地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

オレンジ

2009-06-30 00:00:00 | フランス語(チュニジア)

  Orange (オランジュ)

 地中海に似合うジュースと言えば、オレンジジュースと、勝手に決めている。
 チュニジアで飲んだオレンジジュースは、みなブラッドオレンジであった。
 マルシェで売られているのも、ブラッドオレンジが多かったが、普通のオレンジもたくさんあった。
 ルアージュ(乗合タクシー)の中で、隣り合ったおばさんに「お食べ」と、半分ちぎったオレンジをもらった。おばさんにアラビア語でお礼を言い、話しかけたが、どんなに話しかけても答えは「判らないよ。あんたの言葉は理解しないよ。さあお食べ」と、呪文のようにごそごそ言っているだけだった。外国人イコール、アラビア語は話せないと思いこんでいる。

 今回行くことができなかったが、ナブールは、スペインを追われたイスラーム教徒がこの地で釉薬を使った焼き物を伝えた町。スペインと言えばオレンジ。イスラームの果樹園と言えばオレンジ。だから、ナブールがオレンジの産地になったというのは、私の憶測の域を出ない。しかし、オレンジに陶器とくればスペインのイメージが私の中で強い。
ナブール産のオレンジの花のエッセンシャルオイル(ネロリ)は、フランスの香水作りの上で欠かせないものだそうだ。
 香水作りの過程を知っている人は分かると思うが、エッセンシャルオイルを抽出すると、同時に採れるのがフラワーウォーター。薔薇だと分かりやすいと思う。ローズウォーターと同じ原理で出来る、オレンジフラワーウォーターがある。
 今回の旅ではすっかり「ワインとつまみ」に走り、デザートまで及ばなかったのが、非常に悔やまれる。デザートには、このオレンジフラワーウォーターを使ったものが、いろいろあったようなのだ。
 ただ、フランス料理のコースで一番印象深かったのが、オレンジピールが山盛りのった、フレッシュオレンジのシロップ漬け。全部食べてしまうのが惜しい、シンプルだが、身も心もスキッとさせてくれる一品だった。
 オレンジをたくさん食べる理由は、美白効果をねらっての意味もあるだろう。[a]



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地中海オレンジ! ギリシャエジプト


2009-06-26 00:00:00 | フランス語(フランス)

eau(オ)

 フランスにいる間、私はフランス人になりたいと思った。もちろん、観光客として名所旧跡をまわって過ごすのもよい。しかしパリでは、まるで地元の人のように美しい公園を散歩し、時にセーヌ川を眺め、時にショーウインドウの前で足を止め、ゆったりとした時間を過ごしたいと願った。
 あるとき、私はcaféに入り、水とホットチョコレートを頼み、葉書を何枚も書いて過ごした。書いた内容は覚えていない。けれど、その時間がとても愛おしかった。何人もの客が店を出入りし、表通りではせわしなく人々が行き交っている。その間、私は一人の客として、何時間も彼らを眺めている。人々を眺め、目の前の水を味わい、しみじみ、私は今、パリにいる。そうかみ締めた。
 水は、フランスでも例外なく貴重なものだ。当然有料で、水一杯でも十分に長居することができるし、それが一つの「お洒落」であるとされた時があった。
 一方で、放っておいても水の湧き出てくる町も各地に存在する。南フランスのエクス・アン・プロヴァンスAix-en-Provence)がその例だ。町の名も、ラテン語のアクア(水)から転訛したエクスがつけられている。
 友人に案内された泉の町は、パリとはまた違った美しさを携えていた。陽光の降り注ぐ中、一面に広がるひまわりを揺らす風が心地良い。町に点在する噴水と、木陰で耳にするその清々しい音色は、旅の疲れと喉の渇きを十分に潤してくれる。
 パリのカフェで味わう水。自然に湧き出る泉。どこで水(eau)を味わってもいい。どちらも、愛すべきフランスではないか。いつかフランスへ訪れたならば、水と共にゆったりとした時間を過ごし、心の渇きを潤してほしい。[

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2009-06-22 00:00:00 | イタリア語

ESTATE (エスターテ)
 
L'estate と書きます。ちょっと難しいお話をしますと
イタリア語の名詞には、男性名詞と女性名詞というのがあって、
それぞれに定冠詞というのがつきます。
ESTATE(エスターテ) 夏は、女性名詞なので、定冠詞のLa (ラ)が付き、
省略してL'estate(レスターテ)となるのです。
 
夏にイタリアを旅すると、夜がなかなか来ないことにすぐ気づきます。
20時、21時になってもまだ明るいんです。
だから夜遊びがしたくなるんですね。
どの通りのBAR(バール)にも人々が集まって賑やかに楽しんでいます。
 
イタリアの夏はとても暑いのですが、日本のように湿気がなく、
日陰に入ったとたん、ひんやりして汗がスッと引くのが分かります。
麻の生地で出来た服が、これほど涼しいものなのかと
感心してしまう気候なんです。
 
そして、果物がとっても美味しい季節。
日曜になると、小さい広場に果物売りの屋台が出て、
好きなだけ買うことが出来ます。
アプリコットなど何個か買って、食べながらお散歩します。
 
太陽が一番高い時間はご注意あれ。
いっぺんに日焼けして、あとで痛い思いをすることになります。
午前中か、少し日が傾いた時間に、のんびり散歩するか、
夕刻にBAR(バール)で、プロセッコ(発泡白ワイン)など
飲んでみてはいかがでしょうか?(ミ)

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エジプトスペイン日本の夏もお楽しみください。


フランス語担当

2009-06-21 00:00:00 | 書き手プロファイル

なまえ yuu

 

居住状態 たまに旅人

 

仕事 夢追人

 

現在の目撃情報 雪国

 

執筆状況 古い記憶を、キーワードと共に掘り起こし、時を越えてまた新たなものへと書き換えてゆく。

 

夢 思い出の地を、愛で一杯にすること

 

メッセージ 私はフランスでの記憶を辿る旅へ、そして皆さんは私の記憶を呼び水に、地球散歩へ。一緒に楽しい散歩へ出かけましょう!

 

 

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イタリア語担当

2009-06-20 00:00:00 | 書き手プロファイル

名前:miboo ミブー
 
住居形態: 落ち着かない
 
仕事:しっかり2種類の仕事をやりこなしてます
 
現在の目撃情報:奈良~横浜時々よその国
 
執筆状況:仕事と料理と語学勉強の合間に、ふと頭の中に浮かんだら書きます。
 
夢: Girona(ジローナ・スペイン)に家を買いたい
 
メッセージ:イタリア人に「どうしてご飯いっぱい食べた後で、そんなにデザートを食べるの?」私が尋ねたら
       「Mi manca (ミ・マンカ)」(何か足りないんだよねぇ~)といいます。
       私、この言葉が大好きなんです。
       そんな国だから、美味しいものがいっぱいあるのですよね。
 
美味しい料理の参考に ピキッと(
http://mamiboo.narasaku.jp/

 

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にぎやかになります…

2009-06-19 00:00:00 | インフォメーション

 女3人寄ればかしましいともうしますが、美味しいものを食べていると、さらに話は弾むものです。
 このたび、いつも散歩に来てくださっていたyuuさんが新たにフランス語担当として、フランス散歩をご紹介してくれることになりました。
 yuuさんのブログ「月の時間」にも私たちはよく散歩に出かけます。
 フランスだけでなく、イギリスやギリシャ、エジプトなどへも足を延ばしていらっしゃいます。
 私たちとはまた違った目線のギリシャやエジプト話も出てくるといいですね。

 そして、イタリア語はさらさとpinoさんが書いていますが、pinoさん、散歩に出たきりなかなか便りをよこしません。最近はどこをお散歩中でしょう?
 ローマのpinoさんを探していたところ、ヴェネツィアでミブーさんを発見!
 おいしいお料理と元気いっぱいのスペイン語とイタリア語が聞こえてきました。
 ミブーさんのブログ「ピキッと。」をみると、もうイタリアンが恋しくて恋しくて仕方なくなります。

 おいしいものと楽しいことはみんなで分けると、もっと美味しいものです。
 と、言うわけで、新たに二人やってきました。
 ますますにぎやかな「地球散歩」を、よろしくお願いします。

 

二人の紹介など、記事が続きますので、毎日寄ってね!人気ブログランキングへ


かぼちゃ

2009-06-16 00:00:00 | ペルシャ語

کدو (キャドゥ)

イランでかぼちゃと言えば、実そのものよりも種が口に運ばれる機会が多い。ズボンのポケットに乾燥させたかぼちゃの種を忍ばせ、小腹が空いた時に一つまみ二つまみ。あるいは、家族の集い、ホームパーティーでもお茶請けとしてしばしば登場する。
一方、かぼちゃの実を食べる機会には殆ど巡り合えない。スーパーなどで一口大に切られたかぼちゃが売られていることもあるが、買ってみるも調理法に悩んでしまう。他の国のかぼちゃにもよくあることだが、実がすかすかで水っぽいため、普通に煮炊きして食べても全く美味しくない。一度そういう経験をした後、かぼちゃを買うのを控えていたが、ふと思いつき、イラン人に調理法を尋ねてみた。

実際のところ、イラン人もかぼちゃを料理に使用することは稀だそうだ。あえて例を挙げるとすれば、網焼きにしてそのまま食す、あるいは、野菜たっぷりのイラン版シチューの中に、肉と共に細かく刻んだかぼちゃを入れる人も、稀にだがいるそうだ。
テヘランで出逢うかぼちゃの使用法と言ったらそれくらい。
だが話に聞くだけであれば、他にも面白い使用法がいろいろと浮かんできた。

イラン北部カスピ海沿岸の地域は、チョウザメを始めとした様々な魚や魚の卵を食べることで有名だが、その地域では、かぼちゃと(種類はわからないが)魚の卵を卵閉じし、オムレツのようにして食べる伝統料理があるのだそうだ。残念ながら私はまだその料理を食べる機会がないし、魚の卵とかぼちゃというその奇異な組み合わせにいささか驚いたというのが正直なところ。
また、とある田舎では、かぼちゃの実を乾燥させ、我々がいうところの「ヘチマ」のように、身体をこする(洗う)ために使用する習慣もあるのだという。日本のかぼちゃを考えると、かぼちゃの実で身体をこするとは想像し難いが、繊維の多いイランのかぼちゃだったら可能なのかもしれない。

ここで写真を見ていただこう。2種類のかぼちゃがご覧頂けるだろうか。ヘチマ型のオレンジ色のかぼちゃと、丸型の緑色のかぼちゃ。日本でお目にかかれるかぼちゃに似ているのは丸型緑色の方だが、実はこちらの種類にもヘチマ型のものが存在するそうだ。
要するに、種類の分け方は形ではなく、あくまでも色のよう。
おもしろいのは緑色種の名称。
ペルシャ語で「キャドゥ・タンバル」というが、タンバルは「怠け者」の意。どうしてこういう名称になったのか、しかるべき理由を付けて説明してくれた人は未だいないのだが、なんともユニークな名称ではないか。写真には残念ながら写っていないが、ヘチマ型の「怠け者」(緑色種)からは、種のみを取って、実は食べないのだそうだ。
また、もう一方の橙色種は「キャドゥ・ハルヴァーイー」。「甘いかぼちゃ」の意で、実際こちらの方が「怠け者」よりも甘みが強いそうだ。サイズが大きいので、つい「大味」を想像してしまうのだが・・・
写真の中で大きいものは4、50cmを越すサイズ。右下に微かに写っているメロンと比べていただければ、その巨大さが少しは伝わるだろうか。

ところで、イランで「キャドゥ」と言えば、普通はズッキーニを指すので、買い物の際にはご注意を。少し不思議に思って調べてみたところ、ズッキーニは実は南瓜科であることを知った。ズッキーニは、イランの市場や八百屋で普通に見かける機会も多いし、かぼちゃよりは使用頻度が高いように思うが、こちらもイラン料理に利用されることはあまりない。
イランの夏の風物詩ドルメ(トマトやピーマンに、ハーブやトマトピューレで味付けした挽肉や米を詰めたり、具材をブドウの葉で包む東地中海地方共通の詰め物料理)にズッキーニを用いたら、イラン人はどういう反応を示すだろう。(さらさによると、ギリシャの詰め物料理にはズッキーニも使うとのこと。)今度試してみようと思っている。(m)

*エジプトでもやはりかぼちゃと言えば種 ギリシャのズッキーニも小さな「かぼちゃ」
ハロウィンのキャラクターアメリカのかぼちゃ 天使の髪の毛?スペインのかぼちゃ かぼちゃ入りのクスクスチュニジア
 ニホンカボチャはサギ??日本のかぼちゃ かぼちゃ味のサーターアンダギー沖縄のかぼちゃ

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かぼちゃ

2009-06-13 00:00:00 | 沖縄方言

チンクヮー(かぼちゃ)

 短い沖縄旅行でかぼちゃ料理を食べた記憶はない。しかし、かぼちゃが売っているのは見かけた。本土のとは形も色もかなり違っている。どんな風に食べるのだろうか?気になって店の人に聞いてみた。

 おばちゃん曰く、かぼちゃの料理自体は煮物や天ぷらなど本土と変わらないそう。沖縄らしい食べ方といえば、火を通してつぶしたものをサータアンダーギー(沖縄風ドーナツ)の生地に混ぜこんで揚げると聞いた。簡単に作れるよう粉末状にしたものもスーパーで売っているらしい。そういえばホテルの朝食バイキングで、中が紫色になっている紅芋サータアンダーギーを食べたことを思いだした。

 ところで、サータアンダーギーという長い名前。うちなーぐち(沖縄方言)で「サータ」は砂糖、「アンダギー」が揚げ物なので「砂糖の天ぷら」だ。甘くて重たそうな名前とは異なって小ぶりに揚げたボール型の外側はカリッ、中はフンワリ。小麦粉、卵、黒砂糖を混ぜて揚げただけの軽めでシンプルな味わいだ

 もともとは北京の「開口笑(カイコウシアオ)」が伝わったもの。揚げると表面が割れる様子を「笑っている口元」に例えた名前である。縁起物として昔から祝いの席に欠かせない菓子として広く食されてきた。沖縄の太陽の下で育ったカボチャを入れたサータアンダーギーは淡い黄色みを帯びて、あたたかい笑顔のイメージにぴったり。食べた人も笑顔になる。(さ)

いつもありがとう!ニフェーデービル!「地球散歩」オススメ、世界のかぼちゃ料理やかぼちゃの風景をどうぞ。スペインエジプトアメリカギリシャ日本チュニジア

 沢山揚げたいサータアンダーギー。笑顔の数だけクリックをよろしくね!人気ブログランキングへ


パン

2009-06-09 00:00:00 | フランス語(チュニジア)

 Pain(パン)

 「フランスの植民地だったから、フランスパンが主流なんだ」と考えるのは、安直だと思う。というのも、フランスでは、パンの形などによって名前が違うからだ。
 日本でフランスパンと言ってイメージする、棒状の皮の固いパンは「バケット」という。近頃はバケットという名称で売っているパン屋も多いので、よく知られていることと思う。
 チュニジアで最も多く消費され、売られているのがバケットのようだ。
 レストランやホテルで必ず出てきた。町中の乾物屋などでバケットだけ置いているのも見た。 
 チュニジアで「パン」と言った場合、バケットを指すと言っても差支えないだろう。
 駅のカフェテリア、車内販売、マルシェのサンドイッチ屋などで作ってくれるサンドイッチの定番は、ツナにポテトサラダ。そして、ハリッサをどのくらい塗るか。
 サンドイッチを作ってもらうときは、忘れずにハリッサの量を指定しなくては大変なことになる。
 ハリッサとは唐辛子のペースト。チュニジア料理には欠かせないアイテムだが、注意が必要である。
 写真のオレンジの部分がハリッサ。車内販売で買ったサンドイッチ、ハリッサのことなどすっかり忘れていた。かぶりついた時の衝撃。辛党の私でも辛い!と思った。唇が腫れあがるかと思ったほどである。
 遠目、揚げパンのような、じゃがいもがねり込んである、ドックパンサイズのパンに、ツナとポテトサラダを挟んだサンドイッチは、おやつに歩きながら食べている人を見かけた。
 しかしこんなに、毎日のようにツナを食べたのも初めてであった。[a]

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世界のパンを召し上がれ!
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2009-06-05 00:00:00 | フランス語(チュニジア)

 Chemin (シュマン)

 チュニジアの道路で忘れられないのが「ラクダが横断がします」の標識。バリエーションがあって、これがシンプルで一番気に入った。
 「クマが出ます」とか、「鹿に注意!」という標識を日本でも見るが、実際横断するところは、残念ながらお目にかかったことがない。
 このたびも、せめて羊の横断ぐらいはみたいな…と思っていたところ、ラクダの横断に遭遇!しかし、ラクダは早いので、あっという間に
渡り切ってしまい、写真は間に合わなかった。
 野生の(野良)ラクダがいたら面白いと思うが、おそらく完全家畜化されているのではないかと思う。このときの一群れも(10頭ぐらい)、棒きれで追いたてるおじさんが一緒にいた。 
 エジプトでのラクダ横断写真はアラビア語の「山」に載せたので、見てほしい。
 逆に良く見るのが、轢かれた動物たち。ありがたいことに、チュニジアでは見なかったが、どこまでもまっすぐの道。横断中の事故は、ここでもあるだろう。
 チュニジアの道は、総じて、きれいに整備されている。田舎の裏通りや、観光客の寄り付かない、古着や、古物のマルシェ(市場)あたりでも、悪臭や、ごみが散乱しているという道に出会わなかった。
 鋳掛屋か、古道具屋か、はたまた物置なのかさっぱりわからない、古い鍋や、鉄くずが山積みになって、さらに埃が層をなしているようなところでも、静かに時が流れていた。
 チュニスの、商店街と言うには店が少ない、かといって、道幅はあるといった通り。一階が小間物屋や、カフェ。2階以上が居住になっている地域の道路には、5メートルおきぐらいに、やたらとゴミ箱が設置されていた。
 プチ・フランス、チュニジア。地中海の美しさだけでなく、国中の美化にも力を入れているようだ。[a]
 

 道はどこまでも続く…
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2009-06-01 00:00:00 | ペルシャ語

گل (ゴル)

可憐な花の絨緞を敷き詰めた春のペルシャ庭園。高原・沙漠性気候のイランではあるが、オアシスの春は色とりどりの花で覆われる。野に咲く花を見る機会は少なくとも、計算しつくされた庭園美には、訪れた誰もが魅了されることだろう。

中でもイランを代表する花と言えば、薔薇とチューリップ。
チューリップはイランの国旗の文様として採用されている。上から緑・白・赤のトリコロールで成り立つ国旗。白地の部分に描かれた赤いチューリップを分解すると、剣と新月(三日月)の形が浮かび上がってくる。新月はイスラームの発展のシンボル。剣は聖戦。チューリップが表すのは殉教者の血。イスラームシーア派の信仰において、苦難の末に壮絶な死を遂げた歴代のイマーム(指導者)たちは殉教者とされ、またイランが経験してきた数多くの戦争において血を流した人々もやはり殉教者である。
テヘラン南部に位置するイラン・イラク戦争の戦没者を祀る墓地では、真っ赤な花びらが、流された血のごとく墓石に散らされている。

一方、薔薇はペルシャ詩にしばしば登場する。ペルシャ語で「ゴル(花)」と言えば、通常は薔薇を差す。薔薇に寄り添う夜鶯の姿(gol o bolbol)は、蝋燭の火に自ら飛び込んでいく蛾のモチーフ(以前のペルシャ語「
」の記事をご参照ください)と同じく、神秘主義詩に現れる「愛」のシンボル。「愛」を語る夜鶯(ボルボル)の美しい歌声と、神の言葉を語る、儚くも可憐な薔薇の花の組み合わせは、至上者への愛を詠うにおいて、音、香、色、全ての点で人間の五感を刺激する。
文学やクラシック音楽に造詣が深い方であれば、「バラとナイチンゲール」「夜鶯とバラ」と言えば、前者はリムスキー・コルサコフの歌曲、後者はオスカー・ワイルドの戯曲を思い浮かべられるだろうが、いずれの作品も、東洋の詩、ペルシャの神秘主義詩から発想を得ている。

さて、神への愛を詠う・・・と高尚な話題ではなくとも、常用ペルシャ語において女性を褒める言葉としても、やはり花の名前はしばしば登場する。例えば、「水仙の眼」という表現。それは、大きく潤んだ目を指す。そして、イランでもご多分に洩れず、女子の名前には花の名前が好んで用いられる。二ールーファル(睡蓮)ちゃんや、スーサン(ゆり)ちゃん、ナスリーン(野ばら)ちゃん、ナルゲス(水仙)ちゃんは、よく目にする女性の名前。

そして、イラン人お得意の「ターロフ(お世辞・へりくだり)」にも、「ゴル」を使った表現がしばしば登場する。
イラン人宅を訪問する際、しばしば贈り物として持っていくのが花束やフラワーアレンジメント。花束をプレゼントした際ホストから発せられる言葉は、「خودتان گل هستیدkhodetun gol hastin!:あなた自身が花なのに!」。
また、車やエレベーターに乗る際、男性の前に座ったり立ったりすることになった女性が「すみません」と一言掛けた時に、男性が発する言葉。「گل پیش و پشت نداردgol pish o posht nadare.:(美しい)花には前も後ろもありません」
いささか気恥ずかしい文句のオンパレードだが、日常生活においてペルシャ語の修辞の豊かさに酔いしれるのは、例えばこんな時である。(m)

(写真はオアシス都市の庭園内にある邸宅の天井。薔薇と鶯の文様。)

*アラブの花も薔薇の香 スペインの花(薔薇)はアラブの忘れ形見 世界中の家紋と紋章になった花・英語 ギリシャの春の始まりはアーモンドの花 モスクを彩る可憐なチューリップ・トルコ ポルトガルに咲いた青い花アズレージョ 日本の花は鼻 沖縄の花は琉球紅型

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