Natale (ナターレ)
クリスマスが終わって日本は既にお正月モード一色。一方、ヨーロッパではまだキリストの誕生を祝う静かであたたかい雰囲気が継続、1月6日までは飾りつけも残って新年はその中で迎える。
ヨーロッパのクリスマス装飾の中で最も印象深いのは、キリスト生誕の場面を再現した人形「プレセピオ」である。この人形飾りは教会、ショーウインドー、各家庭といろいろな場所に登場。起源は12世紀にアッシジの聖フランチェスコが文字をほとんど読むことのできなかった当時の民衆にキリスト教を理解してもらう為に始めたと伝えられている。
私が初めてプレセピオを見たのはローマ滞在経験のある友人宅を訪ねた時。高さ20㎝くらいの木製の馬小屋にマリア、ヨセフ、赤子のキリスト、天使、馬や羊の小さく精巧な人形が配され、まさに聖書の一場面「聖夜」を表現している。12月になるとナヴォーナ広場にプレセピオをはじめとする様々な季節用品を販売する市が立ち、そこで購入した思い出の品であるという。
またこんなエピソードも聞かせてくれた。クリスマス前にイタリア人の家に招かれると広いリビングに大きなプレセピオが飾ってあったが、飼い葉桶の中に肝心のキリストがいない。尋ねると「まだ誕生していないよ」と、奥さんが赤ちゃんのキリストを大事そうに持ってきて当時幼稚園児だった友人に「置いてみなさい」と声をかけてくれた。そっと寝かせると「Buon Natale!」(クリスマスおめでとう!)という拍手とキスを受け、クリスマスの意味がはっきり刻まれた瞬間として40年近くも前のことなのに鮮明に記憶しているそうだ。現地の友人を通して異文化を家族で体験、理解した日々はかけがえのないものに違いない。何とも素敵な思い出、うらやましく思った。
私もギリシャに住む機会に恵まれてクリスマスの意味を同じように実感。アテネの街でもプレセピオが飾られ、等身大の大きさのものがあることも知った。これはなかなか迫力満点である。写真は夏にローマを旅した時、バチカンの宗教用品を売る店のショーウインドーで見つけた時のもの。この辺りでは場所柄、通年置いてあるらしい。ローマとアテネで購入した我が家のプレセピオも日本で過ごすクリスマスの時間に行事の持つ深い意味ととヨーロッパの香りを与えてくれている。(さ)
いつもありがとう。Grazie ! 今年も『地球散歩』に度々おいでいただき、ありがとうございました。ゆっくりの更新ですが、楽しく丁寧な記事を目指して頑張りますので来年もどうぞよろしくお願い致します。皆様、よいお年をお迎えください!碧・mitra・さらさ
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