地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

ワイン

2007-02-27 12:52:58 | ポルトガル語

V inho(ビーニョ)

 ポルトガルにワインをもたらしたのはローマ人。小国ながら世界第8位の生産量を誇るワイン国だ。代表は、まず食前酒やデザートワインとして愛されるポルトワインであろうか。これは途中でブランディを加えることにより発酵が止まって、葡萄の糖分が変わらずに残るという製造工程のよるもの。独特の甘味と香りを持ち、美しいルビー色は「ポルトガルの宝石」と称されている。

 次に有名なのは、女優・壇ふみさんの父である壇一雄氏が「自分の名前と同じ」と喜んで嗜んだことで知られる「ダン・グラン・ヴァスコ」であろう。また、ロゼ好きをうならせる「マテウス・ロゼ」、ポルトガル領マディラ島の特産「マディラ」などの銘酒も。

 私の場合、リスボンのレストランで出会った微発泡の白「ビーニョ・ヴェルデ」。緑のワインという意味であるが、この場合の「緑」は若さや新鮮などを意味するそうだ。ポルトガル食材の代表・干しタラをはじめとする様々なな魚介料理にぴったり。あまりの美味しさに飲み過ぎてしまうほどの逸品である。

 また、ポルトガルワインは16世紀半ばに宣教師ルイス・フロイスによって日本にももたらされている。ポルトガル語で赤ワインを意味するTinto(ティント)から「珍陀(ちんた)」と呼ばれ、戦国時代に織田信長や豊臣秀吉が珍重したと言われている。南蛮渡来の酒は権力者達の心を捉えてやまなかったようだ。

 明治の詩人、北原白秋の「邪宗門秘曲」から、南蛮の空気が目にも鮮やかに浮かび上がる詩の一節をどうぞ。日本人が初めて触れた西欧文化への憧憬が耽美的に表現されて、その中に「珍陀」の文字を見ることが出来る。(さ)

     われは思ふ、末世の邪宗、切支丹でうすの魔法

     黒船の加比丹(かぴたん)を、紅毛の不可思議国を 

     色赤きびいどろを、 匂い鋭(と)き あんじゃべいいる

     南蛮の桟留縞を、 はた阿刺吉(あらき)、 珍陀の酒を 

  (注釈)邪宗・・・キリスト教  でうす・・・天主  加比丹・・・キャプテン

      あんじゃべいいる・・・カーネーション(ポルトガル語)

      桟留縞(さんとめじま)・・・細縞木綿布   

      阿刺吉・・・南蛮渡来の蒸留酒                              

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2007-02-21 15:18:44 | ギリシャ語

Χειμωνας (ヒモナス)

 ギリシャの冬。神話では、農耕をつかさどる女神デメテルの悲しみによって生じた季節だとされている。彼女は人間に主食である小麦を授けたといわれ、アテネの考古学博物館には一粒の小麦を人間に与えている場面を刻んだ大理石のレリーフがある。人間にとっては食と関わる大切な神で、写真のようにアテネ近郊にはデメテルを祀った大神殿が残っている。

 冬をもたらしたのは、女神の母としての悲しみ。デメテルには一人娘のペルセポネがいた。美しく成長したペルセポネは、冥界の王ハデスに見そめられて何と黄泉の国にさらわれてしまう。略奪婚だ。探しても探しても見つからない。愛娘を奪われたデメテルは神としての使命を果たせなくなる。深い絶望と悲嘆は大地を枯れ果てさせた。畑は荒れ、花は咲かない・・不毛が続くと飢饉となり、人々は食べ物に窮するようになった。

 見かねた最高神ゼウスは使者を送ってハデスに娘を返すよう説得することに。仕方なく了解したものの、愛するペルセポネを何とか自分の手元にも残したく知恵を絞り、再び戻ることを余儀なくさせる冥界のザクロの実をペルセポネに食べさせてしまう。 これによってペルセポネは地上のみの生活はできなくなり、1年のうち8ヶ月は地上で母と、残りをハデスのもとで過ごす形での解決となる。

 娘が戻った女神の喜びははかりしれなく、心の躍動が緑を溢れさせ、花を咲かせた。これが、すなわち春。万物も命の息吹を輝かせ、穀物や果物の実りをもたらす季節へと移行する。そしてペルセポネが冥界に戻る期間が冬で、芽吹きの準備をしていると考えられる。

 こんな風に農耕と深い関わりを持つ自然の現象が巧みに神話と結びつき、そこに親子や男女の愛情が豊かに表現されている。ギリシャに住んで神話を知ると、季節の変わり目にも神々の存在を感じる。春、紀元前の遺跡に咲き乱れる野の花々を見て、ペルセポネが母の元に戻ったのだな・・と思えたら、あなたもギリシャ通。(さ)

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ワイン

2007-02-14 23:09:54 | 日本語

 日本に初めてワインを持ってきたのは、フランシスコ・ザビエルである。宣教師にとって「キリストの血」は大事なもの。しかし、ワインが日本人に浸透することはなかった。
 江戸時代、日本に来た異国の人たちの日本人考。それは「ワインもコーヒーも知らない気の毒な民族」
 それが今や、ボージョレだ、なんだかんだとワイン大好き民族になった。
 と、それはワインの話。実は、異人さんたちが知らないだけで、江戸時代には、国産ぶどう酒があった。これは古酒に氷砂糖とぶどうの果汁を入れて寝かせたものであった。主に薬として使われた。そして、酒自体が食事の友ではなく、お神酒という言葉があるように、神事に飲むものであった。こうした考え方が影響し、戦後の西洋文化模倣時代が来るまで、日本人はワインを普段の生活に取り入れることはなかったのである。
 日本人は古来より、ぶどう酒を飲んでいた気配もある。三内丸山遺跡からは、大量のヤマブドウが見つかっている。同じ場所から、醗酵した果物に群がるショウジョウバエの卵も見つかっていることから、ぶどう酒を造っていたと考えられる。そして、この時代も酒は、お神酒であった。酒は神と共にあるもの。そうした文化が根強かった日本にワインブームが来るには昭和までの長い時間が必要だったのだ。[a]

ワインおたべか、ワイン饅頭でも食べようかな?順応すると応用が早いね日本人!
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散歩

2007-02-05 18:59:17 | アラビア語(エジプト)

 تمش (タマッシュ)

 砂漠の真ん中でバスが停まる。
 降りる人がいる。
 地平線に向かって、迷うことなく歩いていく人がいる。
 それをどうとも思わない人たちがいる。
 全てに驚いている私がいる。
 砂漠の日常。

 近頃では驚かなくなったが、夜道でも彼らは臆せず歩いていく。
 乗っている車の運転手が、暗闇で突然パッシングする。しばらくしてすれ違う人がいる。その時見えるものは、白い服と、目。夜道のすれ違いは、パッシングがなければ、今でも驚く。
 そんな国にも近頃、街灯が増えつつある。月明かりの中の世界と、街灯の世界は、同じ処なのに、まったく違うところにいるみたいだ。
  まだ月明かりを歩けるうちに、私は帰ろう。
 砂漠の国へ。
 
 さて、私はちょっと南の国へ散歩にでます。
 出先からコメントしますね。神がお望みならば…[a]

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