کدو (キャドゥ)
イランでかぼちゃと言えば、実そのものよりも種が口に運ばれる機会が多い。ズボンのポケットに乾燥させたかぼちゃの種を忍ばせ、小腹が空いた時に一つまみ二つまみ。あるいは、家族の集い、ホームパーティーでもお茶請けとしてしばしば登場する。
一方、かぼちゃの実を食べる機会には殆ど巡り合えない。スーパーなどで一口大に切られたかぼちゃが売られていることもあるが、買ってみるも調理法に悩んでしまう。他の国のかぼちゃにもよくあることだが、実がすかすかで水っぽいため、普通に煮炊きして食べても全く美味しくない。一度そういう経験をした後、かぼちゃを買うのを控えていたが、ふと思いつき、イラン人に調理法を尋ねてみた。
実際のところ、イラン人もかぼちゃを料理に使用することは稀だそうだ。あえて例を挙げるとすれば、網焼きにしてそのまま食す、あるいは、野菜たっぷりのイラン版シチューの中に、肉と共に細かく刻んだかぼちゃを入れる人も、稀にだがいるそうだ。
テヘランで出逢うかぼちゃの使用法と言ったらそれくらい。
だが話に聞くだけであれば、他にも面白い使用法がいろいろと浮かんできた。
イラン北部カスピ海沿岸の地域は、チョウザメを始めとした様々な魚や魚の卵を食べることで有名だが、その地域では、かぼちゃと(種類はわからないが)魚の卵を卵閉じし、オムレツのようにして食べる伝統料理があるのだそうだ。残念ながら私はまだその料理を食べる機会がないし、魚の卵とかぼちゃというその奇異な組み合わせにいささか驚いたというのが正直なところ。
また、とある田舎では、かぼちゃの実を乾燥させ、我々がいうところの「ヘチマ」のように、身体をこする(洗う)ために使用する習慣もあるのだという。日本のかぼちゃを考えると、かぼちゃの実で身体をこするとは想像し難いが、繊維の多いイランのかぼちゃだったら可能なのかもしれない。
ここで写真を見ていただこう。2種類のかぼちゃがご覧頂けるだろうか。ヘチマ型のオレンジ色のかぼちゃと、丸型の緑色のかぼちゃ。日本でお目にかかれるかぼちゃに似ているのは丸型緑色の方だが、実はこちらの種類にもヘチマ型のものが存在するそうだ。
要するに、種類の分け方は形ではなく、あくまでも色のよう。
おもしろいのは緑色種の名称。
ペルシャ語で「キャドゥ・タンバル」というが、タンバルは「怠け者」の意。どうしてこういう名称になったのか、しかるべき理由を付けて説明してくれた人は未だいないのだが、なんともユニークな名称ではないか。写真には残念ながら写っていないが、ヘチマ型の「怠け者」(緑色種)からは、種のみを取って、実は食べないのだそうだ。
また、もう一方の橙色種は「キャドゥ・ハルヴァーイー」。「甘いかぼちゃ」の意で、実際こちらの方が「怠け者」よりも甘みが強いそうだ。サイズが大きいので、つい「大味」を想像してしまうのだが・・・
写真の中で大きいものは4、50cmを越すサイズ。右下に微かに写っているメロンと比べていただければ、その巨大さが少しは伝わるだろうか。
ところで、イランで「キャドゥ」と言えば、普通はズッキーニを指すので、買い物の際にはご注意を。少し不思議に思って調べてみたところ、ズッキーニは実は南瓜科であることを知った。ズッキーニは、イランの市場や八百屋で普通に見かける機会も多いし、かぼちゃよりは使用頻度が高いように思うが、こちらもイラン料理に利用されることはあまりない。
イランの夏の風物詩ドルメ(トマトやピーマンに、ハーブやトマトピューレで味付けした挽肉や米を詰めたり、具材をブドウの葉で包む東地中海地方共通の詰め物料理)にズッキーニを用いたら、イラン人はどういう反応を示すだろう。(さらさによると、ギリシャの詰め物料理にはズッキーニも使うとのこと。)今度試してみようと思っている。(m)
*エジプトでもやはりかぼちゃと言えば種 ギリシャのズッキーニも小さな「かぼちゃ」
ハロウィンのキャラクターアメリカのかぼちゃ 天使の髪の毛?スペインのかぼちゃ かぼちゃ入りのクスクスチュニジア ニホンカボチャはサギ??日本のかぼちゃ かぼちゃ味のサーターアンダギー沖縄のかぼちゃ
巨大かぼちゃのように大きな応援クリックお願いします!
![人気ブログランキングへ](https://image.with2.net/img/banner/m03/banner_br_bear.gif)