扶桑往来記

神社仏閣、城跡などの訪問記

歴史コラム #4 独眼竜がみた海

2012年11月30日 | エッセイ:海の想い出

今回は10月に仙台に行ったばかりということもあって伊達政宗の話。

ふつうに考えると政宗がスペインに派遣したサン・ファン・バウティスタ号のこととなろう。

最初はそのつもりでいたが政宗の生涯をまとめていると国づくりへの情熱の方がおもしろい。

政宗は仙台に本拠を構えたがこの町は政宗が何から何まで設計した。

「入そめて 国ゆたかなるみきりとや 千代とかきらし せんたいのまつ」

これは入封した直後に詠んだ政宗の歌。

「俺が来からには国は豊かになる、その繁栄は千代どころか永遠に続く」

千代を仙人が棲む山と政宗は読み換えた。

仙台城の本丸からは太平洋がよくみえる。

この光景、大坂城からみる大阪湾のようだとふと思った。

政宗の天下への野望を小田原で打ち砕いた秀吉。

政宗が上方に呼ばれて学んだ経営術、その成果は伊達領の国づくりに発揮された。

 

結局、秀吉と政宗の話になった。


伝説の戦艦 -記念艦三笠-

2012年11月29日 | 自動車・自動二輪など

走水神社から北西に5kmほど行くと三笠公園。

日露戦争で活躍した戦艦三笠がある。

三笠の建造は1899年から英国で建造が開始され1902年(明治35年)に引き渡された。

1904年(明治37年)2月8日の旅順口における日露戦争開戦時から連合艦隊旗艦として参加。

その後の主力艦同士の海戦で常に陣頭にあった。

日本海海戦を完全勝利で終えた三笠はしばらく現役艦であったが災難続きだった。

終戦直後に佐世保港で火災事故を起こしすんでのところで爆沈を免れたものの、修理後7年にしてまたも火災、大正10年にもロシアで座礁している。

そしてワシントン軍縮条約で廃艦となった三笠は記念館として品川に係留される予定となり、横須賀に係留中に関東大震災に遭う。

揺れて岸壁に衝突した三笠は浸水して着底、解体しようにも二度と動けない状態となった。

この災難は三笠にとって解体を免れた点においては幸となった。

三笠は軍艦としての機能を喪失することで条約上の制約を逃れ、周囲を固められ船体にコンクリートを注入することで記念艦として第二の人生を歩み出す。

ところが太平洋戦争後のGHQによる武装解除の中で三笠も標的となり、艦橋や砲塔などが撤去された。

 

さらに三笠の艦上には水族館やダンスホールが造られ、もはや戦艦の風貌はなくなってしまう。

東郷平八郎を尊敬したニミッツ提督らもこの惨状を嘆いて復元活動が起こり1961年に外観は復元されて日本海海戦が行われた5月27日に記念式典が行われた。

日露戦争時に現役だった軍艦がことごとく消滅した中、残っているのは三笠のみである。

 

さて実物をみた印象は「意外に小さいなあ」ということ。

現在の全長122m、全幅23m。

海上自衛隊のイージス艦の全長が160mくらいなのでそれよりもひとまわり小さい。

とはいえ連装30cm砲を艦首から艦橋と共にみるとまさに戦艦の威容。

艦橋にはタラップで上ってみることができる。

日本海海戦時の艦橋にいた人の立ち位置がマークされている。

 

艦長室なども再現されていて、調度品も当時のものが一部戻されている。

これは米軍関係者など戦利品で持っていったものを返してもらったようだ。

日本海海戦時の乗組員の名前が部署と共に掲げられている。

 

さて現代においては第二次大戦以前の軍艦はそうは残されていない。

三笠をみてしまうと「大和・武蔵を見たかったなあ」と思ってしまう。

 

 

 

 


オトタタチバナヒメ伝説 -走水神社-

2012年11月29日 | 仏閣・仏像・神社

コラムのネタ探しに横須賀に三笠を見に行く。

8時に着いたのが走水神社。

東国遠征に赴いたヤマトタケルは焼津、厚木、鎌倉、逗子、葉山と来て走水に到った。

御座所を立てて対岸に渡る準備をした時、村人に冠を与え、この冠を村人が石の櫃に入れて埋め、その上に立てられたのが神社と伝える。

船を出したヤマトタケル一行は嵐に巻かれて危機に陥った。

すると姫が海神を鎮めようと海に飛び込みタケルを救ったというのが神話となっている。

房総を平定したタケルは碓氷峠から、海に沈んだ姫を想い「ああ吾妻よ」と叫んだことが東国をあずまと呼ぶ端緒ともいう。

 

海岸には数日後、姫の櫛が流れ着いたといい櫛を収めた橘神社を別にもうけたが、明治に軍用地とされたために当神社に合祀された。

 

というような由緒を持つ神社であるが狭い海岸通りから山に張りついたような立地。

参道を登って振り返ると海が間近にみえている。

房総に渡るにはここから富津へ行くのが最も近道かと思われる。

いいエッセイが書けそうである。