三線(さんしん)
沖縄を代表する弦楽器の三味線が三線(さんしん)。日本語の弦楽器にて説明があったように中国から伝わったのは13-14世紀で、中国語の三弦(サンシェン)に近い発音がウチナーグチ(沖縄方言)として残ったものとなっている。
THE BOOMの唄った「島唄」の流行(1992年)をきっかけに沖縄独特のリズムやメロディが本土で広く知られるようになった。イントロの途中から三線のソロが入って「でいごの花が咲き・・・」と唄い出す。歌全体を包む三線の伴奏が私たちを沖縄の世界にいざなう。歌を作った宮沢さんは山梨県出身。ひめゆりの塔やさとうきび畑に残る防空壕に受けた衝撃を歌にし、当初はウチナーグチを使った沖縄限定でリリース、本土での発売は考えていなかったそうだ。しかし反響が大きく、標準語バージョン「島唄」が望まれて更なるヒットとなった。
三線とともに沖縄らしさを生み出しているのは、レとラが抜けたドミファソシの音列をもった「琉球音階」を取り入れているから。この特徴的な音階は本土の他の地域には見られないかわりに、インドネシアやベトナム山岳部、ビルマ、ミクロネシアなどにあるそうで、アジアに向かって開けていた琉球王国の文化的交流をまのあたりにする。大陸的な音階は三線で伴奏され、ウチナーグチで歌われることで独自性がさらに際立ってくるのだろう。
旅の中で琉球舞踊を見る機会があった。紅型(びんがた)の衣装に身を包んだ女性がゆったりとしたリズムに合わせて踊る。これは写真(首里城)のような琉球王朝時代の空気を伝える音楽。また、鄙びた食堂に古いアメリカ映画に出てきそうなジュークボックスがあり、女主人が「私の青春の音楽」と言って数曲かけてくれたことがあった。いまだ色濃く残るアメリカ統治の跡も沖縄の一つの現実である。レンタカーのラジオから流れるウチナーポップスは伝統音楽とアメリカの融合によって生まれたものだろう。沖縄は音楽においても本土にはない様々な文化と歴史を感じさせてくれた。(さ)
参考文献 「沖縄のいまガイドブック」 照屋林賢 他 著 岩波書店
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猛暑も終わり、音楽の秋が到来。エジプト、イラン、ギリシャ、日本と様々な弦楽器の世界を世界を訪ねてはいかが。琉球音階と三線のリズムに合わせてクリックもよろしくね。「島唄」の試聴も是非!人気blogランキングへ