扶桑往来記

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歴史コラム #50 甘い汁を吸うのは誰だ

2020年07月31日 | エッセイ:海の想い出

コラム節目の50回目は砂糖の話。

 

当初は御菓子の話を書こうと思っていたが砂糖の話がおもしろいので方針変更。

砂糖が結晶として使用された始まりはどうやらインドらしい。

砂糖の歴史を振り返ると時々の世界王者の変遷がわかるのがおもしろい。

砂糖がコモディティ商品となり大量に消費されるのがコロンブス以後。

スペイン・ポルトガルは大航海時代を迎えて太洋に出て行くモチベーションとして植民地での大規模農園経営をはじめた。

これが先住民の悲劇の始まりである。

作今、欧米において人種差別問題が燃え上がっており、奴隷使役に関わる先人の銅像が倒されている。

コロンブスもまた標的となっている。

彼以降の商人たちが行ったことを思えば差別され酷使された人々の子孫が持つ心情はよくわかる。

日本においても強制労働の問題は薩摩藩と琉球の間の砂糖地獄の例があり、我々も過去のことと一概に片付けられないだろう。

 

欧州においてサトウキビとは別の原料、テンサイ由来の砂糖が精製できるようになると折からの産業革命によって安価な安定供給が可能になる。

日本においてもまた同様。

「甘い汁を吸う」のはかつては悪徳業者と腐敗役人であったが、砂糖がもたらすカロリーオーバーは肥満の原因、糖尿病の元凶となった今、庶民まで含めて甘い汁を誰しも吸えるようになったことのもじり。

高額所得者ほど甘い汁を嫌うとは史上初の事態である。