地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2006-03-16 15:04:45 | ギリシャ語
Τσαι(ツァアイ)

 コーヒー国ギリシャ。朝の一杯に始まり、一息入れるお茶の時間に欠かせないのがデミタスカップで飲むギリシャコーヒーや夏の泡立てて飲むアイスコーヒー・フラッペである。
 ある時、友人に「紅茶は飲まないの?」と聞くと「私は緑茶を飲むけど(彼女は日本好き)、私の両親達はお茶は病気の時だけ」という答えが帰ってきた。その後もいろいろ尋ねると、一般的にギリシャ人にとっての「茶」は健康の為に飲むもの、時には薬の代わりにもなるものであることがわかった。知人の子供がひどい嘔吐で入院した時、症状が落ち着いてから最初に出された飲み物は「カモミールティー」であったそうだ。カモミールは胃腸に良いとされている茶で、この花は春を告げるものの一つ。街中の小さな遺跡にある古代の柱のそばにも可憐な白い姿を見ることができる。
 ギリシャでいう「茶」はイギリス風の紅茶というより、大地で育まれたハーブなどの植物を乾燥させて飲むという意味が強い。市場に行くとギリシャならではの茶葉を置いている店がある。花を枝ごと手折って、あるいは葉や花もそのまま乾燥させただけのワイルドなものばかり。店の人に聞くと「これは風邪に、これはお腹に・・」と効能を説明してくれる。
 カモミールと共に代表的なτσαι του βουνου(ツアィ トゥ ブヌゥ・写真)は直訳すると「山の茶」。ギリシャ全土の山に生息する植物で、風邪全般、呼吸器系、消化器系の病気にも良いとされている。市場の他、スーパーや食料品店、パン屋などにも置いてある定番のお茶である。飲み方は簡単。適当に枝を折ってポットに入れ、熱湯を注ぐ。香りはあまり個性的ではなく万人好みの優しい味。
 ギリシャの茶はどれも大地の恵みを感じる。忙しい日々の(といっても日本よりずっとゆったりしている)一服や街や海を眺められるカフェで仲間達とにぎやかに飲むコーヒーとは違って、疲れた時や体調の悪い時に一人でゆっくりとリラックスしたい時のもの。自然から送られた癒しの味なのである。

Στην Ελλαδα πολλοι ανθρωποι πινουν το τσαι για την
υγεια τους.
<スティン  エラーダ ポリ  アンスロプゥ  ピヌゥン ト ツァアイ ヤー ティン イギア  トゥウス>
(ギリシャでは人々は健康の為にお茶を飲む)

Αναπληρωνουν το φαρμακο.
<アナプリロヌゥーン  ト  ファルマコ>(薬の代わりにもなる)

Παραδειγματος χαριν , το τσαι του βουνου ειναι για το
κρυο , χαμομηλι ειναι για το στομαχι και τους πονους.
<パラディグマトス ハリン、ト ツァアイ トゥ ブヌゥ イネ ヤー ト クリオ 、ハモミーリ イネ ヤー
 ト ストマヒ ケ トゥウス ポヌス>
(例えば、山の茶は風邪に、カモミールは胃腸やその痛みの為に)

Επισης το χρησιμοποιουν για να χαλαρωνουν.
<ト フリシモポゥイゥン ヤー ナ ハラロヌーン>(リラックスにもまた役立つ)

Η μεντα εχει ωραιο αρωμα .
(イ  メンタ  エヒ  オレオ  アロマ )(ミントは良い香りがする)
΄
ギリシャ語メモ・・英語に近い言葉を選んでみました。
 φαρμακο<ファルマコ>薬    
στομαχι<ストマヒ>お腹
αρομα<アロマ>芳香

いつもありがとう!Ευχαριστω(エフハリスト)!
本当に忙しい日本の毎日。『地球散歩』が皆さんにとって心の一服になりますように。ちょっとリラックスした後はクリック、お忘れなく!
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2006-03-02 22:09:32 | ポルトガル語
Carnes(カルネシュ)

 街にはその国の歴史を感じる場所がある。ポルトガル史で最も華やかであった大航海時代を象徴するのは、リスボンにある「発見のモニュメント」だろう。造船や航海術の発展など航海事業に大きく貢献したエンリケ航海王子の没後500年を記念して建てられた記念碑は大きな帆船の形をしている。彩色の全くない船は空と水の色だけを背景に白く輝いていた。
 テージョ川に向かうように位置するこの船には航海に深く関わった人々の姿が刻まれている。この川がいずれ大西洋へとひらけ、新しい世界が待っていることを知っていた人たち。先端に立ち、手に船を持っているのがエンリケ航海王。その後ろにはインド航路を発見したバスコ・ダ・ガマ、世界一周を果たしたマゼラン、学者や宣教師など27人の像が並ぶ。
 
 彼らが大航海へと繰り出した大きな理由の一つが今日のテーマの肉である。14世紀頃からヨーロッパでは食肉の習慣が広がったものの、肉の保存が大きな問題となった。そこに防腐剤として用いられたのが胡椒や丁字(クローブ)などの香辛料。香りや風味以上に重要な役割となっていたのである。しかし、ヨーロッパでは採取されないもので、専ら東南アジアからの輸入に依存していた。香辛料の貿易は「香料貿易」という歴史用語にもなっているのだ。
 それを一手に掌握していたのは当時世界商業を制覇していたイスラム商人。買い付けた香辛料はインド洋から紅海を経てアレキサンドリアに運ばれ、後はイタリア商人(ベネチア人)が買い取ってヨーロッパ各地で販売するというルート。とにかく高価な物で、当初は同量の金と交換していたそうである。
 ポルトガルは独占されていた香料貿易を独自の直接貿易によって打破し、大きな利益を得ることを国家を揚げて行った。香料主産地は胡椒がインドやスマトラ島など、クローブ、ナツメグはフィリピン南方のモルッカ諸島である。独自の航路発見により、一時はモルッカ諸島を占領、香料貿易を独占し15-16世紀の全盛時代が訪れた。(中央公論社『世界の歴史』7 参照)

 肉の保存の為に始まった大航海。巨万の富は、危険を承知で大海原へと旅立った多くの挑戦者達のパワーによって築かれた。(さ)

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