高遠から伊奈平に下りたところが駒ヶ岳。
その麓に光前寺という古刹がある。
名峰には山岳信仰が興るもの、開基は860年、天台宗の道場である。
おっくうがらずに寺院を訪ねて回るとたまに大当たりがある。
光前寺もそうで雰囲気がとてもいい。
このお寺は境内が国の名勝に指定されている。
仁王門から山門、本堂へと続く参道に杉の巨木が並び石垣の隙間のあちこちに「ヒカリゴケ」という発光する苔が自生している。
杉の合間合間に堂宇がちらちらとみえてきてとてもほっこりとする。
三重塔がまたいい。
光前寺といえば「早太郎」。
7百年前、寺で飼われていた山犬がいた。
その頃、遠州府中の見付天神社では毎年ひとりの子女を人身御供として備える習わしがあり、憂えた旅の者が様子を探ると子女をさらう怪物が信州の早太郎を怖れていることを探り当てる。
怪物が娘をさらっていくと旅の者は信州に走り、怪物がおそれる光前寺の山犬、早太郎を借りてとって返し、見事怪物を退治。
早太郎は重傷を負いつつ光前寺に帰ってくると和尚さんに一声「わん」と鳴いて息を引き取る。
和尚さんは早太郎を本堂の横に葬った。
という話である。
早太郎の墓は犬の墓としては壮大なもので石像も凜として立っている。
なかなかにいいお寺を見つけた。
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