café(カフェ)
「私はバルセロナに行きたい!」と、イタリアはトリノの駅で叫んだ。
それはもうドラマのような、ドキドキするシーンが展開された。私の自伝的ドラマが映画化されたら、ここは一つの山場である。
と、冗談はさておき(実話ですが)、私はバルセロナ行きのサルバトール・ダリ号に、間一髪で乗ることができ、初めてスペインの空気を吸った。列車に乗ることができた私は、気絶するように倒れこみ、よく寝た。
朝起きて、食堂車へ行くと、そこはスペインだった。
寝る前は、確かにイタリアだった。何もかも、イタリアだった。
いろんな国からの旅行者をのせた列車の共通語は、確かにイタリア語で、リラが飛び交っていた。
それが、もうすぐバルセロナと言う時に「カフェ・ラッテください」と、私が言った。すると、「セニョーラ! カフェ・コン・レチェ!(café con leche)さ。カフェ・ラッテなんていうものは無いさ」と、カウンターの向こうから、おじさんが叫んだ。支払いももちろんペセタである。
国境を越えたんだ…
私は、スペインにいるんだ!
初めて、一人で海外に出た私は、嬉しさと緊張と、恐怖と戦っていた。道端で地図を広げても大丈夫かどうか、何度もドキドキした。苦しくなると、バルに飛び込んで、カフェ・コン・レチェを頼んだ。初期の旅で、私はどれだけのカフェ・コン・レチェという、気付け薬を飲んだことか!
座ると落ち着いてきて、しばらくすると、マン・ウォッチングに興じる。
氷の入った硝子のコップと、カップに入った熱々のカフェ・ソロ(ブラック・コーヒーのこと。café solo)が、隣のテーブルに運ばれてきた。あの、氷だけのグラスは何だろう?と思った私は、びっくりした。アイスコーヒー(café con hielo)を頼むと、そうやって出てくることを知らなかったのだ。熱いコーヒーが注がれた、硝子のコップに見とれる。
アメリカ人はいつでもアイスコーヒーを注文し、イライラしている。「なんで、この国はアイスコーヒーがないんだ!」
そういえば、スペイン人が、アイスコーヒーを飲んでいるのを見たことが無い。そして、アイスコーヒーにミルクは入れないことになっている。
別の機会、またしても隣はアメリカ人の模様。2人なのに、カップが3つ?「この国のコーヒーは、酔い覚ましみたいに濃いヤツばっかりでいかん」と、言っていたかどうかは定かでないが、カップのうち一つは、ただのお湯。エスプレッソを薄めてアメリカンにするのだ。これが、スペイン流、アメリカン・コーヒー(café americano)。
子どもの頃、色水屋さんごっこが大好きだった私。スペインがますます大好きになってしまった。だって、人前で堂々と、じゃあじゃあできるんですもの!
スペインにはいろんなコーヒーの飲み方がある。朝、食後、お茶の時間…その時々にあったコーヒーの飲み方ができるようになりたい。
スペインのコーヒーに欠かせない「砂糖」の記事も飲んで…読んでくださいね。[a]
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