地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

茶 

2006-04-26 00:50:07 | 日本語

 もともとお茶は食べるものであったらしい。不思議に思うが、抹茶を思い浮かべると無理がない。初期の茶葉は、ボール状に固められ、飲むときに削って湯にといたという。しかして、この食べるお茶は、初めて日本にもたらされたお茶であったが、長くは続かなかった。
 お茶は、たいてい「お」をつける。もともと高級であった名残であろう。今でこそあるのが当たり前のお茶だが、遣唐使が伝えたものの、一般に広く普及しないうちに遣唐使が廃止。栽培などもしていたが廃れてしまった。このときのお茶が削るタイプ。
 それから約400年間、お茶は忘れられていた。
 鎌倉時代になって、栄西禅師が宋ではやった抹茶を伝えたのが、現在にいたっている。栄西は『喫茶養生記』著作でも知られた。喫茶の文化はこれが発端で、今度は絶えることなく、鎌倉後期には庶民にまで広がった。

 さて、お茶のない生活なぞ考えられないが、日本にお茶が定着するのには、いつも山越え谷越えの道のりがあるようだ。
 緑茶の定着に400年の歳月。そして紅茶の道も険しかったのである。
 紅茶は黒船と共にやってきた。開港した日本は貿易をせねばならない。生糸とお茶が主要な輸出品に選ばれた。当時の需要は圧倒的に「紅茶」
 付け焼刃で明治政府が作った紅茶が、本場インドの紅茶に勝てるはずもなく惨敗。
 日清戦争で、台湾を占領したおり、紅茶生産を開始。これが日東紅茶の始まりである。
 しかし日本人が紅茶を常備するようになるには、昭和20年代後半まで待たなければならない。
 それから思えば、今のペットボトルのお茶の品揃えはなんと豊富なことか。いまや、何茶であっても、私たち日本人にお茶は欠かせないものである。[a]

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2006-04-17 23:51:25 | アラビア語(エジプト)

لحم(ラハマ)

 アラブで肉の話というと、「豚がダメ」か「犠牲祭」の話と相場が決まっている。  肉の写真も、肉屋の軒先にど~んと釣り下がった、防腐剤でショッキングピンクに塗られた牛肉がよく見られる。今日はちょっと違う肉とそれにまつわる私の話。
 エジプトで居候していたとき、ママが子供に聞いた。「明日のお弁当は何がいい?」子供は飛び跳ねながら答えた。「ソーセージ!」
 無言の私に、ママは「もちろん豚じゃないわ」と言った。私が驚いたのは、ソーセージの肉が豚ではなかったことではなく、次のママの言葉。「冷蔵庫にないから、買ってらっしゃい」
 時は夜中の11時半をとっくに回っている。子供が一人で買い物に行く時間か?
 小学生の子供は、こともあろうか私にこう言って出かけた。「夜は危ないから、心配して迎いに出たりしないでね」 ところ変わればである。
 
 腸詰め=中身は肉のイメージである。
 ある日、肉けに餓えていた私と友人は、とあるマタアム(食堂)の前で足を止めた。エジプトの食堂は一品売りが多い。混ぜご飯なら、混ぜご飯専門店。内臓なら内臓専門店。その店先には、ソーセージがたくさんぶら下がっていた。エジプトではじめてみたソーセージに私たちは釘付け。これだ!店に飛び込むと、何人前食べるか聞かれ、答えるとすぐに出てきた。
 !!?
 かぶりついた私たちは、食感と味に驚いた。
 中に詰められていたのは、なんとご飯。

                 
 ご飯の腸詰めは、想像したことがなかったので、心底驚いた。そして、「肉が食べたい」とつぶやいたが、あとから出てきたのはレバーだった。


 写真は、保存の効くのハムやソーセージが下がり、ケースにはチーズの入った乳製品の店。[a]

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2006-04-11 00:11:14 | 英語

 meat(ミート)

 もともとmeatは、食物一般のことを指していた。いわゆる私たちのイメージする「肉」は、flesh。
 meatが食用の肉の意味になったのは、14世紀末のイギリス。食生活が肉食になってきてからのようだ。今では食肉=meat。時代とともに言葉の意味合いが変化してきたよい例である。
 fleshが食肉だけを指すのかといえばそんなことはない。果肉や、人間の肉体に関する意味も多く含まれている。こちらは俗語もあるが、純粋に「肉」のいみであるのに対して、meatはなんと卑猥なことか。
 20世紀の産物としか思えないような、口にできない卑語だらけである。英語に興味の持てない青年たちよ!一度調べてみなさい。英語の字幕が数倍楽しくなること請け合いだ。私は今まで辞書の略語は、「口語」、「俗語」、「卑語」などは知っていたが、「ゲイ俗語」はmeatで初めて見た。意味はもちろんここでは書かない。
 そして、極めつけ。meatの一番最後に出てきた単語はmeat wagon。霊柩車だそうだ。死して、動かなくなれば人間もただの肉の塊ということか…
 古来よりmeatとは、食物であり、口語では「価値のあるもの」、「中身のあるもの」の意味であった。
 肉はおいしい。世界中で何らかの肉を、人は食べている。それだけに口語や俗語が増えていったのだろう。[a]

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2006-04-02 22:35:58 | オランダ語
bolem(ボーレム)

 百花繚乱の候、日本の春を代表する花が桜なら、オランダはチューリップ。風車とともにオランダの象徴となっている。アムステルダムの花市場に行くと色とりどりの花束の他、沢山の球根がまるで八百屋の玉葱のように並んでいる。中でもチューリップは色、形が様々。原産国はトルコ、花の形が頭に巻く布の「tulipan」に似ていることが語源となっている。16世紀半ばにヨーロッパに入った時には白と黄色の花だったという。
 オランダの歴史の中にチューリップにまつわる大きな出来事があった。「チューリップマニア」という時代だ。赤や混じりなど新しい種類が出てくると人々は次第に珍しい品種の球根を手に入れることに熱中しはじめる。当初は目を楽しませてくれた花が、いつしか投資の対象へと変化。1634-1637年の4年間は特にすさまじく、球根一個が4600ギルダー、現在の200万円に値するような破格の取引が行われ、球根と家の交換もあったそう。ホールンという街には当時取り引きされた家が「チューリップハウス」という名前で残っているとか。このバブルは1637年にはじけて、価格が数日で100分の1に下落、破産者が溢れた。
 事の顛末は芸術のテーマにもなり、デュマの『黒いチューリップ』という文学作品、農民画家ブリューゲルの「チューリップの寓話」という絵画になったそうだ。
 マネーゲームに血道をあげる人々のの愚かさはいつの世も変わらない。このチューリップマニアのエピソードは、花の美しさを愛でる純粋な心を曇らせてしまう「人間の弱さ」を教えてくれる。(さ)

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