扶桑往来記

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歴史コラム #41 謀略の一族のこと

2019年01月31日 | エッセイ:海の想い出

コラム41回目は真田一族のこと。

 

海とは関係の薄いのは承知の上、ちょうど真田一族の本を執筆中でどうしても書いてみたかった。

真田家の人々は人気が高いがその発祥や処世術、大坂の陣の後の苦難のことを知る人は少ない。

幸村の活躍、徳川との上田決戦など華のある一族ではあるがそれ以外にもみるべき点は多い。

「真田丸」では昌幸と息子二人の危機対応術が活き活きと描かれていた。

その背景を史料でみるとこれが実におもしろい。

上杉に北条、豊臣に徳川、戦国の雄は真田つぶしにやっきになるが、窮地に陥った昌幸の思うがままに動き、真田を赦す。

それはまさに芸術品。

 

真田家を調べるとおもしろいのが脇役達。

真田十勇士や草の者は娯楽コンテンツで有名であるがそれ以外にもキャラの立った人があまた。

信濃国衆のひとり、出浦昌相は武田家の忍者頭を務め、昌幸の家臣となった以後は内政にも手腕を発揮した。

昌幸の長男信之を補佐して元和偃武まで生きた。

諜報部員が総務部長でもあるところが真田家。

さらにユニークなのは昌幸の弟信尹。

この人は真田の敵方に属することが多く、真田家の存続に力を尽くした。

雇う方も雇う方、実の兄が約を違えて反抗しているのに調停役を任せてしまう。

よほどの才覚と弁の能がなければこうはいかない。

最後は幕府の旗本になって真田の血筋を残した。

 

信尹のことを調べていてふと思いついたのが英国MI6の007。

まさに戦国の諜報部員ではないか。