古代の青銅器や唐三彩などの陶磁器も本場のことで当然充実。
私は骨董好きではあるが真贋については全くわからないしいいものの価値も一見だけではわからない。
いいモノをたくさんみないと目利きになれないとはよくいわれること。
中国ならばこの博物館に通えばいいのかもしれない。
私の好きな「龍袍」も展示してあった。
いつも骨董屋でみせられる龍袍は言い値もピンキリで怖くて買えない。
これはホンモノに違いないのでしげしげと観察。
他に王羲之の書やら皇帝の印鑑やら、中国っぽいアイテムも「ありそうなものは全部ある」状態。
結局4時間館内にいた。
上海博物館を見物。
中国で収蔵品が充実している大規模博物館は北京の故宮博物館と南京博物館という。
外観は屋根に輪っかがついていて古代青銅器のイメージらしい。
館内はいくつかの展示室に分かれている。
膨大なコレクションなので全部みると体力が持たないかもしれない。
写真撮影はOKなのがうれしい(2008年9月時点)。
はじめに彫塑の展示。
要は仏像など。
年代ごとにまとまった展示があるのだが、見事に同時期の日本の仏像とリンクしていることに感激した。
日本仏教が中国でアレンジされ、それを日本で更に再交渉という流れが体感できる。
これが一番の収穫かもしれない。
今回の仕事がほぼ終了、今日明日は観光に徹する。
中国でなかなか行かないのが名刹拝観。
20世紀初頭の中華帝国の終焉と人民国家建設、さらに戦争続きという時代に大きく文化財は毀損し文化大革命でとどめを刺された中国。
それでも混乱をくぐり抜けた名刹はあるもので上海にもいくつか残っている。
名が示すように玉(翡翠)で造られた仏像を安置する。
朝一で御参りに行ってみた。
山門で拝観料20元(約300円)を払って入場。
黄色の壁の色が鮮やか、日本の禅寺とは大きく異なる伽藍である。
屋根の装飾や壁の飾り物も独特でおもしろい。
玉佛禅寺は19世紀末、清代光緒帝の頃の創建、西太后が権勢を振るった時代である。
清朝は宗教には寛大で儒教、仏教にキリスト教までが活動を行うことができた。
玉佛禅寺を開いたのは普陀山の僧、ミャンマーで巨大な玉を得ていくつかの仏像を製作した。
玉仏は坐像と涅槃像があってそれぞれ大きさは2m、1mほど。
坐像は壮麗な光背を背負い宝冠を戴いている。
中国の仏像は概ね人間らしい様相をしているものだが、この仏像はちょっと趣が違っていて神秘性を感じる。
チベット密教の影響を受ける仏師が作成したのだろうか。
なかなかの名品である。
境内の売店で大きめの玉でできた数珠を買った。
今後、仏事で使用していきたい。
意外にハマったのが音楽CD、お経ではないと思うが聴いているととてものどかな気持ちになる。
上海に戻ってきた。
荷物をホテルに預けて外灘を散歩。
夕暮れで暑さもさほどでもなく気持ちいい。
中国人に聞くと長江が海に出るこのあたりは水質汚染がひどく、クサかったらしい。
外灘は20世紀初頭に外国の居留地となっていた名残がある。対岸は電波塔が建っている新興開発地域。
そのコントラストがおもしろい。
晩飯は豫園に行って南翔の小籠包。
北京から広州に移動してきた。
宿は亜州国際大酒店。
今回は日中に余裕があるので仕事の合間に馴染みになった骨董店に行くことができた。
お店は珠江沿いのホテル白天鵝賓館の地下アーケードにある。
広州は上海とはまた違ったよさがある。
雑然としている古い町並みで盛大に工事が行われていて活気がある。
中国の人は誰しもポジティブに生きていることが見ていてよくわかる。
不景気が続きすぎてどことなくあきらめているような日本人と対照的。
夕方、現地で紹介された通訳の人と紫禁城の付近を散策した。
景山公園で待ち合わせ。
紫禁城の北側にある丘は景山と呼ばれており現在は公園がある。
紫禁城の堀を造った残土を盛り上げて造られた。
上っていくと全周を見渡せることができ、北側をみれば紫禁城の城下町、南側をみれば橙色の甍が海の波のように美しいという。
頂上にある万春亭は工事中とのことで立ち入り禁止のようだった。
封鎖されている訳ではないので人気のないのを幸い、踏み込んでみるとなるほど絶景。
天安門まで見通せる。
次に胡同のひとつを見物。
晩飯は通訳の人と羊肉のしゃぶしゃぶ。
上海虹橋空港から北京へ移動。
上海から北京に来るとその違いがよくわかる。
上海は中国では珍しく歩いて町を散策できる町、北京はあまりに道路が広く、市街も広大なので歩いて移動ということがやりにくい。
上海は道路も直線的ではなく雑然としており、街行く人々も庶民的、ネクタイをしているようなビジネスマンはまず町では見かけない。
北京の人々は風呂上がりに夕涼みで出てきたような緩い格好では出かけないようで歩いている人もどことなく緊張感がある。
クルマも黒塗の輸入車が多い。
まあ暑いからかもしれないが上海の方が圧倒的に緩い町である。
ホテルは瑞士酒店、仕事で使う事務所は建国門の方にある。
いきつけになってきた北京ダックの名店で今回も美味い料理を堪能。