地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

オレンジ

2008-02-25 23:14:05 | アラビア語(エジプト)

برتقان (ボルトカーン) 

 エジプトでは、ق(カキク)の音が「ア」になってしまうので、ボルトアーンと言う。
 お手ごろ価格で、冬はいたるところで売っている。
 風邪防止の意味もあり、各家庭ではボルトアーンか、冬ミカンが常にある。
 町のジューススタンドも、冬の定番はボルトアーンとにんじんジュース。
 飲むだけではなく、お菓子のオレンジリキュールなどもエジプトは原産国。
 アロマオイルや、香水のオレンジも、フランスなどの香水メーカーに輸出されている。
 オレンジのアロマオイルで、マッサージしてもらうと、なんともいえず、清々しい気持ちになってくる。
 先だって、友達のお母さんにケーキを焼いていただいたが、すりおろしたオレンジの皮が入っていて、大変薫り高く、美味しいものだった。
 料理上手なお母さんが、デザートにとオレンジの皮をむいてくれた。
 「はい、お花を一輪!どうぞ」
 素敵な皮のむき方に惚れ惚れした。

 しばらくエジプトにおりました。
 瑞々しい記事をお届けしたいと思います。
 あなたの甘酸っぱい、一滴をお願いしますね![a]
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散歩

2008-02-20 00:26:32 | ペルシャ語

گردش (ギャルデシュ)

沙漠・・・
オアシス・・・
光と影に縁取られた路地。
日干しレンガで組み立てられた家々からなる集落。
青い空と素朴な砂色の街並み。
色とりどりの民族衣装が翻る。
どこまでも続く静寂と、時にほんの少しの音楽があれば
それでいい。

一方、文明の十字路に位置する大都市の喧騒がある。
全てが碧いこの地では、
古くから様々な民族が行き交った。
そこには混沌と退廃と享楽と・・・
そして、魅惑的な音の洪水が、波音とともに押し寄せてくる。

そして、沙漠の乾いた土地から、椰子の木と熱帯植物の茂る
海辺の南国へ。
しかしここから聴こえてくる音は、陽気どころか、どこか禍々しい。

「散歩」のハイライトは、文明のふるさと。
この地を源とする大河により、中東の偉大な文明は
育まれてきた。
歴史をとおして幾度となく争いと動乱
に見舞われてきた土地。
その動乱は、現在も続いている。
ここではどんな音が聴こえて来るだろうか。

誰も出逢ったことがないような風景や民族や音楽を求めて
一月ほど散歩に
出かけて参ります。(m)

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ミカン

2008-02-11 18:23:00 | ペルシャ語

نارنگی(ナーランギー)

この時季イラン各地の市場を訪れると、今にも崩れ落ちそうなオレンジの山が旅人の目を惹きつける。そして、辺りを満たす爽やかな香が人々の心を癒してくれる。柑橘系の香りは心の清涼剤。寒空の下、歩き回って疲弊した旅人の心も、一気に目覚めさせられる。
先日「詩人とバラの街」シーラーズを訪れた。
シーラーズは、イランの2大詩人サーディーとハーフェズを排出していることでも名高いが、市内を彩るバラの花、そしてオレンジの木でも有名である。
街中に存在する数々の庭園には、たわわに実の成るオレンジの木々が植えられ、そして街路樹にさえもオレンジの木が使用されていた。豊かに実るオレンジは、まさに楽園的な景観をこの街に与えていた。詩人ならずとも、思わずペルシャ詩の一篇でも口を突いて出てきそうな気分にさせられたものだ。

さて、先日のギリシャの記事同様、ここイランでもオレンジの種類は様々。皮の固い大粒の品種ポルトガール。私たちがオレンジと呼んでいるそれだ。そして、小粒で日本の温州ミカンに似ているナーランギー。実際、ナーランギーは近年、日本のミカンの種を使用して栽培されているらしい。また、同じナーランギーでも、大型のものもある。面白いのは、大型のナーランギーの中でも皮に皺がよっているものを、「お婆さんのナーランギー」と呼んでいること。そしてブラッド・オレンジを思わせる真っ赤な粒の品種も、先日市場で見かけた。名前も勿論「血のオレンジ」だ。他にも様々な種類があるが、全てを挙げていたら切りがない。これらは全て国内で栽培されていて、輸入品はないということだ。様々な種類の柑橘類が同時期に収穫できるのは、国土の広いイランならではと言ったところか。

同じ柑橘類のレモンにもいくつか種類がある。日本でも目にする楕円形のレモン。それから真丸で小粒の品種。
そして、イランでレモンと言って忘れてはならないのが「リームー・シーリーン」。「リームー・シーリーン」とは、ペルシャ語で「甘いレモン」のこと。レモンが甘いとは、可笑な話だが、実際実を口に運んでみると、甘い香りが口いっぱいに広がっていく。そしてその後、独特の苦味が口の中に残る。あえて言えばイスラエル原産のスウィーティに味が似ているかもしれないが、やはりイラン独自の果物であることに変わりはない。
イランには「甘いレモン」が存在するため、普通のレモンを「酸っぱいレモン」と呼び、あえて両者を区別している。
最後に、リームー・シーリーンにまつわる諺をひとつご紹介しておこう。
「姑(妻の母親)はリームー・シーリーンのよう。最初は甘いが段々苦くなる。」
どこの世界も、嫁・息子と舅・姑との確執は大きいらしい。
(m)

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2008-02-06 14:40:27 | ギリシャ語

 Χειμωνας (ヒモナス)

 昨年は神話について書いたギリシャの冬。今年は暮らしの一場面をお届けする。寒い時期ならではの家での楽しみは何といっても暖炉。テラスや道端、砂浜にテーブル席を広げてゆったりと過ごすことが大好きなギリシャの人達にとって寒い冬の間、代わりとなる憩いの場所のようだった。マンションでも多くのリビングに暖炉があり、冬の寒い日に廊下や階段などに薪の燃える香りを感じた。ごつごつとした薪と火の色、火のつき始めにパチパチと燃えさかる音・・・野趣に富み、体全体で暖を感じることができる時間は、確かに自然に抱かれるような安らぎを感じる。

 アテネの街には幾つかの薪専門店があり、冬支度の一つとして買い出しに行くのが恒例だった。大きな空き地に松、オリーブの薪がうずたかく積み上げられているだけのシンプルな店(写真)。行くと小さな小屋から人が出てくる。指定された場所に車を停めてまず車の重さを量る。地面に天板が張られている箇所が秤になっている仕組み。次に、自分の好みの薪を好きなだけトランクに放り込んで、再び計量。このようにして購入した薪自体の重さを計算し、料金を払うというシステムである。

 置いてある木は主に松とオリーブ、種類によって燃え方が違うので用途に応じた分量を選んでいく。順序はこのような感じ。まず、松ヤニが着火材のような働きをする小ぶりの松、火がついてから更に大きな松、火が安定してからは細く長く燃えるオリーブをくべる。薪の形も重さも様々、あれもこれもと選ぶとあっという間にトランクが一杯に。家に戻ってから運ぶのが一苦労であるが、テラスに積み上げると冬支度も万全という感じ。街を歩くと、あちらこちらの家のテラスや庭に薪が準備されている。

 市場や街の工具店には晩秋頃から様々な暖炉専門用具が並ぶ。薪をつかむトング、灰を掃除する小さな箒、塵取り、焼き栗用フライパンや肉や魚を挟んで焼く形の網など、私も一通り揃えた。いつも暖炉の周りには人が集う。火の世話も次第に熟練してきて、焼いたものを食べながら美味しいギリシャワインで一杯・・暮らしの豊かさを感じた。(さ)

いつもありがとう。Ευχαριστω !厳寒期、皆様、くれぐれもご自愛くださいね。お帰りには、暖かいクリックをお忘れなく!人気blogランキングへ