Ανοιζη(アニクスィ)
街のショーウインドーが写真のように華やかに飾られると復活祭(Πασχα・パスハ)が近いことを感じる。鮮やかに彩色された卵の形のろうそくや置物、うさぎやひよこをモチーフにした飾りなどは、いずれも復活や生命の誕生を象徴したもの。それぞれに趣向を凝らしたディスプレイは見ていて楽しく、そぞろ歩きの心も弾む。スーパーや菓子店には、色とりどりの包装紙で包まれた卵型のチョコレートが並ぶ。チョコエッグと同様、中は空洞でおまけ付き。大きなものは30㎝ほどで、売り場もにぎやか。子供には甘い誘惑となる。
ギリシャ正教の復活祭は、春分の後に来る最初の満月の次の日曜日と定められていて、今年は4 月8日である。パスハを迎える迄には幾つかの行事があるが、特に最後の一週間は「大月曜日」「大火曜日」・・と呼ばれ、教会では連日ミサが行われる。家庭では、復活祭の時期に食べる特別なパンやクッキーを焼くし、大木曜日には「キリストの血」を思い、卵を染料で赤く染めるなど伝統的な準備がなされる。
冬のギリシャに曇天や雨の日が多いのは、「雪」の記事に書いた通り。友人の話では、特に復活祭の前に降る雨は「キリストの死を悲しむ人々の涙」と言われるそうだ。日本人にはギリシャ=青空が刷り込まれているが、あの深く吸い込まれそうな碧空も一年中では有り難みがない、と住んで感じたのである。冬があるからこそ、春を待ち望む気持ちもふくらむ。そして限られた時期の美しい空や海、溢れる光を思いきり楽しもうとするのではないだろうか。
鉛色の空が続く中の晴天に感じる春の訪れ。少しずつ陽射しが力強くなり、ギリシャならではの溢れるような、眩しい陽光を思い出させる日が増えてくる喜び。銀を帯びたようなオリーブの緑の葉がキラキラと輝き、空地や遺跡に小さな野の花が咲いて・・そんな光景が次々と瞼に浮かぶ。(さ)
いつもありがとう。Ευχαριστω ! 日本は花見、ギリシャはΠασχα。次回も復活祭の記事が続きます。皆さん、素敵な春の日をお過ごしくださいね。桜の花びらの数だけ、クリックをよろしく!