地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

弦楽器

2008-08-28 20:58:22 | 沖縄方言

三線(さんしん)

 沖縄を代表する弦楽器の三味線が三線(さんしん)。日本語の弦楽器にて説明があったように中国から伝わったのは13-14世紀で、中国語の三弦(サンシェン)に近い発音がウチナーグチ(沖縄方言)として残ったものとなっている。

 THE  BOOMの唄った「島唄」の流行(1992年)をきっかけに沖縄独特のリズムやメロディが本土で広く知られるようになった。イントロの途中から三線のソロが入って「でいごの花が咲き・・・」と唄い出す。歌全体を包む三線の伴奏が私たちを沖縄の世界にいざなう。歌を作った宮沢さんは山梨県出身。ひめゆりの塔やさとうきび畑に残る防空壕に受けた衝撃を歌にし、当初はウチナーグチを使った沖縄限定でリリース、本土での発売は考えていなかったそうだ。しかし反響が大きく、標準語バージョン「島唄」が望まれて更なるヒットとなった。

 三線とともに沖縄らしさを生み出しているのは、レとラが抜けたドミファソシの音列をもった「琉球音階」を取り入れているから。この特徴的な音階は本土の他の地域には見られないかわりに、インドネシアやベトナム山岳部、ビルマ、ミクロネシアなどにあるそうで、アジアに向かって開けていた琉球王国の文化的交流をまのあたりにする。大陸的な音階は三線で伴奏され、ウチナーグチで歌われることで独自性がさらに際立ってくるのだろう。

 旅の中で琉球舞踊を見る機会があった。紅型(びんがた)の衣装に身を包んだ女性がゆったりとしたリズムに合わせて踊る。これは写真(首里城)のような琉球王朝時代の空気を伝える音楽。また、鄙びた食堂に古いアメリカ映画に出てきそうなジュークボックスがあり、女主人が「私の青春の音楽」と言って数曲かけてくれたことがあった。いまだ色濃く残るアメリカ統治の跡も沖縄の一つの現実である。レンタカーのラジオから流れるウチナーポップスは伝統音楽とアメリカの融合によって生まれたものだろう。沖縄は音楽においても本土にはない様々な文化と歴史を感じさせてくれた。(さ)  

 参考文献 「沖縄のいまガイドブック」 照屋林賢 他 著 岩波書店

 いつもありがとう!ニフェーデービル!

猛暑も終わり、音楽の秋が到来。エジプトイランギリシャ、日本と様々な弦楽器の世界を世界を訪ねてはいかが。琉球音階と三線のリズムに合わせてクリックもよろしくね。「島唄」の試聴も是非!人気blogランキングへ

 


ブドウ

2008-08-24 23:58:18 | トルコ語

Üzüm(ユズム)

 私が旅した6月はちょうど、トルコではぶどうの葉の収穫時期であった。そのためか、市場ではよく生のぶどうの葉っぱを見かけた。収穫時期だったからと、思うのだが違ったらごめんなさい。
 トルコ、ギリシャ、エジプトでは、ぶどうの葉っぱにご飯を巻いたドルマ(ロールキャベツのような食べ物。Yaprak Sarması)を良く食べる。
 彼らにとっては、郷愁の味。「ママの味が食べたい」と言ったら、ぶどうのドルマを指す事が少なくない。
 さて、私がこのたび旅した、ウスパルタ。日本ではあまり知られていないこの地方で、「郷土料理を教えて」と、地元の人に聞いてみた。
 悩んだ挙句、連れて行ってくれたレストランで出されたのが、ぶどうジュースだった。
 カップが又すばらしい。きっと、創業当時から使われているのだろう。(創業は1851年)まるで冷凍庫から出してきたのかと思うほど、キーンと冷えている。
 甘い匂いの底に沈む、干しぶどう。
 レストランの人が説明してくれたところによると、干しぶどうと丁子、シナモン、月桂樹と砂糖を煮て作るそうだ。
 もちろん甘い。歯が解けそうに甘い。
 暑い夏、キーンと冷えた甘いぶどうのシロップは、脳に染み渡りそうだ。
 このジュースを飲んだあとのトルココーヒーが、いかに美味しく感じたことか!
 トルコ人の友達は、ノンシュガーで、コーヒーを飲んだ私を。怪訝そうに見ていたが、このジュースのあとでは、もう、砂糖のさの字もいただけない。
 日本人にはギョッとする甘さだが、、中東の暑い夏、そして、トルコの夏を思い出すと、このジュースがまた飲みたくなりそうだ。
 Üzüm şırasıと言うこのジュース。şırasıを調べても、私には意味が判らなかった。このジュースに秘められた歴史を知りたいと思う。
 このジュースが、ウスパルタだけのものなのか。それともイスラームの歴史と共に、トルコ全土の伝統なのか?[a]

ワインが飲みたくなるギリシャのぶどう にも乾杯!

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アイスクリーム

2008-08-20 11:43:07 | トルコ語

Dondurma(ドンドルマ)

 日本でも一時ブームになったトルコのアイスクリーム、ドンドルマ。トルコ語でアイスクリームをドンドルマと言うのかと思っていたら、違うという。
 ドンドルマとは、「凍らせたもの」のこと。アイスクリームだけでなく、とにかく冷たいお菓子は全てドンドルマという。
 ドンドルマと言えばのび~るアイスクリームとして話題になった。伸びたのは、ラン科の植物、サーレップとミルク(ヤギや羊が多いようだ)、砂糖を練ることで粘り生まれる。伸びれば何でもドンドルマだと日本人は思っている節があるが、サーレップが入っていないとドンドルマとはいえない。
 そもそもなぜサーレップを入れるようになったかと言えば、地中海寄りの暑い地方のこと。すぐに融けてくる氷菓を融けにくくするために、粘りのあるサーレップを加えて練ったのが始まりだと言う。
 トルコの有名なお菓子屋さんMADOは、各地にチェーン店があるので、トルコに行ったことがある人は、入ったことがあるかもしれない。
 トルコ人なら誰でも大好き。イスタンブールで友達になった人は、毎日ドンドルマを食べに行くと言っていた。この時は、「この人アイスクリームが好きなんだ」ぐらいにしか思わず、「MADOのアイスクリームは特別なんだ!」と言っていたのを、確かに覚えているが、それは、「彼にとって特別だ」と解釈したのは大きな誤りだった。このMADOの総本店、ヤシャール・パスタネスィ(Yasar pastanesi)はドンドルマを売って150年の老舗。伸びるアイスクリームを作った店だと言われている。
 ヤシャール・パスタネスィは、シリアに程近い、地中海寄りにあるカフラマンマラシュにある。
 マラシュとも呼ばれるこの町発祥のアイスクリームなので、トルコ人は、伸びるアイスを、マラシュ・ドンドルマと言うそうだ。
 MADOの名前は、このマラシュ・ドンドルマ(Maras Dondurma)の頭文字をとってつけたそうだ。
 ドンドルマの楽しみは、美味しいことだけではない。注文すると、渡してくれるときにおっことしそうにしたり、コーンだけくれて、のっている筈のアイスが消えていたりと、いろんなパフォーマンスを見せてくれる。
 何度体験しても、「あ!」と、いつも驚いてしまう。
 この伝統、ドンドルマの味と共に、継承されていくことを願う。[a]
 
  夏の風物詩ギリシャのアイスクリームもなめて、残暑を乗り切りましょうね!
 
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「ジプシーを追いかけて」

2008-08-15 00:32:11 | インフォメーション

「不思議の国」イランと、謎に満ちたジプシーたちの暮らし。人々の意識に上ることは稀かもしれないが、実はイランにも多くのジプシーたちが暮らしている。イランと聞いて、ジプシーに思いを巡らす人が、いったいどれくらいいるだろうか…。おそらく殆どいない、というのが実情だろう。しかしイランは、ジプシーがインドを旅立ち西へ向かう過程で、必ず通るルートに位置していた。
イランは、ほぼその全土にわたってジプシーたちが居住する、珍しく、ジプシー研究にとって大変貴重な国でもある。トルコの「ジプシーを巡る旅」に続き、「我が国」イランでも、関口義人氏(ジプシー/ロマ研究家 音楽評論家)の「ジプシーを追いかける」旅に同行した。その旅たるや、なかなかの珍道中。ジプシーたちに振り回され、助けられ…。
現在の彼らの息遣いを感じとる旅は、同時に彼らの過去を振り返る旅ともなった。多くの貴重な成果を含むこの旅の記録を、いつかの「トルコ編」に続き、皆様にお届けできたら・・・。


『ジプシーを追いかけて イラン編』(UPLINKのサイトより)


映画『ジプシー・キャラバン』の大ヒットやエミール・クストリッツアのバンドの初来日公演などにより、近年更に幅広く聴かれるようになったジプシーの音楽とは、そしてジプシーとは何者なのか?
「今回は前人未踏の地、イランのジプシーを求めて旅した記録です。貴重な映像とトークで、イランの現状を報告します。イランのジプシー音楽にも踏み込んだ内容です。お楽しみに」(関口義人)

出演:関口義人(『オリエンタル・ジプシー』著者/音楽評論家)   
    吉武絵里子(テヘラン在住、イラン取材及び映像撮影者)
日時:8/23(土)18:30開場/19:00開演
料金:¥2,000(1ドリンク付き)
場所:渋谷UPLINK FACTORY
http://www.uplink.co.jp/factory/log/002705.php


尚、関口氏の新刊『オリエンタル・ジプシー 音・踊り・ざわめき』も発売中。世に殆ど知られていない、オリエント(シリア・ヨルダン・レバノン・トルコ・イラン・ギリシャ・イタリア)に住むジプシーを調査し、まとめて紹介した本は、世界初。貴重な研究の成果です!(m)

写真の楽器は、「イランのバグパイプ」、「ネイ・アンバーン」。演奏するのはペルシャ湾岸の都市に住むイランのジプシー・ミュージシャン。

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トマト

2008-08-11 23:39:42 | トルコ語

 domates(ドマテス)
 
 
エジプトのトマトのところでも書いたが、アラブ世界ではトマトなくして、どの国も料理を語ることができない。トマトはコーラン出でている食べ物かと思うほど、アラブ人はトマト命である。
 世界の三大料理と言われるトルコも、もちろんトマトを使いこなしている。と言うより、トマトは恐るべき食材で、生で良し、煮て良し、焼いて良し。トルコ料理のあらゆる場面で登場する。
 日本人の中に、何でも醤油で味付けしてしまう人がいるが、トマト味にすればたいていのもが美味しくなるのは、世界中、トマトを食べる国の人なら納得であろう。
 トルコの朝食は、スープにパンであるが、トマトスープを食べる人も多い。レストランの日替わりモーニングの中にも、一週間のうち一回は入っている。
 トマトをくりぬいてご飯を詰めたドマテス・ドルマスや、トマトソースをベースにしたピデ、ケバブの付けあわせなど、トマト料理を見ない日は、トルコにないといっていいだろう。
 さて、写真にも写っているピデと言えば、日本では「トルコ風ピザ」と訳される事もある。舟形のいわゆるピザである。イタリア人に怒られそうだが、私はこのピデこそ、ピザの原型では?と思っている。
 ピザの歴史はともかく、トマトをペースト状で塗る。その上に他の具材と一緒に、カットしたトマトをのせて焼く。焼きあがったところに、バジルなどと共に散らす。と、トマトの特性を最大限引き出している料理はピデであると言えるだろう。[a]

 ピデがたまらなく食べたくなってきました。
 諸国の真っ赤な太陽もお楽しみください。
 エジプトのトマトギリシャのトマトスペインのトマト
 
イタリアのトマトイギリスのトマト日本?のトマト
 
ポルトガルのトマト

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弦楽器

2008-08-07 21:59:56 | 日本語

 音楽とは音を楽しむと書く。
 何の音を楽しむかは、イメージするものも、唄であったり、楽器演奏であったりと、人それぞれであろう。
 この「楽しむ」と言う字、「木の箱の上に、2本の糸が張ってあり、それを爪ではじく」の絵文字が元である。「楽」の中の白が、爪が白いことから、爪を意味すると言う。
 そう、音楽とは、「弦楽器を弾くのは楽しい」というのが語源である。
 弦楽器とは、文字通り弦がある、すなわち糸が張ってあるということだが、語源辞典によると、「糸」そのものに、弦楽器の意味があると書かれている。
 日本に限らず、東アジアで弦に使われたのは、絹糸が主であった。「糸」という字だけを見た時、平安朝の人々は、中国や朝鮮から渡ってきた弦楽器を思い浮かべたようである。
 和楽器の総称である、「糸竹」という言葉があるが、これは弦楽器と、竹で主に作られた笛などの管楽器をあわせた「音楽」の古い意味である。
 さて、ここまでは弦楽器の「意味」を持つ字。では実際になんと呼んでいたか?
 現在でも弦楽器の総称を「琴」と、広義に解釈しているが、平安の頃は、弦楽器のことを琵琶は、「琵琶の琴」と言うように、「○○の琴」と呼んでいた。 
 琴は土偶などにも見られることから、日本古来の古い楽器であると言える。この「琴」と言う字、「こと」と「きん」と2つの読み方がある。
 「きん」とは「禁」に通じ、神事(禁忌)に使われる楽器であった。息を吹き込む笛などは庶民の楽器であったのに対し、琴など弦楽器は、高貴な人の楽しむ楽器であった。
 庶民的な琴が出回るのは、近世まで待たなければならない。3本の弦がある三味線は、庶民が初めて手にした弦楽器である。
 このルーツは古代エジプトとも、中国とも諸説あるが、どこも3本の弦で共通しているところが興味深い。
 ルーツ一つと考えられる、
イランの弦楽器のセタールも、元々は3本の弦
 日本では沖縄方面ではサンシン(三線)、本土では三味線と言うが、
ルーツは中国の三弦(サンシェン)と思われる。[a]

今日から立秋、まだまだ暑いけれど、秋の夜長は弦楽器の調べに酔いしれて、写真のお地蔵さんみたいにね!
以下の三絃もお楽しみください。
エジプトの弦楽器イランの弦楽器ギリシャの弦楽器

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すいか

2008-08-03 22:04:45 | ペルシャ語

هندوانه (ヘンデヴァーネ)

日本で西瓜と言えば、夏の風物詩。風鈴の音が涼しげに鳴り響く縁側で、西瓜をガブリと頂く・・・実際「縁側体験」をしたことがない人でも、この典型的な日本の夏の風景を想い描くことは、容易に違いない。

イランでは西瓜は、新年ノウルーズ(西暦の春分の日)を過ぎた頃から出回り始める。軽トラックの荷台に、転げ落ちんばかりに山積みにされた西瓜は、春の始まりを告げるイランの風景のひとつ。そして人々の購買意欲を増すために、半分にカットされた西瓜がひとつ、必ず飾られている。その色の赤いこと!毒々しいまでに不自然な色の西瓜は、むしろ食欲をなくしてしまいそうなほど。実は春先、まだ十分に熟れ切ってない西瓜を、赤い色素で色付けして売っているというのだ。

イランで西瓜と言えば、シャべ・ヤルダー(冬至の夜)に食されることも述べておかなければならない。昨今でこそイラン南部で冬にも西瓜が収穫されるようになったとのことだが、従来は、夏の最後に収穫したものを食料庫で冬至の夜まで保存していたらしい。
なぜ冬至のように寒い季節に身体を冷やす西瓜を食べるのか。日本人にとっては素朴な疑問である。
諸説あるが、最も有力な説としては、イランの民間療法に従ったというもの。
イランでは食べ物が、身体を温める「熱」の食べ物と、身体を冷やす「冷」の食べ物の2種類に分けられると考えられている。例えば、日本でも身体を冷やすと考えられている胡瓜は、イランでも「冷」。西瓜も当然のごとく「冷」なのだが、おもしろいことに、マイナスのものとマイナスのものを掛け合わせたら+になるという数学の原理がここで働くことになる。寒い(冷)の冬の夜に冷たい(冷)西瓜を食べれば+で「熱」を生み出す。なんとも不思議な民間療法ではあるが、話を聞いていると段々理にかなっているような気がしてくるから不思議だ。

ところで冒頭に書いたように、西瓜をペルシャ語では「ヘンデヴァーネ」と言う。この響き、なんとなく聞き覚えがあると思う方はいらっしゃるだろうか・・・(きっといらっしゃらないと思うが)。実は、日本人女性の「変だわね~」という発言が、イラン人にはどうやら「ヘンデヴァーネ」と聞こえるらしい。これ、実は私がペルシャ語を習い始めた最初の頃にイラン人の先生から教わった事実。「ヘンデヴァーネ」の「ヘンデ(ヘンド)」の部分は、スペイン語の西瓜と同じく「インドから来た」という意味であろう。
ペルシャ語=日本語の「空耳」は数多くあるが、私にとって「変だわね~」は、傑作のひとつであった。(m)

盛夏の季節、色付けなんてしなくても西瓜は真っ赤に熟れている!
アラビア語ギリシャ語英語スペイン語日本語の西瓜もぜひご試食あれ・・・
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