地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2006-07-27 22:55:22 | スペイン語

 Lluvia(リュビア/ジュビア)

 私がマドリードにいると雨が多い。雨季に行っているのか?そんなことはないと思うのだが、マドリードを思い出すときはいつも雨の景色。
 私がはじめてマドリードに降り立ったときに感じた色は灰色。エンデの『モモ』に出てくる灰色男が似合う町のイメージだった。
 いつのころからか、雨の降る街に靄がかかって、車のテールランプの赤い光がぼんやりと光るのを窓から見下ろすのが好きになった。
 マドリードは美術館の宝庫。雨の日の美術館めぐりは最高。空気がしっとりとしていて、作品たちがつやつやしている気がする。雨の日が一番似合う美術館はMuseo Sorolla(ソリョーリャ美術館)。
 ソリョーリャ画伯のアトリエだった美術館の門をくぐると、アンダルシア風の庭があり、タイルとレンガの地面は雨で輝いている。
 バレンシアの海岸の絵などを見ていると、外の雨音が地中海の波の音に変わってくる。

 マドリードにlluvia de estellas(満点の星空)はないけれど、
 
lluvia de regalos(たくさんの贈り物)がつまった街であることは確かだ。

 さあ、モノトーンのシックな傘を持って、マドリードへ
 雨のそぞろ歩きを楽しみに

  「ジュビア」と声に乗せると、雨粒の宝石が零れ落ちる気がする[a]

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コーヒー

2006-07-22 12:16:50 | ギリシャ語

Καφε (カフェ) ギリシャ語

 ギリシャは東西の文化の交差点。ヨーロッパでありながら、時折アラブを感じる不思議な魅力がある。ギリシャ料理は中東との共通点も多く、ギリシャコーヒーはトルコ式と全く同じ。ただ、トルコとは複雑な歴史があるため、同じ飲み物でも自国のものであることを強調し、敢えて「エリニコ(カフェ)」(ギリシャの)と呼んでいる。何でもありの日本でもさすがに飲む機会がなかったため、初めて飲んだときは、珍しい!の一言。友人の家だったので作り方を見せてもらった。

 まず、豆はパウダー状に細かく挽いてある。いい香り。流しの下からやおら取り出したのは、小さな柄杓のような鍋。「甘さはどれくらい?」と聞かれた。砂糖はあらかじめ入れておくし、入れた方が美味しいそう。そしてミルクは入れない。柄杓鍋にコーヒーと砂糖を入れて、カップにちょうど一杯程度の水を入れて、火にかける。スプーンでかき混ぜながら沸騰まで・・。フワァーと湧いて盛り上がった時、吹きこぼれる直前に火から下ろしてカップに注ぐ。粉を漉さずに全てを注ぐのがミソ。

 席についてすぐに口を付けようとすると「シガシガ(ゆっくり)」と注意される。粉が十分に沈殿してから、ゆっくりとね・・という意味。何事ものんびりしたギリシャ時間にぴったりだ。表面には柔らかい泡があり口当たりも優しく、想像していたよりもずっとまろやかな味。豆の甘味を感じるような気がした。

 上澄みをすすって飲んだ後は、ソーサーをカップにかぶせて逆さにし、下に溜まったコーヒーの粉をソーサーの上に出す。カップに残った粉の模様で占いをするというのだ。粉が底に固まっていたら「じっと我慢の時」、全体に流れていたら「好調に展開」という具合。いやはや、全てが初めてのことばかり。だから異文化は面白い。

 これが伝統的なギリシャコーヒー。インスタントコーヒーを普通に飲む場合はメーカー名そのまま「ネスカフェ」。また夏は小さなハンディーミキサーで専用の粉を泡立て、氷とミルクをいれて飲むアイスコーヒー「フラッペ」を多くの人が好んで飲む。海辺のカフェで溢れる太陽と潮風を感じながら飲むと最高。(さ)

 *ギリシャ語メモ*                                        コーヒーを飲むとき、甘さの加減を聞かれるので覚えるのをオススメします!

γλυκο (グリコ)甘く  ・・・ギリシャ人はほとんどグリコ。めまいがするほど甘い                                                  μετριο (メトリオ)中くらいの甘さ                  σκετο(スケト)砂糖なし

 いつもありがとう。Ευχαριστω ! (エフハリスト)

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2006-07-19 00:10:18 | スペイン語

 Te(テ)

 ヨーロッパは近頃お茶ブームである。スペインでも、紅茶のある店やバルが珍しかったのは今は昔。「Te」と看板を掲げたバルも増えている。
 スペインでお茶といえば、カモミールティー(マンサニージャ)である。

 町のスーパーや、中国人がやっているような乾物+乳製品の店では紅茶とカモミールぐらいしか手に入らない。しかし、大型スーパーに行くと、中国からの緑茶はもちろんのこと、イギリスからもフレーバーティーがたくさん輸入されている。

 私のお気に入りティーバックセレクション
 日本では考えられないが、レモン入り緑茶。病み付きになり、ほかの国に行くときも持ち歩いていた。かといって、日本の緑茶に入れる気には到底なりません。(写真中右)

  都心よりも、地方に行くと多いのが、パッケージの凝っているお茶。昼間のお茶(下段右)と、私は呼んでいるが、シエスタの前にオススメなカフェインレスの紅茶。
 そして、夜のお茶(下段左)は特にどこのメーカーでも凝っている。夜のお茶はカフェインが少ないハーブのブレンド。

 ロシアンティーが好きな私は、紅茶にジャムは定番。たまに蜂蜜も入れます。なので、蜂蜜入り紅茶を見つけたときは迷わず買ったのですが…なんというか、キツイです。これは好き好きがあるでしょう。蜂蜜~!と自己主張の強いお茶です。(写真中左)

 スペインで、どこででも手に入るハーブティーで忘れてはならないのが、ティラ。リンデンと親戚のシナノキ属の花茶。
 欧米人はリンデンが大好きで、蜂蜜もシナ蜜を好む。
 日本人にとって、リンデンと言えば入浴剤のイメージが強いのではないか。
 リンデン、菩提樹のお茶を飲みながら、瞑想の世界へというのはいかが?
 
 白茶(写真上段右)、シナモンティ(写真上段左)、ヴァニラ茶など、種類は豊富。アンダルシアには、モロッコ経由のオレンジや南国の青い花びらが入ったお茶もあり、カフェの国スペインでのお茶探しは、なかなか楽しいものである。[a]

テ・コン・レチェはロイヤル・ミルクティの国。
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2006-07-14 04:06:50 | ポルトガル語

 Cha(ポルトガル語)

 ポルトガルはコーヒー国。カフェや菓子店など、あちこちに安くて美味しいコーヒーがあった。短い旅だったこともあり紅茶の印象は全くない。

 しかし、世界史を紐解くと、優れた航海術で新しい大陸へ繰り出したポルトガルは16世紀頃、いち早くアジアで茶に触れて、オランダと共にヨーロッパにその情報や茶葉をもたらしている。そして両国はイギリスの紅茶文化のスタートに大きく関わった。

 まずイギリスに初めて持ち込まれた茶葉はオランダから。コーヒーハウスでの売り出し時には「古い歴史や文化を誇る国々は東洋の茶をその重量の二倍の銀で売り買いしている」と大々的に宣伝、万病に効く東洋の神秘薬として紹介している。

 そんな折り、1662年ポルトガル王の娘キャサリンが持参金の一つとして茶葉を持ってイギリスのチャールズ二世に輿入れした。彼女は茶を飲む風習のみならず、日本や中国の茶器などをイギリス宮廷に広め、それが貴族、市民へと伝わって大ブームを巻き起こしたのである。当時の茶は、まさに東洋への憧れや富の象徴。世界に誇るイギリスの紅茶文化の発端はここにあったのである。ちなみにポルトガルは航海の目的が香辛料だったこともあり、意外にも自国に茶は根付かなかった

 ところで、キャサリンの持参金。ポルトガルの黄金期を感じさせるものばかりで、茶葉の他には七艘の船に満載した砂糖である。これはサトウキビの栽培できないヨーロッパにとっては南国からの高価な品で、やはり銀と同等価値であった。また後に東インド会社の本拠地となるインドのボンベイも贈られたそうだ。

 リスボンの街を歩くと、そんな大航海時代の華やかさを感じる当時の大きな建造物が残っている。「マヌエル様式」と言われるスタイルは、ロープや貝、異国の植物など船や航海、新しい大陸を連想させるモチーフが装飾として用いられている。それらが、かつてのアラブ支配の残像と溶け合って、壮麗な中にも何ともエキゾチックな雰囲気を醸し出している。写真はジェロニモス修道院の中庭。

 東洋への思いをかきたてた茶。見知らぬ国々への憧れを写し取った建築物。世界の情報が溢れる現代の私たちも同じような異国への思いを抱き、旅をする。(さ)

〔参考文献 『一杯の紅茶の世界史』 磯淵 猛 文藝春秋)

 いつもありがとう。Obrigado ! (オブリガード)

この記事は英語の「茶」ともリンクしています。お時間があったら読んでみてください。そして異国への思いをかきたてられたら、クリックよろしくね。                 

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2006-07-04 16:07:12 | 英語

 Fish

 イギリスを旅行したことのある人は「フィッシュ」と聞くと「チップス」を思い出されるのではないだろうかフィッシュアンドチップスは「うまいものなし」と評されるイギリス料理の代表である。19世紀に登場したそうで、小麦粉、卵、水でこねた衣を白身魚(タラやカレイ)につけて揚げたものとフライドポテト(チップス)の組み合わせの一皿だ。

 初めて食したのは、ピーターラビットの故郷ウインダミア地方で泊まったホテルでの夕食。結構な大きさのフライは、確かに今ひとつぱっとしなかった。それでもイングリッシュブレクファスト、スコーンにミルクティー、ジャケットポテト(大きなベイクドポテトの上にチーズなどをトッピングする)、かつての統治の名残を感じさせるインド料理・・・出会ったものは、ほんの一部であろうが満足度は意外に高いという印象を持ったのである。

 そして10年後の再訪の折、ロンドン郊外・ウインザーで期せずして最高のフィッシュアンドチップスを食べる機会に恵まれた。小さな屋台、発泡スチロールの容器・・・期待もなく運んだ一口にびっくり。衣がカリッとして食感良く、白身魚の淡泊な味を引き出している。薄味も何のその、備え付けの塩胡椒やビネガーを適当にふりかければよし。熱々にかぶりつくとジューシーで、以前は食べきれなかった大きなフライもポテトと共に軽くペロリ。そして闇に沈んでいくウインザー城の優雅な姿が屋台のテーブルを特等席に仕立ててくれた。こういう思いがけぬ体験が旅を大いに盛り上げてくれるのである。そして伝統あるイギリス。食も決して侮れないと思った。

 ところで、よく似た魚フライがギリシャの食卓にもある。先日の「ポルトガル・魚」で記事にした干し塩タラを一晩水につけて十分に塩抜きしたあと、一口大に切って衣(フリッター風、パン粉など)で揚げたもの。大きさは小さめだが、すぐにウインザーのフイッシュを懐かしく思い出した。すり下ろしニンニクをマッシュポテト(あるいは湿らせたパン粉)に混ぜ、酢とオリーブオイルでゆるめた「ニンニクソース」をかけて食べるのがギリシャ流となっている。(さ)

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