花
沖縄の花。旅をした3月でもブーゲンビリアやハイビスカスが眩しく輝く太陽のもとに咲き誇っていた。私の住んでいる地域では、野辺に咲く小さな花が浅い春の訪れを告げる時期。ここが南国であることを実感した。街路樹の鮮やかな黄色の花をはじめ、見たこともない植物が生き生きと花を咲かせ枝葉を伸ばしている。
そんな沖縄の自然を染色の中に表現したのが、琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)である。「びん」は紅だけでなく朱・紫・藍・黄・緑を基調とする色を指し、「型」は文様を意味するそうだ。植物や動物など自然を図案化した下絵を小刀で細かく掘り型紙を作る「突きぼり」の技法と、糊を絞り出して生地に文様を描く「筒描き」の手法があり、染色には砕いた鉱物や、ウコンやヤマモモ、琉球藍などの植物から採取した顔料を用いている。
染色の技術は14-15世紀頃、海外貿易によって中国の印花布やジャワ・インドの更紗から伝えられた。紅型(びんがた)で染められた布は琉球王朝時代に王家は黄色、貴族は水色と身分に応じた礼服として、また一般庶民は長寿の祝い着として用いられたそうだ。その後の苦難の歴史の中でも大切に受け継がれて現在に至る。この紅型は、庶民の日用品として使われる工芸品の中に「用の美」を見出した昭和の民芸運動に大きな影響を与えている。
写真は空港の出発ロビーを飾る紅型の大きなタペストリー。中央のハイビスカスを囲むように広がるのは沖縄の太陽に映し出される鮮やかな自然、下部にはタツノオトシゴや魚など海のモチーフも描かれている。そしてハイビスカスの花芯の部分には長寿が多いといわれる「うちなー」(沖縄)のお年寄りの顔。夫婦であろうか。ほのぼのとした幸せそうな表情である。自然と人が一体化した、おおらかな雰囲気。旅の中で出会った南の島らしい花々や木々、市場に並んでいた食用とは思えない熱帯魚のような魚、観光地で生き生きと働いていた人々の姿がよみがえって、沖縄を発つのが名残惜しい気持ちでいっぱいになった。(さ)
参考 「沖縄いまガイドブック」 岩波書店・沖縄観光WEBサイト・
いつもありがとう・ニフェーデービル!内地もハイビスカスの真紅が似合う夏になりました。猛暑の折、皆様、くれぐれもご自愛くださいね。お帰りの際にはクリックをお忘れなく!人気blogランキングへ
どこの国の人も花が大好き。オランダ語、アラビア語、ギリシャ語、英語、スペイン語、日本語、ポルトガル語、トルコ語・・様々な国の花をお楽しみくださいね。