コラム48回目は桃の話。
薩摩の話を続けてしまったので軽い話にしようと思った。
果物や野菜はほとんどが舶来の産物である。
今ポピュラーな果物はバナナ→リンゴ→ミカンということらしいが、全部が舶来。
古いものを探すと桃と葡萄。
これらは記紀神話に登場する。
イザナミに死に別れたイザナギは黄泉国に逢いに行く。
すると愛する妻は無残な亡骸となっていてそれをみられたイザナミは鬼を放ってイザナギを追う。
鬼婆に投げて時間かせぎをしたツールが山葡萄であり、雷神率いる軍勢を封じたのが桃の実であった。
桃は中国では仙果である。
一番わかりやすい例が孫悟空。
お猿さんは武威無双、天帝になだめられて桃園の管理人に収まった。
そして不老長寿の桃の実を食いまくって大騒ぎ、お釈迦様に封じられてしまう。
そして三蔵法師のお供となることで放免、法力がお猿さんの暴走をこらしめる策、つまり仏道こそ最強ということになる。
桃も葡萄も仏道と共に日本にもたらされたのだろう。
葡萄は薬師寺の本尊の台座に刻まれ、山梨に葡萄の房を持った薬師如来像がある。
そして私見ながら仏像が持っている宝珠は桃だと思う。
明治まで桃や葡萄は貴重なおやつだったようだが桃は歴史の舞台に度々登場する。
壬申の乱の時、関ケ原の天武天皇は地場産の桃を必勝祈願で兵に配った。
この故事を知っていた家康が本陣にしたのが桃配山。
安土桃山時代も縁起をかついだものかもしれない。
そんな話をダラダラ書いていたら紙幅が足りず桃太郎話を次に送った。