魚
万緑の候。旬の魚と言えば鰹(かつお)である。よく知られた俳句が「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」で、松尾芭蕉の門人であった山口素堂の作品。また「女房を 質に入れても 初鰹」「まな板に 小判一枚 初鰹」という川柳もある。
「質に入れる・小判」という表現が面白く、調べてみると元禄時代から天明の頃、初鰹は驚くほどの高値で取引されていたことがわかった。記録によると文化9年(1812年)、水揚げされた17本の鰹を購入できたのは将軍家、高級料亭の八百善、歌舞伎役者の中村歌右衛門だけ。値段が鰹一本3両、それは現在の貨幣価値の9万円(20万円という説もあり)に相当するそうだ。松阪牛もビックリである。この熱狂ぶりは江戸末期には沈静化し、広く食されるようになっていった。
鰹といえば土佐。高知県を旅行した時、海や山の幸を豪勢に盛り込んだ郷土料理に出会った。かつて五穀豊穣を願う祭礼の折、神前に供えたものを分かち合って食したことを発祥とする晴れの食・皿鉢(さわち)料理である。鰹の刺身やたたきを中心に、寿司、煮物、焼き物、和え物、揚げ物、デザートまでが直径40㎝ほどの大皿にてんこ盛りだ。
初鰹の時期は過ぎて戻り鰹には早い時期であったが、とにかく美味しい。生醤油やポン酢だけでなく、塩で食べることがお勧めという。塩と鰹の組み合わせはシンプルゆえに素材の良さが勝負、産地ならではの味だった。記事を書きながら今夜は鰹のたたきを食卓にと思っている。つくづく庶民の味になったことが嬉しい。(さ)
参考 Wikipedia,食材事典
『地球散歩』は各国の魚料理を取りそろえております。お楽しみくださいね!チュニジア、トルコ、 沖縄、 イラン 、クロアチア 、エジプト 、日本の寿司 、イギリス 、ポルトガル 、スペイン 、ギリシャ
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