、生クリームたっぷりの西洋菓子には出会うものの、未だカスタードクリームのお菓子に巡り合ったことがない。カスタード好きの私には残念な事実。実は、イラン人に「嫌いな匂い」を尋ねると、不思議なことに多くの人が「卵の匂い」と答える。好き嫌いが全くと言ってよい程無く、日本食も大好きなイラン人の友人が唯一食べられなかった和食、それは茶碗蒸しだった。
いずれにしろ、小麦粉の精製技術も悪く、宗教上の制約も多いイスラーム圏のイランで、西洋菓子のレベルはまだまだ低く、また食べたい!と思えるスウィーツには残念ながらお目にかかれない。世界中の美味しいお菓子を日常的に食すことが出来る日本人にとっては尚更であろう。

一方、イランの伝統菓子はというと、代表的なイランのお土産として知られるギャズ(ピスタチオ入りのヌガー)のように、ナッツを贅沢に使用したイランならではのものも見られる。ナッツ自体がとにかく香ばしいので、伝統菓子はそこそこ行ける。
そして、アラブの菓子で登場したようなナツメヤシの実や胡麻を使用したお菓子や、トルコで有名なバクラヴァやロクム(ターキッシュ・ディライトと呼ばれるゼリーのような菓子)は、イランでも共通して食べられる伝統菓子だ。
これまたアラブやトルコにも共通するが、薔薇の原産地イランでは、薔薇水を菓子の香料に使うこともしばしば。またサフランが大量に生産されるイランでは、菓子の色付けのため贅沢にサフランが使用される。サフランと薔薇の香りがふんわりと漂ってくるライス・プディングは、イランのスウィーツの中でも贅沢な一品だ。

ところで、アラブで「ハラーワ(菓子)」という語が、口説き文句として使用されるという話だったが(アラビア語のスウィーツの記事)、ペルシャ語のスウィーツ「シーリーニー」も、アラビア語や英語同様、もともとは「甘い」という形容詞「シーリーン」から来ている語で、シーリーンは女性の名前にしばしば用いられる。以前ノーベル平和賞を受賞したイランの弁護士、シリン・エバディ氏をご存知の方も多いだろうが、ペルシャ古典文学に登場する有名な女性の名もまたシーリーンである。
ペルシャ文学の中の女性への褒め言葉が大袈裟で、いささか照れくさいという話は以前書いたが、イランのスウィーツも、これまた辟易とするくらい甘いのであった。(m)

原点に戻り、日本の甘味はこちらで。→日本語 

あま~い中東菓子を頬張った後は・・・
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チーズ

2008-12-14 15:12:15 | ギリシャ語

 τυρι (ティリ・チーズ)

 グリークサラダと呼ばれる写真の一皿、白い四角の塊がギリシャを代表するチーズ「フェタ」である。ザクザクと切ったトマト、キュウリ、スライスオニオン、ピーマン、オリーブを盛りつけた上にチーズをドカッと大きいままのせるのが一般的。売っているフェタが実際にこの大きさで、厚みを半分にしてサラダにのせた状態ということになる。白くて四角と聞くと豆腐をイメージするかもしれないが、固くしっかりとした塊で味も個性的だ。

 このサラダは仕上げにオリーブオイルとハーブのリガニ(オレガノ)をかけるだけで、特別なドレッシングはない。ある意味、フェタが味の決め手になる。塩気はオリーブの実とともに、ほぐして食べるフェタがバランス良く野菜と融合する。ギリシャ語で田舎風(ホリアティキ)サラダと言われるように、太陽をたっぷり浴びた野菜類、オリーブオイル、山羊や羊の乳から作られるフェタ、どれもが自然の恵みを感じる味。特にフェタの野趣に富んだ味と香りは田舎風と呼ぶにふさわしい。夏野菜の美味しい時期が旬で、冷えた白ワインにピッタリである。

 フェタはもともとアテネ北部の山岳地帯で羊飼いたちがつくっていたもの。歴史は2-3千年前にさかのぼり、現存するチーズの中では最古のものと言われているそうだ。食卓ではサラダ以外にもほうれん草やチーズパイのフィリングに入れたり、海老のトマト煮込みの仕上げに加えたり・・いろいろと活躍している。

 日本に帰国してからフェタが時々無性に食べたくなる。ギリシャ産を手に入れようとすると、成城石井にしか売っていないので一苦労だ。生産量の多いデンマークから輸入されたハーブオイル漬けの小さなキューブフェタなら大手スーパーでも購入することができる。切ってのせるだけの簡単レシピだから、トマトやキュウリの美味しい時期に皆さんも是非、グリークサラダをご賞味あれ。(さ)

 Ευχαριστω  いつもありがとう!茹でたブロッコリーやカリフラワー、千切りキャベツや人参を用意して塩、オリーブオイル、レモンで食べるのがギリシャの冬サラダ。こちらの方もオススメ。文章に出てきた野菜の種類だけクリックよろしくね!

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スウィーツ

2008-12-09 12:28:50 | 日本語

 甘味

 本来の日本語よりも、和製英語の台頭が目覚しいのは、今に始まった事ではない。
 スウィーツもしかり。
 レトロブームでよみがえった「甘味」という言葉。
 その昔、明治あたりに書かれた小説などを読んでいると、良く出てきた「冷やしアメ」というものに、とてもあこがれていた。
 夏、甘味処で「おばさん、暑いね!冷やしアメをおくれ」というせりふが出てくると、わくわくしたものだ。
 詳しい描写がないことから、明治あたりでは当たり前の甘味で、味を選んでいないことから、その味は「砂糖味」に他ならないと、私は決めていた。
 忘れもしない中学生の夏休み、京都を歩き回った私は、竹林の中に、緋毛氈の敷かれた茶屋を発見。そこにひらひらとたなびく看板に「冷やしアメあります」と書かれていたのだ。
 迷わず注文して、出てきたものは、イメージしていたものとはまったく違う甘味であった。
 私のイメージでは、水飴のようなものであると思っていた。ただ、よくよく思い出してみれば、小説の中で「おばさん、もう一杯!」と言っていた。でも、イメージは「飴」である。そして、色は透明。
 この全てが覆され、私は「これが冷やしアメですか?」と聞いてしまった。
 「へえ、そうどす」と、さらりと返事が返ってきたのだが、「ゴクゴク飲んで、もう一杯!」というイメージがなかったので、さらさらして、茶色い、何か浮遊している液体をどうしたものか、しばし考えてしまった。
 その正体は甘い生姜水。
 疲労回復にはもってこいだが、緋毛氈のお茶屋で優雅にお抹茶と練りきり、そして冷やしアメ…と並べた時、この甘味は、甘味のメニューとして思い描くのがむずかしい一品であった。
 そもそも、日本では「お十時」と「お三時」に食べる「おやつ」。
 仕事の合間の団欒に取る栄養補給の意味合いが強かったようである。ポイントは楽しく食べるこれが、「甘露」なわけで、何よりの甘味だったわけである。
 スウィーツを思い浮かべると、とにかく甘い物のみを想像しがちである。しかし、
伝統的甘味には、豆寒(あんみつの豆のみ)や、ところてん、豆板(大福のあんこなし)など、甘くない物もある。
 メタボやインフルエンザが問題の昨今、日本古来のスウィーツを見直すときが来たようである。
 スウィーツを食べながら、スウィートな時間をすごしたいものだ。[a]

アラブの甘いスウィーツも、ご賞味ください。
日本のスウィーツといえばあんこ!良い小豆をより分け、1粒、2クリック… 
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オレンジ

2008-12-04 11:12:30 | ギリシャ語

 πορτοκαλι(ポルトカリ) 

  これからが旬となるギリシャのオレンジ。以前の記事冬ミカンにてご紹介の通り、安くて美味しい上に健康に欠かせない果物である。薬局でビタミン剤を求めた日本人が「オレンジジュースを飲めばいいんだよ.。あと蜂蜜!」と言われ売ってもらえなかったという話やインフルエンザで医者にかかった人が、絞りたてオレンジにレモンをブレンドして飲むよう指示されたというエピソードがあるくらいだ。

 確かにギリシャ人はオレンジジュースをよく飲む。半割の果実を押し回して果汁を出す「尖った絞り部分」が電動でクルクル回る小さな絞りマシンは、家庭の必需品である。私もギリシャのビタミンのおかげか滞在中、全く風邪をひかなかった。

 旅行の折はカフェやファストフード店で飲むことができる。気をつけて欲しいのは注文の仕方。「ポルトカラーダ(オレンジジュース)」と言うと「ファンタオレンジ」が出てきてしまう。「χημος」(生の)をオレンジジュースの前につけて「ヒモ・ポルトカラーダ」と言うのを忘れずに。

 オレンジそのものを楽しみたいなら、モナスティラキ駅前の屋台やオモニア広場近くの中央市場で購入して、ホテルの部屋や観光先で食べるのもオススメ。どこで購入しても写真のようにみずみずしい。野菜不足になりがちな旅先の体調を整えてくれるし、とにかく元気が出てくる味なのである。

 美味しさの秘密はギリシャの太陽だろう。たくさん浴びて育っているというのは、例えばシュリーマンが黄金のマスクを発掘したことで有名なミケーネ周辺をドライブすると納得できると思う。車を走らせていると一面がオレンジの木々という風景が延々と続き、収穫の時期はあちらこちらに実っている果実が、冬でも溢れるほどの光を受けて輝いている。(さ) 

 いつもありがとう!Ευχαριστω! インフルエンザの季節、皆様、くれぐれもご自愛くださいね。心のビタミンを目指す「地球散歩」にオレンジの数だけクリックをよろしくね。人気blogランキングへ