地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

絵葉書~ギリシャの春

2009-04-14 00:07:51 | コラム

さらさへ

淡い白のアーモンドの花が満開の中東の春。降水量の多いこの季節、雨で春霞むテヘランの街をしばし抜け出して、さらさの憧憬と思い出の地、ギリシャへ向かいました。ギリシャを旅したのは13年ぶり。その間もギリシャという地は私なりに思い入れの強い土地のひとつでした。

かつて神話研究を志していた私にとって、ギリシャは未だ神々が住まう国であり、地中海の碧さに魅せられる者のひとりとして、エーゲの碧は常に心が求めてやまない「青」。また、ギリシャには魅力的な路地も多く、そこから聞こえてくる音楽や人々のおしゃべりは、土地の人々の息遣いを求める「旅人」にとって、なんとも魅惑的なのです。

そして何より、この『地球散歩』でのさらさとの往復書簡により、ギリシャの春を見てみたいという願いが少しずつ芽生えてきました。
私が碧とさらさの「散歩」に同行するよりも前、遺跡の写真に添えられた、春にまつわる深遠なギリシャ神話の紹介文を読み、また、自然と柔らかに調和したギリシャの人々の暮らしや宗教行事(復活祭)を読むに付け、さらさが恋焦がれてやまないギリシャの春をこの目で見てみたくなったのです。

バイロンが詩に詠ったような葡萄酒色の海、どこまでも抜けるような蒼穹、強烈な光と影が織り成す白い路地と遺跡の風景、そんなギリシャも勿論魅力的だけど、冬を越し新しい生命が芽吹き出す穏やかなギリシャの春の光に包まれたい、そんな気持ちで、さらさのかつて暮らしたギリシャを「散歩」してきました。

テヘランからイスタンブルを経て、アテネへ。
さらさもいつも意識しているように、古代史において、ペルシャとギリシャは良きにつけ悪しきにつけ、互いに影響を与え合った過去を持ちます。そして近代史において(その多くは負の遺産ではあれど)トルコとギリシャも忘れがたい関係を持ってきました。その歴史の流れを感じつつ、私たちふたりが大きく関係を持った国々を旅できればと思ったのです。

限られた時間、逸る気持ちを抑えつつ、さらさが足しげく通ったであろう路地を散歩し、さらさが薦めてくれたレストランや博物館へ向かい・・・。そんな時、路地から聞こえてくるのは「シガシガ(ゆっくり)」という人々の言葉。ギリシャ滞在中、何度この言葉を無意識のうちに聞いたことか。

そして、かつてペルシャが破壊した小花咲くアクロポリスの丘へ・・・
でもそこには、かつての両国の戦火の跡を見ることはできず、ただただ現在のギリシャという国の醸し出す穏やかさ、人々の暖かさ・英知、自然と調和した魅惑的な現代の首都を発見することになりました。

心に様々な葛藤と痛みをも抱えた旅路。
雨と靄が心を覆ってしまっていた出発の時。
だけど、辺りを優しく包み込むような淡い光と色に彩られたギリシャの春は、旅人の心を穏やかに溶けていく薬のように癒してくれることを肌で感じました。

早春のギリシャ散歩中、さらさが教えてくれた「もうひとつのギリシャ」が、パステルカラーの絵を私の心の中に描き続けていましたよ!

mitra

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miriyun)
2009-04-18 11:20:15
ギリシャへの想いが旅に駆り立てるのですね。
 真っ白な街路の間を行くのはロバでしょうか。ギリシャの太陽と光景を想像しながら読ませていただきました。
 いつか行かねばと思わされました。
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ああ、不思議☆ (yuu)
2009-04-18 21:22:29
話には聞いていたけれど、mitraさんにとって13年ぶりのギリシャだったとは!!本当にシンクロを感じてしまいます。
いや、そもそも地球散歩の皆さんとはずっと妙なシンクロを感じ…ここに来ると、遠~~~~い何かを思い出させるものがある感じがするのです。
きっと、いつかどこかでお会いましょうね☆
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Unknown (タヌ子)
2009-04-18 23:53:54
春のギリシャ。
既に太陽の光は強くても、夏のような肌に突き刺さるような光線ではなく、どこか遠慮がちに肌にまとわりついてくる感じの太陽に温められ、花の咲き乱れる神々の地を散歩されていたのですね。
碧さんからブログのコメント欄のmitraさんからのメッセージを頂きました。
mitraさんに読んでいただけなくなってしまったのは残念ですが、地球散歩の更新の方は問題がないようで、一安心です。
またいつか読んでいただける日が来るまで、頑張って長続きさせたいと思っています。
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miriyunさん (mitra)
2009-04-19 16:39:56
ギリシャって、旅心をくすぐる土地だなと
今回再訪してつくづく思わされました。
自分に合う土地って、旅を繰り返している
うちに見つかって行くものだと思いますが、
私にとってギリシャは、アンダルシア、
イスタンブルに次ぐ場所のような気がします。
(イランが入っていないことについては
ノーコメントで・笑)
そう、ロバですよ~。あ、騾馬も混じっていますが。
miriyunさんも、アラブ文化との交流の跡を
求めて、あるいはレバント地方のギリシャの
跡を想いながら、ギリシャを旅してみてください!
miriyunさんの視点から見たギリシャにも、
触れてみたいです。
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yuuさん (mitra)
2009-04-19 16:42:47
yuuさんとは、本当にいつも驚くような
「シンクロ」がありますよね。
今回、ギリシャでyuuさんと出逢わなかったのが
不思議なくらい。
ひょっとしたら「過去世」では、アテネで
出逢っているのかも??
「いつかどこかで」の「再会」が、地中海の
どこかの国だったら素敵ですね。
その時を夢見て・・・
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タヌ子さん (mitra)
2009-04-19 16:47:10
早速のコメントをありがとうございます。
今回、理由もわからずこういうことになり、
本当に残念です。タヌ子さんのお料理の数々
日々の参考にさせて頂いていたし、バルカン
半島の国々に「ただならぬ」関心を抱いている
私にとって、生のクロアチア情報は、重宝
していたのです。日本に戻るまで見られない
のは本当に残念ですが、一時帰国の際等には
必ず立ち寄らせていただきますね。
タヌ子さんもギリシャに長い間いらっしゃった
ので、ギリシャの春は何度も体験されています
よね。「遠慮がちに肌にまとわりついてくる」
良い表現だな~と思って。今回、「優しい」
ギリシャに触れられたことは、とても幸せ
でした。
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さらささんを追いかけて!? (マーク)
2009-04-24 18:25:00
さらささんからインスピレーションを受けてギリシャを散歩。
素敵ですねぇ。

しかも、春!

きっと、きっと、自分の人生の一部になられたことでしょう。羨ましいです
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マークさん (mitra)
2009-04-24 20:51:31
さらさとの出逢いは、本当に様々な感情を私にもたらしてくれました。『地球散歩』を通して、そういった「情感」を読んでくださる方とも共有できれば幸せです。
「自分の人生の一部になった」本当、そんな感じです!
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