Flower(花)
カナダのビクトリアを旅行した家族から絵葉書が届いた。
バンクーバーからフェリーに乗って1時間半。ビクトリア女王の名前をいただいた地名からもわかるようにイギリス文化を色濃く残した美しい島に到着する。1843年に毛皮貿易で栄えた港に英国海軍が補給の拠点とし、1894年にイギリス領となった歴史を持つ街である。
中心街はハンギングにしつらえた季節の花の寄せ植えがあちらこちらに見られ、街並みとともに英国風。そして随一の花の名所といえばブッチャードガーデンがある。2004年に100周年を迎えカナダ国家史跡にも認定されている名園は、130エーカー(67000坪)の敷地を誇る。
中でも目を惹くのが入園して程なくあらわれる写真のサンケンガーデン。これは「沈床」と呼ばれる西洋庭園の形式で道路や地盤よりも低い位置に作られた半地下の庭のこと。見晴台から15メートル下に周囲の山や緑に抱かれた空間があり、芝、高低のある植え込み、彩りを添える花々が優しく調和している。階段を降りながら自然の中に入っていくアプローチは、これから始まる庭めぐりの序章にふさわしい。
イギリス式庭園とは整然とした形式美ではなく、自然を大事にする。サンケンガーデン、そこを抜けて広がる水の風景は樹木、草花、石、水を配し長い年月をかけてゆっくりと育てられたことを感じる。
更に進んでいくとローズガーデン、幾何学紋様に樹木を作り込んだイタリア式、鳥居や灯籠まである日本庭園があり、訪れる人を飽きさせない。セメント採掘場を経営していたブッチャード氏の夫人が採掘跡の殺風景な土地に小さな庭を造ったのが最初で、代々ブッチャード家が受け継いできた。夫人はもとより一族は英国文化だけでなく、他国の造園技術や文化を学び、信念を持って庭を管理してきたのだろう。
四季折々の花や景観だけでなく、夏は花火、冬はクリスマスのイルミネーション、カフェテリアに用意されているイギリス式のアフタヌーンティーといつ、どんな季節に訪ねても楽しめるそうだ。(さ)
参考・ブッチャードガーデン ガイドブック
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